eNPS EVP

EVP(従業員価値提案)に基づいたeNPS(従業員ネットプロモータースコア)の質問を作成するには、組織が提供する価値や従業員の期待に関連する要素を中心に質問を設計する必要があります。以下はその例です。

### 1. 総合評価
1. **この会社を友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?**  
  (0: 全く勧めない - 10: 非常に勧める)

### 2. EVPの要素に基づく質問
#### **成長機会**
2. **この会社でのキャリア成長の機会に満足していますか?**  
  (0: 全く満足していない - 10: 非常に満足している)

3. **上司や同僚からのフィードバックは、あなたの成長に役立っていますか?**  
  (0: 全く役立っていない - 10: 非常に役立っている)

#### **仕事の充実感**
4. **日々の業務に意義を感じていますか?**  
  (0: 全く感じていない - 10: 非常に感じている)

5. **この会社での仕事は、自分の能力を最大限に発揮できる場だと思いますか?**  
  (0: 全くそう思わない - 10: 非常にそう思う)

#### **働きやすさ**
6. **この会社のワークライフバランスに満足していますか?**  
  (0: 全く満足していない - 10: 非常に満足している)

7. **仕事の環境(設備や職場の雰囲気など)に満足していますか?**  
  (0: 全く満足していない - 10: 非常に満足している)

#### **報酬と福利厚生**
8. **この会社の給与や福利厚生に満足していますか?**  
  (0: 全く満足していない - 10: 非常に満足している)

9. **この会社の報酬体系は、公平かつ透明だと思いますか?**  
  (0: 全くそう思わない - 10: 非常にそう思う)

#### **文化と価値観**
10. **この会社の文化や価値観に共感していますか?**  
   (0: 全く共感していない - 10: 非常に共感している)

11. **会社のビジョンやミッションに自分が貢献できていると感じますか?**  
   (0: 全く感じていない - 10: 非常に感じている)

### 3. フィードバック
12. **この会社をより良くするための改善点はありますか?**

これらの質問は、EVPの主要な要素を網羅し、従業員の満足度や推薦意欲を測るのに役立ちます。フィードバック質問も含めることで、具体的な改善点を収集しやすくなります。

eNPSの結果を分析すると、従業員が組織に対して抱く満足度や推薦意欲を通じて、いくつかの組織人事課題が浮き彫りになることがあります。以下は、eNPSの結果から導かれる可能性のある組織人事課題の一覧です。

### 1. 低いeNPSスコアに関連する課題

#### **成長機会**
- **キャリアパスの明確化**:従業員が自身のキャリア成長をどのように実現できるかを明確に示す必要がある。
- **研修・開発プログラムの充実**:従業員のスキル向上やキャリア成長をサポートするための研修や開発プログラムの整備。

#### **仕事の充実感**
- **仕事の意義の再確認**:従業員が自分の仕事に意味を見出せるよう、会社のビジョンやミッションとの関連性を強調。
- **業務内容の再評価**:従業員が自己の能力を最大限に発揮できるよう、業務内容や配置の見直し。

#### **働きやすさ**
- **ワークライフバランスの改善**:柔軟な働き方や休暇制度の見直し、適切な労働時間管理の導入。
- **職場環境の改善**:快適で働きやすいオフィス環境の整備や、リモートワーク環境の充実。

#### **報酬と福利厚生**
- **給与体系の見直し**:市場相場や業績に応じた公平な報酬制度の導入。
- **福利厚生の充実**:従業員のニーズに応じた福利厚生の見直しや拡充。

#### **文化と価値観**
- **組織文化の強化**:会社のビジョンやミッションに共感できる文化の醸成。
- **価値観の共有**:従業員が共感できる価値観の浸透や、トップマネジメントのコミュニケーション強化。

### 2. フィードバックから導かれる課題

- **コミュニケーションの改善**:従業員間や部門間のコミュニケーションを円滑にするための施策の導入。
- **フィードバックの活用**:従業員からのフィードバックをもとに、具体的な改善策を立案・実行。

### 3. 高いeNPSスコアの維持・向上に関連する課題

- **現状の成功要因の分析と共有**:高い満足度を維持している要因を特定し、全社的に共有・展開。
- **エンゲージメントの強化**:従業員のエンゲージメントをさらに高めるためのイベントやプログラムの導入。

