その日から、バックミンスター・フラー研究所の客員研究員として滞在することになった。個人的な興味から始てついに新しいことを発見したことだけ確認すれば、彼にはそれで十分だった。どこから来てどこに住んでいた、あるいは年齢さえも、この個人教授と同時に展開された研究協力期間に一度として尋ねられなかった。 そんな言わずにすむという話で人生が満ちていれば、実際はもっと純粋な興味だけに時間を使えるだろうと誰でも想像するにちがいないが、実際に起こってしまったこの経験は、彼に会う前の私のイメージと見事に一致していた。フラーは、実際の人格と行動(著作行為と科学的行為を含む)との間の矛盾がより少ない、数少ない作家の一人である。それは、矛盾を少なくするためにそうなったのではなく、総合的に思考した結果といえる。