私の絵の「強み」って何?と迷ったら
自分のイラスト「強み」を見つけるべき理由
「ちゃちゃっと描いたイラストが妙にウケた!」
イラストを描いているとたまーにそういうことがあります。
自分にとってさほど意識していなかったものが、よくわかんないけどすごく好評だった、という経験。
めっちゃ頑張って描いたものが見向きもされず、ぱぱっと描いたものに「いいね」がつく現象。
そして誰しもが思うでしょう「ああ、また次に描いたものにも同じようにいいねがついてほしい」と。
…柳の下にドジョウはいない、と昔の人は言ったそうです。たまたま柳の下にドジョウがいた。ラッキー!明日もいたらいいな!という期待と夢を見事にぶった斬る無慈悲なことわざですが、ふと思ったのです。
その人は「なんでそこにドジョウがいたのか?」「誰が運んだのか?」「次に落ちるとしたらいつか?」…は考えなかったのではないか?と。
もしかしたら、その柳のそばを漁師が通ったのかもしれない。大きな鳥が運んだとしたら、ドジョウがいる沼が近くにあるのかもしれない。台風で飛んできたとしたら、まだ近くに魚が落ちている可能性も考えられる。近くにドジョウが足を生やしてやってきたのでない限り、そこには何らかの原因と意図があります。
幸運に再現性はありませんが、それが運ではなくなんらかの要因による現象だったなら、それは再現性があるはずです。
仮に、幸運が「たくさんの必然と意図によって引き起こされた現象」なら、その条件を揃えることである程度同じような現象を起こせるのではないか?何度でも再現できるのではないか?
イラストに「いいね」がついたことに理由があるなら、その理由こそ、安定して継続的に評価されるイラストを制作するために必要な情報、なのではないか??
人に聞く勇気
今回のツイートで、「私の強みってなんだろう?」というコメントが多くつきました(ありがとうございます)。
そしてそれを見たフォロワーさんは首をかしげたことでしょう、「え?何言ってるんだ?そんなの見りゃわかるよ!」と。
…いや分からないのよ!!!謙遜でもかまってほしいわけでもなく、ほんっとに!!!!
「強みなんだろう?」って聞くまでに、頭の中ですんんんんごい葛藤や気恥ずかしさなどの感情がうねりにうねって悩みに悩んだ末に、人の意見を求める方が多かった気がします。聞くのって勇気がいります。
そしてそんなコメントに対して、答えてくださるフォロワーさんもいらっしゃいました。「こういうところが好き」「ここが良かった」と。
でも、恐らく描いた本人としては正直こう思うこともあると思います。
「んんんんんそこを見てほしいわけじゃないんだけどなああああ」
…、
……それそれそれ!!!自分が気づかなかった強みそれ!!!!!
これは実は世紀の大発見なのです、「自分の意図しないところが評価されてた…」と落ち込んでる場合ではありません。
それは無意識なのに自然と湧いて出てしかも評価されちゃうレベルのすっごい「強み」なのです。
フォロワーさんから「あなたの足元なにか湧いて出てますよ、気になるなあ」って言われてふと下を見たら、…こ、これは…お湯!?ってなったら、とりあえず掘ってみて、そしてそこから温泉が湧いて出てきたら、そのお湯の成分を調べて効能見つけて、そこにおしゃれな温泉宿を建てて「素敵な温泉沸いてます!」って宣伝して営業始めて、人が来るようになったら温泉饅頭つくったり温泉の素を作って全国の皆さんに販売しちゃうこともできるのではないか…??
「ここだ!」って自分が思ったところに源泉がなくても、「いや気づいてなさそうだけどそこにありますよ」って周りの人に言われたら落ち込む前にまずスコップ持って掘り下げた方が得しそうな気がしません…?
もちろん、掘ってみてお湯は出たけどその効能が自分にとって全然ピンと来なかったら、そこに温泉宿は建てずに別の源泉を探すのもひとつの道です。が、本当にそれが自分に必要ないかどうか?の判断は、実際に向き合ってみなければ分からないことも多いです。
自分で気づかなかった源泉は特になんもしなくてもある程度は出続けるものなので、比較的ストレスなく既にできていることである場合が多い気がします。
それを「強み」として押し出すなら、次に考えるべきはそれをどう磨き、どう使い、どう増やし、どう安定して供給できるようにするか?ではないでしょうか。
もしかしたらそのためにイラストを描く機材を見直す必要があるかもしれないし、さらに良くするための技術や知識を学ぶ必要性を感じることもあるかもしれません。
強みをふまえてそれを活かす形でグッズ化したらそれはつまり温泉饅頭ですし、もっと人気が出てきたらそのうち出版社から声がかかって画集発売!となるとそれは企業とタイアップした温泉の素でしょう。(…何書いてるか分かんなくなってきた…)
強み人に聞くことによって得することはあっても、損することはあんまりないです。がんがん聞いちゃえ!というのが個人的な意見です。
強み=好み…とは限らない
幸いなことに、私にとっての「強み」はイラストによる解説だ、言っていただけると機会が少しづつ増えてきました(ありがとうございます!!!!)
