平成コスメの思い出〜マジョリカマジョルカに愛を込めて〜
今、世の中で俄かに「平成コスメ」と言う単語を聞くようになった。
生まれてから30歳を過ぎるまで平成を過ごした私にも平成コスメの話をする資格があるだろう。
涙が出そうに愛おしいコスメ達の話だ。
私がメイクを始めたのはおよそ二十年前、17歳の時である。
その頃、街の薬局にキラキラして、ダークネスで、魔法のような化粧品コーナーが爆誕する。
マジョリカマジョルカである。
セーラームーン生まれハリーポッター育ち、
ゴスの只中で生きようとしている少女向けコスメブランドとして大正解なディスプレイ。
女児向け変身アイテムのようなパッケージ。
平成の中頃、ゴス的なものたちはまだ確立の途中で、大変な勢いであった気がする。
そんなゴスな雰囲気を纏うマジョリカマジョルカは私をメイク沼に叩き込んだ。
私はマジョリカマジョルカがなければ化粧をしない女になっていただろう。
最初に買ったのはメイク下地とパウダーだったように思う。
「メイク下地」なんてものがこの世界にあるのも知らなかったし、どうも日焼け止めの効果もあるらしい。
私はそれまで日焼け止めに全敗していた。
この素敵なボトルのメイク下地で湿疹が出なければ、学校にもつけていける‼︎
と喜んだ。
パウダーも白く夢のようなパッケージで、持つだけで踊り出しそうにステキなモノであった。
メイク下地を塗り、パウダーを叩くともうこれが大変にキレイで、
そもそも天花粉以外のパウダーを自主的に顔に塗ったのがこれが初めてのことだった、
というのもあってとても感動したのを覚えている。
今思うと、いささか塗り過ぎではあったのだが。
もっとも、メイク下地はあまり肌にあってなかったようで、湿疹は出たのだが、メイク下地というものが日焼け止めの代わりになる、と気付いたのは収穫であった。
(この後Mediaのグリーン下地を買い、十年近く使い続けることになる)
それからというもの、お小遣いを貯めてはマジョリカマジョルカを少しづつ買い集めた。
ファンデーションを塗ったらあまり色が合ってなくて顔が灰色になったり、
ハチミツの香りのリップグロスは塗るたびに唇が一周剥け、
アイライナーはかゆくなり、マスカラはうまく塗れない。
期間限定のものは期間が短く、全然買えなくて悔しかった。
この時に買って、スタメン入りしたモノたちを箇条書きで紹介したい。
クリーム・デ・チーク
これは本当にかわいい。
すりガラスのようなボトルに入っていてマニキュアみたいだ。
blood+のコスプレをする時に買った。
目の周りにチークを入れるEDのイラストを再現したかった。
再販してほしい。チークカスタマイズ
横長のチークとそれを入れる用のケースがあり、透明に金色であまりにもかわいかった。底見えしてる。再販してほしい。アーティスティックネイルズ
ご存知の方も多いと思うが、速乾ネイルの中でも最速のネイルだった。
愛用は「彼の爪」(黒)。
めっちゃ塗りやすくすぐに乾くが、ボトルの中の分もすぐに乾いて三ヶ月で使えなくなる。いつの間にか売らなくなっていた。悲しい。Lady Cat
限定品で唯一買えたアイシャドウパレットである。
灰色に輝くゴールドと、紫のラメを閉じ込めたブラック、どうしてここに?と聞きたくなるピンクのアイシャドウとピンクのリップグロス。
グロスは使えなかったが、アイシャドウは今もゴスなメイクをする時に使っている。2000年代のゴシックにあまりにもよく馴染む。
パッケージももうハゲハゲで、買い換えたほうがいいのは分かってるがきっと一生捨てられないだろう。
思い出深いのだけど、ついに手に入れなかったものというのもあって、
白くてキラキラの手鏡、コンパクトファンタジア、
「アロマジカ」という香水や小分けになっているリキッドファンデーション、
壺に入っている方のメイク下地なんかもめちゃくちゃほしかったのを覚えている。
パッケージが「私たちむけ」だと感じるコスメは後にも先にもマジョリカマジョルカしかないだろう。
きっと開発の人に「娘がセーラームーン生まれ、ハリポタ育ち」の人がいたに違いない。
パッケージも今は物価の高騰などでもう作れなかったりするのだろうな、と思うと
とても贅沢なメイクデビューだったように思う。