私がTwitterを始めた理由
私は最初、人探しを理由にTwitterを始めた。
探している相手は小学校の同級生だ。
私は途中で転校してしまったのでその子が写る卒業アルバムも持っておらず、覚えているのは名前となんとなくの外見だけだった。
2021年、私は動画のサブスクでカルトのドキュメンタリーを観た。
何の気なしに見始めたら面白くて、1話完結のその作品を見進めていった。
そしてある宗教団体に関して掘り下げる1話の話を見て、その同級生を思い出したのだ。
その宗教団体は、エホバの証人だった。
同級生がエホバの証人だったという話を聞いたことはなかった。
しかし記憶を遡ると、どう考えてもその組織に属していたとしか思えないのだ。
「校歌は歌っちゃダメなの」
校内の集会の時、気まずそうにうつむいて校歌斉唱を避けていた彼女。
校歌をうたってはだめなんて聞いたことがなくとても不思議なルールがあるんだなぁとぼんやり思ったものだ。
そんな彼女は小学生ながらホラーやスプラッターが大好きで、私も同じ趣味だったので怖い漫画を書いて交換したりしたものだ。
その頃「バタリアン」というゾンビ映画が全世界で大ヒットしていて、私も何度も何度も繰り返しビデオを見ていた。
彼女は見たことがないと言うので、是非見て欲しいと思い彼女の家にそのビデオを持って行った。
彼女は乗り気ではなかった。
「バレたら大変」と言った。
その時彼女の親はいなかったし、もし見つかってしまったとしてもそこまで怒られることなどないだろうと軽く考えていた私。
映画の再生中、ドアの開く音がして彼女の母親が帰ってきた。
彼女は慌ててビデオをとめたが、子供の不自然な態度に親が気づかないなんてことはあるはずがなく、「何を見ていたの?」と詰め寄られた。
彼女の母親はいつもニコニコとしたとても感じの良い女性だったので、怒ると言ってもたかが知れているなんておもっていたが、実際は違っていた。
ものすごい剣幕で怒鳴り散らされ、あっという間に私は家から追い出されてしまった。
呆気に取られたが、後日うちの母親に事情を話し彼女を家に呼んで続きを視聴した(笑)
何か厳しいルールがあるらしい。ということは何となく分かった。
しかしそれが何によるものかはわからなかったし、子供だったのでそこまで深く考えることもなかった。
ある日、彼女が「見て見て!」と嬉しそうに薄い本を見せてきた。
「昨日集会中に書いたんだぁ」
その薄い本には彫りの深い外国人男性のイラストが描かれており、なにやら難しそうな内容の物だった。
その男性の一人の首に縄で首吊りをさせている落書き、ある男性の胸にはナイフが刺さり血が垂れている落書き。
それを嬉しそうに私に見せてくれた。
なんだか分からないがこの本にこの落書きって、まずいのではないか?
そう思ったが何も言わなかった。
今思えばその本はものみの塔だった。
彼女のいた組織のことがわかり、それを詳しく調べるうちに彼女のあれからが気になった。
調べると校歌斉唱の他にも、誕生日やクリスマスなどの子供が大好きな行事の全面的な禁止、様々なスポーツの禁止、音楽やアニメなどの娯楽の制限、信者以外の友達や異性との交流の制限など、生きた心地がしないような禁止事項が本当に沢山あることがわかった。
彼女はそんな家庭で育っていた・・・?
天真爛漫で明るい彼女からは想像もつかない。
私は途中で転校してしまいそれきりだったが、その後彼女はどう過ごしていたんだろう?
無事に組織を抜けることはできたのだろうか?