### 4. その他の潜在的課題

- **パフォーマンス評価の見直し**:公正かつ透明性のあるパフォーマンス評価システムの確立。
- **ダイバーシティとインクルージョンの推進**:多様なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる環境の整備。

eNPSの結果を詳細に分析し、従業員が抱える具体的な不満や期待を把握することで、上記の課題に対する効果的な対策を講じることが可能になります。

以下は、eNPSの結果から導かれる組織人事課題に対する具体的な対策です。

### 1. 成長機会に関連する対策

#### **キャリアパスの明確化**
- **キャリアマッピングの導入**:各職種ごとのキャリアパスを視覚化し、従業員が自分の進むべき道を理解できるようにする。
- **定期的なキャリアカウンセリング**:キャリア目標の設定や進捗確認を行うための定期的なカウンセリングセッションを提供する。

#### **研修・開発プログラムの充実**
- **スキルアッププログラムの拡充**:技術的スキルやリーダーシップスキルを向上させるための研修プログラムを増やす。
- **Eラーニングプラットフォームの導入**:オンラインでの学習機会を提供し、従業員が自分のペースでスキルを習得できるようにする。

### 2. 仕事の充実感に関連する対策

#### **仕事の意義の再確認**
- **ビジョン・ミッションのコミュニケーション強化**:定期的に全社ミーティングやタウンホールミーティングを開催し、会社のビジョンやミッションを再確認する。
- **ストーリーテリングの活用**:成功事例や従業員の貢献が会社の目標達成にどう繋がったかを伝えるストーリーテリングを行う。

#### **業務内容の再評価**
- **ジョブローテーションの導入**:様々な役割や部門を経験させ、従業員の能力を最大限に引き出す。
- **役割の見直しと再配置**:適材適所を実現するために、業務内容や役割を定期的に見直し、必要に応じて再配置を行う。

### 3. 働きやすさに関連する対策

#### **ワークライフバランスの改善**
- **フレックスタイム制度の導入**:従業員が自分のライフスタイルに合わせて働けるよう、柔軟な勤務時間制度を導入する。
- **リモートワークの推進**:必要なインフラを整え、リモートワークの選択肢を提供する。

#### **職場環境の改善**
- **オフィス環境の改善**:快適で健康的な作業環境を提供するため、オフィスのレイアウトや設備を改善する。
- **ウェルビーイングプログラムの導入**:メンタルヘルスサポートやフィットネスプログラムを提供し、従業員の健康をサポートする。

### 4. 報酬と福利厚生に関連する対策

#### **給与体系の見直し**
- **市場調査の実施**:給与水準の市場調査を定期的に行い、競争力のある報酬を提供する。
- **成果報酬制度の導入**:従業員のパフォーマンスに応じたインセンティブを設定する。

#### **福利厚生の充実**
- **カフェテリアプランの導入**:従業員が自分に必要な福利厚生を選べるようにする柔軟な福利厚生制度を導入する。
- **家族支援プログラムの拡充**:家族をサポートするための育児休業や介護休業などのプログラムを充実させる。

### 5. 文化と価値観に関連する対策

#### **組織文化の強化**
- **文化ワークショップの実施**:従業員が共感できる組織文化を育むためのワークショップを定期的に開催する。
- **エンゲージメントサーベイの実施**:従業員のエンゲージメントレベルを定期的に測定し、改善点を特定する。

#### **価値観の共有**
- **リーダーシップトレーニングの強化**:リーダーが価値観を体現し、従業員に浸透させるためのトレーニングを提供する。
- **成功事例の共有**:価値観に基づく行動が成果に繋がった事例を社内で共有し、従業員の共感を促進する。

### 6. コミュニケーションの改善に関連する対策

- **オープンなコミュニケーションチャネルの導入**:従業員が自由に意見を交換できるオープンなコミュニケーションチャネルを提供する(例:社内SNS、フィードバックボックス)。
- **リーダーとの対話の機会増加**:リーダーと従業員が直接対話できる機会を増やし、トップダウンではなく双方向のコミュニケーションを促進する。

