webtoon線画作家とお金の話
はじめましての人も、そうじゃない人もこんにちは。
フーモアのwebtoon事業部の事業責任者の井本です。
本日はフーモアのwebtoon制作も1年と半年ほどたちまして、制作についてのノウハウもだいぶ溜まってきたましたので、久々にお金の話について公開したいと思います。
2022年1月にナンバーナインさんが制作費用を公開しております。
その発信をもとに、多くのスタジオが作家への発注費用を公開しております。業界として作家が買い叩かれないための基準を表明した流れだと思っています。ナンバーナインさん大好き。
フーモアは当時、すでに10本以上のwebtoon制作が動いており、安定した体制をつくるために、作家の配置人数を調整したりアシスタントを増員したりなど当初予定していた制作体制を大幅に調整をしないといけない時期だったため、作家支払いについてオープンに出来なかったので発注費用の公開をしませんでした。
もちろん、企画によって契約条件が異なる場合も多く、バラつきがあったことも公開できない要因の1つです。
例えば、韓国作品の多くがMG(ミニマムギャランティ)という考え方を採用しており、制作費用が作品収入を超えないと印税が出ない場合があります。
その場合は、作品の評価によって印税が発生しない可能性があり、基本の原稿料を上げることで対処しております。
そのため、短絡的に原稿料だけ比較するとネガティブな感情を与えかねないと考えていました。
制作ノウハウも溜まって料金体系も安定したし、ちょっとwebtoonの制作について作家を搾取しているといった意見を耳にしたのと、最近作家様に印税のお支払いをしているときに、webtoonの作家は、イラストレータとも既存の漫画家とも違う新しい職種だなと感じることが多かったので、本日はお金の話をしたいと思います。
色々工程はありますが、本日はその中でも「webtoon線画作家」について掘り下げます。
フーモアの発注金額について
取り組む企画によって発注金額は異なるのですが、
目安の発注金額は下記で依頼を行っております。
着色については、もともと一番最初は1人で制作を行うつもりで考えていましたが、クオリティを担保して週刊連載をするためには、下塗り、本着彩、仕上げでの分業が安定化の鍵だと進行をしながら気が付きました。
1人で週刊連載で着色は無理でした…。
もちろん、着彩・仕上げの両方を1人で行って頂いている場合には、こちらを足した金額をお支払いしております。
ネーム作家や下塗りについて、1人で複数の作品を受け持つケースも多々ございます。
発注費用って高いの?安いの?
発注費用が高いか安いかでいうと、
漫画家、イラストレータなど何と比較するかによって変わるかと思います。
ちょっと比較対象を並べてみましたが…web媒体なら印税率高かったり、雑誌によって発注費用だいぶ違ったり、イラストレータにいたっては、武器の作成かメインビジュアルの作成かで、価格が変動しすぎるので何もあてにならないですね…。
作業量と比較して費用が高いか安いかについては各々の判断だと思っています。
フーモアでは、線画作家を対応いただく場合に週刊という大きなハードルがあるため、普段うけている他の仕事と並行ではなく集中して作業をする必要があると考えており、
という月の安定した支払いが妥当だと考えております。
作品が売れるかどうかに関わらず、弊社の作業に集中いただく条件提示が必要と考えています。
また、それぞれの職種のお金面についての、メリットとデメリットを簡単に紹介します。
前提が大事なのですが、個人差が大きい業界であること、どの業界でもスキルによって立ち回りが大きく変わります。
※改めて、個人差が大きい業界です。一部分的な側面のみで比較していますのでご了承ください。
上記の比較を見ていただくと作業内容も異なるし、一概に既存の職種とくらべて「高い」「低い」を発言する必要はないかと思っています。
実際に作業内容に対して、作業工数があうかどうか。
自分がやりたいかどうかが大事だと思っています。
ただ、少し辛辣なことを言うと弊社も100人近いクリエイターとwebtoonを作っていると、明らかに安い原稿料の提示をするスタジオさんの話を聞きます。
昔ソーシャルゲームのイラストレータが、あり得ない金額での発注で制作会社が炎上した歴史を、また繰り返すのかなと思っています。
