学生からフリーランスのイラストレーターになって生き残るためにしたこと【1年目と3年目の私のまとめ】
noteの記事を整理していたら、「学生からフリーのイラストレーターになって、生き残るためにしたことをまとめてみた」という記事を発掘しました。
…下書きの状態で。
すっかり出すのを忘れていましたが、そういえばこんなん書いたわ…!と思って読み返してみたところ…、色々と補足したり突っ込みたいことだらけだったので、章ごとに2021年の自分視点で追記したものを公開してみようと思います。
奇しくも、フリーランス1年目と3年目の自分の対談(?)みたいになりました。
(5年目、10年目とかにもまた追記していったら面白いなあなんて思いました)
頂いたアドバイスは徹底的に分析することにした
フリーランスになって間もない私に、ありがたいことに仕事のアドバイスを下さる方が何名か現れて、アドバイスを頂くことが何度もありました。
「こういうところが良かったよ」「こういうところを直そうね」…言葉にしてしまえばたったそれだけなのですが、アドバイスを頂いたということは自分の行動がその方に何かしらの影響を与えたということ。それがどんな影響だったのか、また、それを感じたその方は私に何を伝えようとしているのか…
頂いたアドバイスを時間をかけて咀嚼して、表面上だけの意味にとどまらず、その本質まで掘り下げて理解することを意識しました。
例えば「イラストのバリエーションをもっと見たい」と言われたら、ただそれだけに注意するのでは足りない。バリエーションを提案できなかった、つまり自分には「アイデアを提案する力」が足りていない、と解釈しました。そうすると、「これからはイラストを提案するときに何パターンか用意しよう」という結論からさらに深掘りして、「イラストの案に限らず、値段や納期、イラストのタッチも提案できるようにしよう」と展開できます。
1つアドバイスを頂いて1つ学ぶのでは足りない。そこから10くらい学びを引き出そう、と意識するように心がけました。
【3年目の私】
「アドバイスを頂ける、というのはものすごく貴重でありがたく、言葉となって出てきたアドバイスは情報と経験から成る教訓の、ほんの氷山の一角でした。
そこには表層にあらわれていない情報が眠っていて、それらの地層は自分が様々な体験を重ねることで徐々に掘り下げ、解釈ができ、その根拠や大きな枠組みが見えてきました。
その時は理解出来なくても、共感できなくても、とりあえずメモは取る。そして定期的に見直して、そのアドバイスがなぜ自分に与えられたのか?それを言った人の意図はなんだったのか?といった考察を重ねました。その方の人生観、感情、経験を数文字のアドバイスから掘り下げて考察していくのは、まるでミステリーを読み解くようでもあります。
現在ももちろん、現在進行形でこの時に頂いたアドバイスの解釈を進めています。」
現状を「正しく」把握する努力を始めた
実は自分が今いる状態って、意識的に調べないと分からないことが多いな、と気づきました。
なんとなく理解している、では足りません。
そこで、自己分析と他者からの評価の照らし合わせを定期的に実施しました。
自分の認識と他者からの認識には、多かれ少なかれギャップがあります。微妙に違う程度であれば問題ありませんが、ときには180度全く違う、といった事故のような現象が、自分の知らないところで起きていることも。
その差異は、果たしてそのままにして良いのか?或いはその差を埋めたり方法修正しなければならないのか?
という考察も含めて、「自分は自分をこう認識している」と「周りは自分をこう認識している」を明確に区別して考えるようになりました。
【3年目の私】
「これがのちに私のブランディングの基盤となる考え方になっていきました。現在もこの発想を軸に方向性について検討しています。
この時の私は「正しく理解」と称しましたが、本当の意味での「正しさ」を見つけることはほぼ不可能です。認識の数だけ理解がありますから、「相対的に」「多角的に」と形容する方が近いかもしれません。」
売り上げ目標を明確に決めて、達成するために逆算した
まず、いつまでに、月にいくら稼ごう!と決めました。
目標は「一年後に月60万達成」。
そこから逆算して、では月にどれくらい働かなきゃいけないのか?を考えました。
-自分の生産スピードを考えて、月にどれくらい描ける?