### 7. フィードバックの活用に関連する対策

- **フィードバックループの確立**:従業員からのフィードバックを基にした改善策を実施し、その結果を従業員にフィードバックするプロセスを確立する。
- **定期的なフィードバックセッション**:フィードバックを継続的に収集するために、定期的なアンケートや1対1のセッションを実施する。

### 8. パフォーマンス評価の見直しに関連する対策

- **360度フィードバックの導入**:多角的な視点からのフィードバックを収集し、公正な評価を実現する。
- **透明な評価基準の設定**:評価基準を明確にし、従業員に対して透明に伝える。

### 9. ダイバーシティとインクルージョンの推進に関連する対策

- **ダイバーシティトレーニングの実施**:全従業員を対象にダイバーシティとインクルージョンの重要性についてのトレーニングを行う。
- **インクルージョンプログラムの導入**:多様なバックグラウンドを持つ従業員が安心して働ける環境を整備するためのプログラムを導入する。

これらの具体的な対策を実施することで、eNPSの結果から明らかになった組織人事課題を効果的に解決し、従業員満足度とエンゲージメントを向上させることが期待できます。

限られたリソースで上述の施策を実行するためには、優先順位を明確にする必要があります。以下の判断軸を用いて優先順位を付けると効果的です。

### 1. **影響度**
- **従業員満足度への影響度**:施策が従業員満足度やエンゲージメントにどれだけ大きな影響を与えるかを評価します。eNPSの結果で特に不満が集中している領域に重点を置きます。
- **業績への影響度**:施策が業績や生産性にどれだけの影響を与えるかを評価します。短期的および長期的な業績改善に寄与する施策を優先します。

### 2. **コストとリソースの必要性**
- **コスト対効果**:施策の実施にかかるコストとその効果を比較し、費用対効果が高い施策を優先します。
- **リソースの可用性**:現状のリソースで実行可能な施策を優先します。特に短期間で成果が出やすいものを選定します。

### 3. **緊急度**
- **従業員の不満度合い**:従業員の不満が強く、放置すると離職リスクが高い課題を優先します。
- **法的・規制の要件**:法的または規制上の要件を満たすために必要な施策は優先度を高くします。

### 4. **実行可能性**
- **短期実行可能性**:短期間で実行可能かつ成果が出やすい施策を優先します。パイロットプログラムや小規模な施策から始めることも有効です。
- **既存のプロセスとの整合性**:既存のプロセスやシステムに無理なく統合できる施策を優先します。

### 5. **従業員の意見**
- **従業員のフィードバック**:従業員からのフィードバックを重視し、多くの従業員が支持する施策を優先します。

### 6. **組織の戦略的優先事項**
- **経営戦略との一致**:組織の長期的な経営戦略やビジョンに合致する施策を優先します。
- **カルチャー変革の一環**:組織文化や価値観の変革を促進する施策を優先します。

### 優先順位付けの例

#### **高優先度施策**
1. **ワークライフバランスの改善**(影響度:高、コストとリソース:中、緊急度:高、実行可能性:高)
2. **フィードバックループの確立**(影響度:高、コストとリソース:低、緊急度:高、実行可能性:高)
3. **給与体系の見直し**(影響度:高、コストとリソース:中、緊急度:中、実行可能性:中)

#### **中優先度施策**
4. **キャリアマッピングの導入**(影響度:中、コストとリソース:中、緊急度:中、実行可能性:中)
5. **ダイバーシティトレーニングの実施**(影響度:中、コストとリソース:中、緊急度:中、実行可能性:高)
6. **オフィス環境の改善**(影響度:中、コストとリソース:中、緊急度:中、実行可能性:中)

#### **低優先度施策**
7. **Eラーニングプラットフォームの導入**(影響度:低、コストとリソース:高、緊急度:低、実行可能性:中)
8. **カフェテリアプランの導入**(影響度:中、コストとリソース:高、緊急度:低、実行可能性:低)

このように、影響度、コストとリソースの必要性、緊急度、実行可能性、従業員の意見、組織の戦略的優先事項などの判断軸を用いて、優先順位を明確にすることが重要です。

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