(…まあ、正直なところイラストを生業にしようと決めた当初は全っっっく気に留めたこともなかった「強み」だったので、こんな記事を書く資格があるかと問われると…………………、ほんとすみませんと謝ることしかできないのですが…)
これも色々な方から「そこ掘ってみ!!!!源泉あるから!!!!!」と言われたから「えー本当にい?んなわけないよお」と疑いながら掘ってみた結果でした。
掘ったら出た。なんか使えそうな予感…現在水質調査などを進めております。
頑固な私は何度も言われなければ信じようともしなかった人間なので、そうやって何度も指し示してくださる方がいた、というのは本当に純粋に幸運だったと思います。…多分これは再現性ない…
…さて。
実際のところ、自分のしようとしていたことと評価されることが一致する例って実は少ないんじゃないかな、と思っています。
そしてこれは個人的かつとても極端な意見かもしれませんが、「好み」よりも「強み」を選択することが、「イラストレーターという職業に就くこと」なんじゃないかな、と思っています。評価してくださるお客様がいなければ商売は成立しないので。これはイラストを仕事にするときに決めた方針でもありました。
イラストを趣味から仕事に切り替えるときに、強みを無視せず活かすことを考えられるか?
最初はぴんとこなかった「解説イラスト」ですが、今では描いていてとても楽しいですしもっと描きたい、と思います。誰かの役に立ってるのかも、と思えることが何よりの原動力です。
で、気づいたら「強み」を仕事にしていたのが次第に「好きなことが仕事になってる」状態に近づきつつあります。
…ん?
強みと好みが一致しつつある…???
これはただの結果論でしかありませんが、そっかあ、そんなこともあるんだあ…と。
なんにせよ、強みを知っていて損することはない。という持論でした。
長々としたnoteになってしまいましたが、ご覧いただきありがとうございました!
(強みを活かすためにやってること)
ここからはすごく抽象的な話になります。
概念を勝手に解釈して勝手に検証してるだけなので、ご興味ある方に読んでいただけたら嬉しいです…………(ツイートでは語りきれない)
↓
イラストを描くときに力を入れたところが、必ずしも評価される対象になるとは限らない、というのを前述しました。いや実際ほんとめっちゃ悔しいし、もおおおなんでーーーーーってグルグル不安になって落ち込むんですが…………
でもそれって実は当たり前で、自分と全く同じ価値基準の人間なんて多分まあいないんですよね…同じものを見ても、感じ方は人それぞれ…(って思ってもやっぱり納得いかないことも多々ありますが…)
その一方で「でもここの部分に関してはなぜか多くの人が同じようなコメントくれるよな」という部分もあります。
個人的に、その部分の特徴を「イデアに近い」と形容しています(イデア論、ていう考え方があるらしいので)。
このイデアに近い特徴を探すことこそが、「いいね」の理由を探すときの本質ではないかと考えています。
(イデア論…(かなりざっくしした個人解釈です)例えば、多くの人間が「このイラストは美しい」と感じるとします。このとき、全ての人間の頭の中には「純度100%誰がどう見ても美しい」という概念【「美しい」のイデア】が存在していて、そのイラストの特徴がイデアとある程度一致しているからみんなは「あっ、イデアに近いから美しい!」と認識しているんだよ、という考え方。私はイデアを「理想の姿」とか「お手本」みたいなニュアンスで理解してます。すごく古い考え方なので人類学や脳の構造的に本当かどうかはまた別ですが…)
「そのイラストをイデアに近づけている要素
=イラストの強みになりうる要素」
かなと。
以上を前提として、さらに人間の頭の中に存在する「イデア」が仮に本当に存在する、と仮定するなら、こんなアプローチができます。
事実: 私のイラスト解説が【分かりやすい】と評価を頂いた
↓
予想①: そのイラストは【分かりやすいのイデア】に比較的近い位置にあり、
↓
予想②: その【分かりやすいのイデア】が何で作られているかが分かれば、そこに意図的に近づけやすくなる
↓
仮説: 事実より、イデアの構成要素はそのイラストのどこかの要素とある程度一致すると考えられる
↓
検証①: それは色なのか?文字の大きさなのか?中身の文章の書き方なのか?イラストのタッチなのか?と一つずつ要素を切り分けて、「その要素を強めた場合」と「なくした場合」とで比較実験を行う
↓
検証②: イデアに関係ありそうな要素を見つけたらさらに細かく分解して掘り下げて、逆に特に関係なさそうな要素は消してみる
↓
結果の測定: それによってイデアに近づいたかどうか?の判断基準は「いいね」がつくかどうかを計測、記録
↓(繰り返す)
現段階の進捗状況: 上記の方法を繰り返すことで、再現性が少しづつ出てきた。
精度と再現性を上げるためにイデアの要素を深掘り、また見落としている要素の洗い出しを進める←イマココ
半年くらいずっとやってみて、ほんとにちょーーーっとずつですが、なんとなくイデアがどんなものなのか、こうかなーー?くらいの想像はつくようになってきました。
…まあ、これ「わかりやすいのイデア」だけの話なので、「かわいいのイデア」とかは全然手をつけてないのですが………しかも「イデア」って不変であるとは限らないので(流行や文化圏の違い、年齢、性別、立場によっても微妙に変わってく気がしてならない)そう思うと比較実験は一生続くなあなんて思います。
ひえええ…