→単純計算ですが、60万をその枚数分の数で割ります(=最低単価)
→その単価にするために、自分のイラストは何が提供できるか?
と言ったふうに、どんどん掘り下げて連想ゲームをしました。
詳細になるにつれて不確定なことが多くなって考えるのが苦痛になるので、いくつかざっくりした可能性を挙げて、あとは体当たりで正解っぽいものを探す、という感じで。
頭でアレコレ考えたところで自分のちっちゃな脳みそができることなんてまあそんなに多くないので、実際にやってみないとわからないことの方がほとんどでした。可能性だけ考えておいて、あとは当たって砕けろ。その結果から考察して次の可能性を考える、みたいなのが一番自分に合っていました。
【3年目の私】
「達成したい未来があるなら、その未来から逆算する。というのは、売り上げに限らずすべてのことに応用できる考え方であると思います。この時はまだ「数字で表せること」の逆算しかしていませんでしたが、「なりたい自分」「やってみたいこと」「将来の夢」…漠然とした理想を現実にする際にも使えます。将来の夢とは今後の予定、くらいに決めてしまうと、案外具体的な方法や道のりが見えてくるもんなんだなーと思いました。…今思えば、考え方が次の項目の内容につながっています。」
チャンスを活かすための前準備を全力で取り組んだ
自己判断として、普段から触れている何気ない情報や出来事を「チャンスだ」と判定する範囲をグッと広げました。
これだ!と直感的にわかるチャンスはなかなか巡ってこないものですが、「もしかしたらこれはチャンスになるんじゃない?」と思える出来事って思ったよりずっと日常的にあるものだな、と思います。
「出来事以上、チャンス未満」みたいなことに遭遇した時に、自分がどう動けばそれが「チャンス」に昇格するかを考える癖をつけたことで、結果的に遭遇するチャンスの数が飛躍的に上がりました。
そして「チャンス」に昇格したものに対して的確なレシーブをできる手札を揃えておくことを意識しました。ポートフォリオを日常的に更新しておく、私用で出かける時も名刺を持ち歩く、などなど…
小さな工夫を日常の習慣にしておくことが結果的に機会損失を防いでくれた、みたいなこともよくありました。
【3年目の私】
「チャンスは平等に訪れる(注)ただし、それを掴めるかどうかは自分次第…ということなんですね。今の私もそう思います。
現在は、「敢えてチャンスを見送る」ということを学んでいる最中です。より成功率の高いチャンスを見極め優先するために、徒労に終わる可能性の高いチャンスは見送る…なかなか判断が難しくて、日々研究です…」
「勇気が出ない」を言い訳にすることをやめた
「うまくいかなかったらどうしよう」「恥ずかしい」、という理由で「やってみたいけどやらない」という選択をしないように心がけました。
やってみたいけどできない、のはある意味仕方なくて、その時の状況や金銭的な問題を考えれば、そう判断せざるを得ないことってあります。
でも、「勇気が出ない」…というのを理由にすると、多分、勇気が出るのを待ったところで出てこないな、と思いました。
「やらずに後悔するよりやって後悔した方がまし」みたいな言葉をよく聞きますが、少なくとも「勇気が出なくてできなかった…」という後悔の仕方だけはやだな、と。
直感的に「やった方がいい!」と思ったことは基本的に全部やってみることにしました。
また、同様に「自信がないな」と思った時も、純粋に自信がないだけなら、とりあえずやってみよう!と思う癖を少しづつつけていきました。
【3年目の私】
「勇気が出ない、は言い訳。そう、この時は思っていたようですが、ここに注釈をつけます。【勇気が出ないのは、過去の経験や他者からの情報を総合的に考察した結果のリスク回避行動である】。このリスク回避行動が吉と出る場合もあります。それを好意的に称するなら、「慎重である」となるでしょう。
しかし、あくまでこの時はスタートアップ。勢いと失敗を恐れない姿勢が必要だったことも事実です。ただ、この姿勢のままでいるとリスクを負っている状態が続くということなので、2年目以降はある程度落ち着いて慎重さを取り入れていくように方向転換しました。」