フーモアとしては真面目に取り組みをしているので、一部の会社の影響で業界自体が「webtoon」という業種に搾取的な意味合いイメージが付くと悲しいですし、すこしモヤモヤしてしまいます。
もちろん、そう受け取らせてしまうスタジオがあることも事実です。
業界全体でしっかり良いイメージを付けていきたいです。
webtoon線画作家はどんな職種
webtoon作画作家の職種について更に深掘りをさせてください。
条件を聞いて、やりたいと思っていただける方が1人でもいると嬉しいのです。
一般的にwebtoonの企画は一般的な漫画制作に比べてコストが高いです。
プラットフォームの仕様上、30話分の制作ストックを作ってようやくリリースといった場合も多いです。
韓国出版社さんと話すと「企画から公開まで1年で出せれば順調」と言われるくらい、それぞれの会社が作品がヒットすることに対して、非常に慎重にものごとを決めていきます。
単行本でいうと3巻分まで作品をつくって、ようやく公開って思ってもらうと、その特殊性は分かりやすいかもしれません。
※初期公開を20話とした場合
そのため、メイン線画のクオリティについては強いこだわりがあり、複数回のトライアルの結果ご依頼させていただく流れとなります。
フーモアでもクオリティを出すために、ゲームイラストを主に活躍していたクリエイターさんに、webtoon作画作家を依頼することが多いです。
「話を考えるのは苦手」「ネームの提供があるので構図も決まっている」
それであれば、挑戦したいと言っていただけるイラストレータさんがフーモアでの制作の50%くらいをしめます。
webtoon作画作家という職種は、漫画家とイラストレータさんの中間にある新しい職種なんじゃないかなと、思うことが最近は多いです。
webtoon線画作家の報酬について
冒頭でも何回か言葉にしていますが、「webtoon線画作家」は本当に新しい職種だと思っています。
ある程度一定の原稿料を月でお支払いしながら、3ヶ月に1度、印税としてある程度まとまったお金をお支払いしています。
※フーモアでは印税が3ヶ月に1度集計ルール
印税は作品の評価によって本当に変わります。
フーモアではまだ印税で3桁万円のお支払いを1人の作家にした実績は残念ながらないですが、2桁万円のお支払いは結構な人数で処理させていただいています。
一般の漫画家さんの印税について電子書籍なら、10%以下ということはないです。フーモアの線画作家の印税は2%です。その差は5倍。
作家から「本当ならこの5倍の印税が入っているのに損した」と言われたことは今のところ無いです。
ほとんどの作家さんから「自分1人では絶対作れなかったので嬉しい」と言っていただくことが多いです。
webtoonのお仕事を、既存のクリエイティブな仕事と比較せずに、完全に新しいクリエイターの活躍する場としてぜひみてもらえると嬉しいです。
さいごに
ちょうどフーモアで新しいプロジェクトが始まったタイミングなので、多くの人に知ってもらいたい!そんな想いでこのnoteを書きました。
本当はもっと書きたいのですが、筆がのりすぎてすでに4000文字を超えたので、ここでまとめに入りたいと思います。
現在、フーモアではwebtoon線画作家を募集しておりますが、非常に真面目に取り組んでいるスタジオだと思っています。
本記事をみて興味を持ちました作家様、是非ご連絡いただけますと嬉しいです。
作家決定についてポートフォリオ提出とトライアル必須など、ハードルは少し高めではございますが、座組も企画も非常に面白いのものが多いです。
どうぞよろしくお願いいたします!!
最後にいつもの弊社募集です!
本記事で興味を持ってくださった方、以下よりご応募ください!
■弊社募集
◎制作アシスタント
各工程における制作アシスタント業務になります。
・ネーム(絵コンテ)担当
・背景線画担当
・着彩担当
ご応募はこちら
◎アートディレクター(作画監修)
Webtoonのクオリティ管理と作画監修業務になります。
ご応募はこちら
◎ディレクター
Webtoonの制作進行管理と品質管理になります。
ご応募はこちら
■問い合わせはこちら
株式会社フーモア 担当:井本洋平
TEL/03-6228-4310 MAIL/info@whomor.com
そしてコッソリ宣伝。
僕が担当している『ジェミニシティ アンドアンダー』ぜひよろしくお願いします!
作画の顔が良い!とメンバーに褒められてドヤってます。