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28億円超の介護報酬不正請求サンウェルズの波紋

老人医療介護ホーム大手で発覚した深刻な不正請求

パーキンソン病専門の有料老人ホームを全国展開する東証プライム上場のサンウェルズ(証券コード9229)で、入居者への訪問看護を巡る診療報酬の不正請求が明らかになりました。

本社を金沢市におく同社が発表した特別調査委員会の報告書によると、ほぼすべての施設で不正が行われており、その総額はなんと約28億4700万円にも上るとのこと。

不正の内容は、訪問時間を実際よりも長く記録するなど、虚偽の書類で報酬を請求していたというもの。 さらに、必要がないのに訪問する過剰な請求も広く行われていたことが判明しました。

サンウェルズは「PDハウス」という名称で、全国14都道府県に約40カ所の施設を運営しています。

近年、難病や末期がんの人向けの老人ホームは「ホスピス型住宅」などと呼ばれ、増加傾向にあります。

今回のサンウェルズの不正は、業界に大きな衝撃を与えています。

なぜなら、大手企業でこのような大規模な不正が明らかになったことは、他の施設でも同様の事態が起こっている可能性を示唆しているからです。

さらに、不正を許した制度や行政のチェック体制にも疑問の声が上がっています。

この問題は昨年9月、共同通信が最初に報じました。サンウェルズで過剰な訪問看護がマニュアル化されており、実際とは異なる記録で介護報酬が請求されていると指摘していた。

当初、サンウェルズ側は「不正や過剰は一切ない」と報道を否定していましたが、その後、調査委員会を設置し、今回の報告書がまとめられました。

今回の事件は、高齢者福祉分野における深刻な問題であることを改めて浮き彫りにしました。

入居者の方々に対する信頼を損なうだけでなく、医療費の不正請求は、国民全体の負担増加にもつながります。

今後、関係機関は、不正防止のための抜本的な対策を講じるとともに、高齢者福祉サービスの質の向上に真剣に取り組む必要があります。

診療報酬の不正請求とは

診療報酬の不正請求とは、本来受けるべき医療や介護医療サービスに対して、事実とは異なる情報を用いて報酬を請求する行為のことです。簡単に言うと、必要のないサービスや、実施していないサービスに対してお金を不正に請求することです。

例えば、訪問看護を行った時間を実際よりも長く記録したり、訪問しなかったのに訪問したと偽ったりすることがあります。このような不正が行われると、サービスを受けるべき本当に必要な人たちへの資源が奪われてしまいます。また、これにより本物の医療や介護の現場が信頼を失い、患者やその家族にも大きな負担をかけることになります。

不正請求は、医療機関や介護医療施設の経営者が利益を上げようとする動機から起こる場合が多いですが、最終的には利用する患者やその家族に悪影響を及ぼします。このような行為が発覚することによって、社会全体での医療や介護医療サービスに対する信頼が損なわれることも考えられます。

私たちの大切な健康や生活に関わる問題だけに、こうした不正は決して許されるものではありません。社会全体でしっかりと見守り、不正を未然に防ぐ取り組みが必要です。私たち一人一人が目を光らせ、健全な医療環境を守っていくことが求められています。

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