身の回りのものをアップグレードした
仕事に関するものはもちろん、プライベートでもなるべく節約したい気持ちを抑えて「普通」か「ちょっといいもの」を使うように目指しました。
理由としては、お金を「使う」癖をつけたかったからです。
今まで極度の節約癖があり、基本的にものを買いたくない、という性格でした。しかし、ある程度身の回りのものや特に仕事道具に関してはお金をかける癖をつけておかないと、例えば新しい技術であったり有益な情報を知るきっかけを掴めません。
無料や、安価で手に入るものには限度があるし、逆にお金をかけることで新しく手に入れることができるものの幅も広がるはずです。
お金を節約することばかりに執着しないで、使うことで新しいものを得られるように、という考え方にシフトしました。
【3年目の私】
「この考え方を定着させるために頑張って高い鞄を買ったりもしましたが、モチベーションを上げるという意味合いでは確かに効果的でした。しかし、アップグレードとはあくまで「より良いものにする」のが原則。金銭的な価値の高いものを使う、という行為とは本質的に全く違うことだと知りました。個別最適化こそいちばんのアップグレードなんだなあ、と思いました。」
徹底的に記録する癖をつけた
「事実」「感想、手応え、感覚」…この2つを軸にして記録を取る癖をつけました。
「事実」は、出来事や知識。ここには誰の感想や考察も入れません。出来事と結果を淡々と書きます。その際に、特に数字での記録も意識しました。
「感想」は、自分が思ったことを書きます。当初は「感想」にしていましたが、書いている途中から「考察」「解釈」に近い内容になっていきました。一人称的な感想と、「こうなのではないか?」という考察の二つです。
おりゃおりゃー!と書き殴った上にかなりメモが散らばってしまっていて、デジタルとアナログがない混ぜになっていて見直すのが難しいので、今後はせめてもう少し見やすく書こう…と思いました。
【3年目の私】
「過去の私、これに気がついてくれてめっちゃありがとう。一番大事。感謝。助かってます。
現在は「事実」「考察」に加えて「仮説」「今後の検証」も書いています。あと、メモは全て電子化しました(アナログだと保存が大変なので…)。「事実」「考察」は基本的に次の「仮説」「検証」のための前振り、みたいな位置付けになっています。
この時はまだ自覚がありませんでしたが、これが一般的にPDCAと呼ばれるものだと知りました。」
まとめ
「就職もせずに学生からいきなりフリーランスになるなんて社会を舐めてる」と言われたこともあったし、「就職したほうがいいよ」という助言をいただくことも何回もありましたが、結果的に自分にあった働き方を見つけられてよかったなと思っています。
自力で生き残ろうとすればするほど自力ではどうにもならないことが多すぎて、誰かに助けを求めたり協力を得ることの大切さを学びました。
…組織で働くのが合わないと思ってフリーランスを選んだのに、結局人の輪の中に自分から飛び込むことで助けられたことが多くありました。
周りの方に助けられ、目をかけていただき、思っていたほど社会は怖いところではないんだなと知りました。厳しい優しさがたくさんありました。本当に、ありがたさでいっぱいです。いつか私社会に還元できる人間になれたらなあと思います。
うつ病とパニック発作と共存しつつ、治療しつつの活動だったので、思い通りに体が動かない時もありましたが、それが「少ないリソースでいかに活発に動くか」を考えるきっかけにもなりました。
来年も、楽しみです。
【3年目の私】
その来年を経験した私です。コロナ禍でガッツリ方針転換しました。1年目の私は「とにかく人に助けられた」ことを実感して、今後はネットよりもオフラインでのつながりを強化していこうとしていました。そのためにイベントや交流会を企画したり…
…まあ、その計画は全部吹っ飛んだわけですが…
「オフライン強化する!」と言っていましたが180度方向を変えて「オンライン完結型」に移行しました。…コロナ禍に対応するムーブはかなり難しかったです…ひえええ…