超連鎖倒産時代の到来
押し寄せる連鎖倒産の波
2024年の上半期だけで、連鎖倒産の件数は前年同期比で約28.4%増となる370件に達しました。
前年同期比28.4%増という衝撃的な数字が示すように、企業の連鎖倒産は加速度的に増加しています。
特に注目すべきは、負債総額1億円未満の中小企業が全体の66.7%を占めているという事実です。
この背景には、材料費や人件費の高騰が経営を圧迫し、特に中小企業が厳しい状況に追い込まれています。
人件費負担が大きい大企業は早期退職制度を利用して数千人から数万人規模のリストラを敢行し、破産リスクを継続して回避しています。
労働法の改定や企業モラルの向上によって労働環境が整備される一方で、皮肉にも雇用が最大のリスクの一つとなっています。
景気後退のシグナルが点灯する中で、中小企業はどのようにこの波を乗り越えるべきなのでしょうか。
具体的な対策方法や政治的にどのような制度設計がされているかについて、あらためて理解を深めてみましょう。
企業の悲鳴が聞こえる
少子高齢化が進む日本では、入試直前に予備校ニチガクが突然倒産したことが話題になりました。このような倒産は学習塾業界だけでなく、倒産ペースが加速する建設業やサービス業でも相次いでいます。
特に建設業においては、この10年で最も多くの倒産件数が報告されています。
東京商工リサーチの最新データによると、2024年の倒産件数は28カ月連続で前年同月を上回っています。
つまり、これは単なる業態における淘汰サイクルではなく、経済構造の深刻な問題を表しているのです。
コロナ禍で一時的に倒産件数が減少したのは、持続化給付金によるマネーサプライ増加で日本全体のマネタリーベースが上昇したのは明白です。
ところが、それらの政府支援が途絶えた途端に倒産件数は上昇しているのは、経済構造の問題が露呈していることになります。
これからの連鎖倒産は、2009年のリーマンショックや2011年の東日本大震災のような大規模な外的要因が影響しているわけではありません。
従来のような特定の業種や親会社破綻からの局所的な連鎖倒産ではなく、明らかに政治的な施策のもとで中小企業淘汰が進んでいることを認識する企業オーナーからは、「未来が見えない」といった悲鳴が上がっています。