そうしてエホバの証人について調べていくうちに、人生を揺るがすほどの衝撃的な瞬間が訪れた。
それは、鞭を知った時だった。
エホバの証人の組織からの指示で、サタンから離すための手段として子供に鞭をしろという指示があった時代があった。
初めは手で尻を叩いていたようだが、いつからか道具を使うようになって行った。
鞭の詳細は伏せるが、聞くところによると鞭をされるタイミングは常識とはかなりずれている。
些細な言いつけを守らなかった、言うことを聞かなかった、そして最もよく聞くのが集会中にじっとしていなかったという理由。
親の都合で連れていかれる宗教の集まり。
退屈な話。
平日なら夕食どきで腹も減るだろうし、当然眠くなるだろう。
しかしふらふらしていた、らくがきをしていた、手遊びをしていた、そんな理由で鞭打ちが行われていたという。
しかも昔では王国会館に鞭が常備してあり、何かあると親に引っ張られ別室で鞭をされていたという。
それを横目でみていた子供たちの恐怖は計り知れないだろうから、その効果で大人しく座っている子供たちが多かったかもしれない。
さらに調べると鞭されていた年代は、主に30代から。
私は30代。
ということは、同級生の彼女もきっと・・・?
あんなに優しそうで物腰の柔らかい彼女のお母さんが?
あんなに明るくいつも笑っていた友達が?
鞭を知った時、脳天に稲妻が落ちてきたくらいの衝撃だった。
私は何も知らなかった。
まさかそんなことが行われていたなんて。
彼女の現在を知る為に、現代ではきっとネットが役立つと思い私はTwitterのアカウントを開設した。
そうしてエホバの証人2世さん達に彼女のことを聞いて回った。
特定の組織内だったら横のつながりも強いかもしれないと考えたのだ。
しかしその県の2世さんはなかなか見つからず途方に暮れていた時、ある人が「集会に参加して聞いてみたらどう?」と提案してくれた。
コロナ禍ということもあり集会は現在オンラインで行われているというのだ。
私は地元から離れた県にいたが、それならば参加出来る。
彼女の知り合いに遭遇出来るかもしれない。
しかし宗教組織ということもあるし、下手をすると彼女や彼女の家族に迷惑がかかる可能性があると考え、設定を綿密に考えることにした。
まず切り口は、組織に興味を持って参加したいということにして警戒をとく。
県外からの参加で怪しまれないように、地元に住んでいることにする。
集会後にブレイキングがあるというのでその時に「そういえば」といった感じで彼女のことを持ち出す。
その為にGoogleマップとストリートビューを駆使して地元の最近の地理や店を予習した。
日曜は新規向け、平日は信者向けだというので、あえて平日に入ってみる。
地元の会衆の区域分けもTwitterの2世さんに教わり、その会衆の長老に電話をかけた。
そして平日の夜のオンライン集会への招待を受けることができた。
待ち侘びた集会の夜。
集会に興味を持った友人を待ちZOOMに入室すると、たくさんの人たちが真剣な面持ちで参加しているのが画面越しに見えた。
私は集会を待つ間にjwの教義について少し勉強していたので、内容はなんとなく理解できた。
その時は大患難について話しており、私が最も面白いと感じた部分だったので大変興味深く聞かせてもらった。
しかし突然の讃美の歌斉唱の時は流石に面食らったし、張り切って熱唱する姉妹の姿に少し笑ってしまったのも事実。
集会が終わり、ブレイキングルームへの振り分けが行われ、同級生について聞けるタイミングが訪れた。
長老が私のことを皆さんに紹介してくれた。
信者の皆さんは新規の私のことをとても歓迎し喜んでくれた。
「初めてなのに難しい内容だったでしょう」と労ってもらったが、予習のおかげで随分理解できたので問題はなかったが、便宜上それは黙っていた。
私は頃合いを見て口火を切った。
「小学校の頃の同級生がエホバの証人で、そのことを覚えていて興味を持ったんです。」
兄弟姉妹はとても良い反応をした。
「そんな昔のことを覚えていて興味を持ってくれたなんて!」
なぜか拍手を受けた。
「彼女ととても仲が良かったんです。
彼女は・・・とても絵が上手で、一緒に描いたりしたんです。」
一瞬漫画と言おうと思ったが、漫画などの娯楽は褒められるものではないはずだと咄嗟に頭をよぎり、絵ということにした。
本当はホラー漫画を描きあって見せ合っていた。
「○○さんというんですがご存知ですか?」
知らないでいてくれ、と思った。
とっくに抜けていてほしかったから。
しかし答えは「ああ、○○さんなら今××市にすんでいるわよね?お子さんもいて」
!?
