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クレチインスキ12

たとえ規則に従っていても、変ホ長調(作品9)や変イ長調(作品32)など、ペダルが多用されているすべての曲についても同じことが言える。誰もが完璧に理解できるように、現在の楽器でこのようなペダルの使い方をすれば耳を不快にさせてしまうだろう。ペダルを踏み続けていると、たとえ少な目だったとしても、一種のノイズ、より正確にはクラッシュが発生し、力が増すにつれて、演奏中の旋律をある種の些細な雰囲気で包んでしまう。このつまらなさは、ペダルの単調な唸りにあり、ペダルを踏む力が強くないにもかかわらず、疲れるだけでなく、テーマを不明瞭にし、この場合は激しい波に翻弄されるボートに似てしまう。この意見が真実であることの証明として、ペダルを適切な場面で使用すると、もし巧みなクレッシェンド*が伴えば、とてつもない効果が生まれ、パッセージ全体がより荘厳で豊かな色彩になることに注目すべきである。

*ハンス・シュミット、ピアノフォルテ・ペダルについて、57頁。

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