【Twitter】「絵柄を増やせば仕事になる?」考察
「絵柄は多い方が良いって聞くし、よし、増やすか!」
…と、思ったら注意してください。
高確率でこう思われるリスクがありますので。
ええ、ええ、何を隠そう、私もフリーランスになりたての頃はこう思っていました。「お客様のご要望になんでも答えられる、絵柄が沢山あるイラストレーターになろう!」と。
この思考にたどり着くのは、イラストをビジネスに使うことを検討している段階の方、もしくは自分の絵柄を模索している方が多いように思います。…私がそうだったから…
世の中には確かにカメレオンのように絵柄を自在に操る神の如きイラストレーターの方々、決して多くはいないけれど確かに存在します。需要があるのはその方々が既に証明してくださってます。
ただ、問題は「その需要のある層に適切なアピールをできるのか?」そして「ひとつの絵柄に注力しているイラストレーターと真っ向から競合にして勝機があるのか?」。
問題①需要に応えられることをアピールできるか?
ひとつここで申し上げたいのは、絵柄が沢山あることを武器にするということは即ち「なんでも描けること」を武器にするということです。「複数の絵柄の商品を売る」ではなく「どんな依頼にも応えられる対応力」を売ることになります。つまり技術力が突出していることが前提になります。
美少女から人外、背景、小物もすべて均一な品質を保つことが前提です。…それができるからこそ、カメレオン系イラストレーターはものすごく需要があるわけですが…
そして「対応力」を売り物にする以上、必要なものがあります。
それは「信用」。具体的にいうと「これまでの活動実績」と「お客様の満足の声」。
作品を売り物にするのであれば、お客様はサンプルを見ればなんとなく雰囲気は掴めますが、対応力を見たいと思ったら「ちゃんと対応してくれたことを証明してくれるレビュー」しか、実力をはかる術がありません。
どんなに需要のある人が近くにいても、最低限、この二つを持っていないと選ばれるのは難しいです。
そしてこのアピールが適切にできないと、「結局この人は何をしたいの?」と思われてしまうことになります。
(私はここで挫折したのでカメレオン系は諦めました)
問題②競合に勝てるか?
人間に与えられた時間はみんな等しく1日24時間です。
5つ絵柄があってそこにかける時間をそれぞれ1時間とする人が1人と、ひとつの絵柄に5時間かける人が5人いたら。それぞれの絵柄で5人と競争するとしたら、自分が選ばれる確率はどれだけあるでしょうか?
お客様は「より専門性の高いプロ」を選び傾向にあるそうです。ラーメンを食べたい人がファミレスではなくラーメン屋に行くのと同じ原理です。
絵柄は派生させるもの
じゃあどうすりゃいいんだと。
結論を言うと、絵柄は増やさず、派生させると仕事になります。
既存の絵柄を河の本流として、そこから支流を分けていきます。
派生の方法①変えるものを決める
-線を変える(太さ、丸み、有無など)
-配色を変える(置き換える、減らす、増やす、彩度明度を調整するなど)
-比率を変える(頭身、顔パーツの配置など)
-テクスチャを変える(水彩風、油彩風、紙、金属、など)
-描く対象を変える(年齢、性別、属性など)
ぱっと思いつくのでこんな感じでしょうか。
派生の方法②変えないものを決める
かなり大事です。本流となる絵柄をある程度踏襲しないと全く別の絵柄になってしまうので、
本流の絵柄の特徴は何でできているか?自分らしさや強みはどの部分に現れているか?
を考えます。(以下のツイートも参考にしてみてください)。
派生させるのは新しいお客様のため?
新規の方を獲得したいあまり、今までの絵柄を気に入ってくれていた方々を蔑ろにすることだけは避けたいところです。目指したいのはお客様を増やすことであって、入れ替えることではありません。
今までの絵柄をアップデートしたりバリエーションを増やすことで、絵柄を気に入ってくれるお客様の層をじわじわ広げていくことで、お仕事が増えていきます。
元ツイートはこちら
追記(2020.10.05)
イラストを発注する側の方からのご感想をいただきました!
「絵柄」について発注者が考えてることもぜひご覧いただければ幸いです。
書いた人…はこしろ
WEBサイトは下記のURLから