彼女の近況を知っている。。。ということは?
世話焼きそうな姉妹が共通の人に連絡をとってくれるということになった。
私はそれを長老づたいに教えてもらうことになった。
それから私はどのあたりに住んでいるのかなど聞かれ、Googleマップで調べておいた情報がとても役に立った。
「○○学校が合併したじゃないですかあ」
などと全く違和感はないであろう地元トークを繰り広げてみせた。
同級生から連絡が来るまでの何日間かの間に、私は彼女の夢を見た。
彼女は何かを書くような細かい作業をしていて、社長をやっているといった。
しかしバリバリ働くことをよしとせずしかも女性の立場のよわいjwで社長をするなんてあまりないことかな、と思った。
彼女から連絡が来た時聞くと、なんと彼女は本当に社長をしていた。
しかもデザイン系だという。
何かを書く動作、遠からず。
彼女は現役の信者だった・・・。
高校卒業してから家を飛び出したものの、慣れない世間にもまれ様々なよくないものに依存し溺れ、めちゃくちゃな生活をしていたところに、伝道で回ってきたjwに懐かしさを覚え古巣に戻ってしまったらしい。
バプ済。
ご主人が世の人で懐疑的から中立になったくらいの姿勢の人であることから、子供への信仰の強要や禁止事項がないことを聞いて心底ほっとした。
男を立てるjwの教えがそこでプラスに生きた。
彼女は信者と思えないような砕けた口調の文面で冗談にもよくのった。
しかし現在、おそらくブロックされてしまったようで連絡がつかなくなってしまった。
私が離婚する云々の時にそれを止めるようなアドバイスを受けたのだが、私の反応が思わしくないと感じさせたのかもしれない。
でもそれは仕方のないことのような気があする。
彼女は旦那を立てろとか仲直りをしろとかエホバに祈ってみろとか、あまり受け入れられないアドバイスをくれていた。
人と人の意見が合わないことなんてよくあるから仕方がないけれど。
まあ彼女の近況が知ることができすっきりした。
彼女もずっと気にかけてくれていたと知った時は少なからず嬉しかったろう。
知らないけど、そう思うことにする。
彼女と再会できた時、Twitterの二世さんたちはとても喜んでくれた。
集会で話を合わせるためだったはずだが、調べるほどにjwというカルトの教義に興味を感じ、彼女との再会後もjwのことを調べる私がいた。
以前から洗脳殺人事件などに興味を持ちドキュメンタリー番組を見たりするのが好きだったので、カルトに興味を持つのも自然な流れだった。
時にはスペースに参加して実際の組織の実態のついて聞いたりしながら理解を深めていった。
そうして2世問題と洗脳問題について考えながら、真面目な発言をしたり時には統治体や大袈裟すぎるイラストについていじったりするゆいちゃんが爆誕した。
時に不謹慎で、冗談のつもりで書いたことで気を悪くする人がいたかもしれない。
しかし私のことを好いて優しく見守ってくれている一世、二世、PIMO、FO済みの人たちが今もフォローしてくれている。
宗教をいじっても2世さんをいじることはしない。
2世問題には真面目に考えたり感じたりするし胸を痛めている。
私は宗教とは無関係な人生だったが、恵まれない家庭環境にいたために他人事ではないのだ。
エホバの証人から他の宗教も調べていき、同じように仲良くしてくれている、主に二世さんたちがいる。
(他宗教の話はまた後で)
いまではTwitterのみんなは友人のような存在だ。
長くなったけれど、どうだったかな?
これがゆいちゃん@カルトの果てまでイッテQが爆誕した遍歴でした!
用語についてどこまで説明を加えた方が良いか悩んだけど、めんどくなってそのまま書いてしまったw
もし質問あれば聞いてください(➰〰➰)ノ