戦争の話をしています。




父と子供の声がする。

「そう、思わない限り理解できないわけ。

彼らはそれはそうだと思う。日本だってよく考えてみてさ、そうだよなと思うこともあるわけだよ。

で、そんな原爆を落として何十万人も人を殺した国に核の傘で守ってもらえなんて思ってるなんてね。お人好しもいいところだと…何かあったらあんな同盟なんかすぐ反故にするに決まってんじゃないかと思ってるのがロシア人。

なぜかというと、過去200年にわたり裏切られ、陵辱され、侵略され、殺されっていうことを何度も繰り返してきた歴史がロシアの歴史だから…だから信じない。絶対そんなことは絶対信じない。彼らは。

【その結果として今、我々は貧しい】と。

そういうふうに…もう経験上、知ってるから、だからプーチンのことをなんというか、…まあ仕方がないと思ってる人も多いかもしれないし…、嫌だと思っていてもそれがあながちその悪…悪っていうか比較の問題だけど。もとは…といえば。

(あそこはうちの領土だ…)と、こう、思っても。間違いではないと思ってる人がほとんど。

つまり、【かつてソ連連邦であった国土は全部ロシアの領土であったとしても怒られない】と…【それは国際法上許されると信じている人がほとんど。これは今の戦争に反対している人でも、そう思っている人がほとんどだ】

と言ってる人がいる。

日本人でそう解説してる人がいる。


確かにそうかもしれないなというふうに思う。

要するに…あの、分かり合えないわけだよ。

分かり合えないんだよ。どうにもなんないこれは。分かり合えない。だから、ロシアは絶対に北方領土を返さない。信じてないから日本人のことなんか。全然信じてないから。

歴史的に考え?歴史…、何言ってるの。ちょっと前に考えれば、200年前は争奪してたじゃないですか?何が歴史ですかと、そういう話になっちゃう。重要なのは今どっちが強いか、それだけ。

国際法的に今、そうでしょ?みんなそういうふうに言ってるから。」
「まあそうだね、わかり合えないっていう言葉から…」
「残念ながらそうなっちゃった。世界中が今そう思ってる。アメリカもそう思っている。世界中が今、そう思ってやってアメリカもそう思っているし」


「原爆を落とされたにもかかわらず、いつ裏切るかもわからない。その同盟っていうものを信じることができる。あの…すごい。それがあのなんだろう…。」


「そういうお人好しの国だと思ってるって思ってる。全員思ってる。これは本当だと思う。全員そう思ってる中国人もそう思ってると思う。日本人ってバカじゃないの?ただ。ただ、日本を攻め込んでいけないのは、…もしかしたら攻めこんでくるかもしれないよ。でも、それはあのまだリトマス試験集してないからな。

ちょっと前まで経済的に優位だった国に対して、そんなことやると何か起きるだろうと思うから、その結果が読めないのでやらないといけない。

…ただこいつ2、3回ぶっ倒れても何も言わないなって気がついたら全員で来るよな、とはさ…」
「あはは!そうだねぇ!」

「そうだね。まず、北朝鮮がミサイルを打ち上げて、間違った北海道に落とした時、騒ぎになって騒いでるだけで何もしてこなかったら二発目を落とそうとするよ」「そうだね」

「三発落としても何もしなかったら、あの台湾に攻め込む中国はなぜかって日本何もしないっていうのがわかるから。日本日本が何かしたとしてもアメリカは助けないことがわかったから、もうそしたらもう来るから、もうそうなる。だから一発も落とされた時に核、武装するって誰かが宣言して…!…アメリカは信じない。核武装する、つって開発するって、一年後に必ず落とすってやらない限りそう言わない限り二発目は落ちる。…もうこれは事実だよ…これもうもうこれ仕方がない。」
「…まあそうだよな。」

「あの、国民がいて、残念な動物がいて絶滅した…っていう、歴史に日本人を残すかどうかっていう、そういう話になっちゃうから…、これもう本当に残念な話でしかないんだけど、今そういうふうになっちゃった。」
「…」
「…だから君が言ってた“分かり合えない人”はいますね。その通りだ。だからそれ、そのことを国色々だってそうなんだ。だから分かり合えない。分かり合えない人はいるんだよ。で、それは残念な話なんだよ…残念な話なんだけど、そう。それは、しょうがない。分かり合えない。君は勉強…を、不勉強だったから、なんてさ。余計怒られるに決まってんだから、そんなこと言えないしやれないし。だからそれはもう絶対に分かり合えない。しょうがない。
 …しょうがない、…。で、これ。」
「…分かり合えないかあ…。」
「分かり合えない。しょうがない」

「…分かり合えるって信じて何かしようとして…内乱が結局止まらなかったみたいな話、ってあるじゃない」
「そこら中そんななんですよ」
父がたまに敬語になる時がある。
「うん。で、分かり合おうとするって何なんだろう?相手にとってはバカにされる行為で、」

「だからさ、バカにされない、…バカにされると思って我慢するのには、強大な軍事力を持ってたら、バカにされても黙って」
「ままま、それは最強になってから、とりあえずバカにされるということでしょう?それは」
「だからそれをどうするかっていうのは難しいってだから言ってるわけ。それはどういう方法でやるかって言ったら難しいって。」
「そうだね、」
「今まであったことっていうのは最強の軍事力を持つしかないんだよ。だから秦の始皇帝はそうやって最強の軍事力を持って、こう…」
「いやぁ…すげえな、あのね?お母さん。私さ割とお父さんの言うことを普通に鵜呑みにして、うんうんって頷いてるんだけど、さ、いつも…。んで今日ちょっとその…音として聞いてみよう、と思ってー
「音っ?!」
…録音してみたのよ今、そしたら。

意識として自分の中に(ああ、でもそうか、これってそういうふうに聞こえるんだな)が、なんか今芽生えている状態なんだよ。
結構過激だった、内容が。
うん、そっか…そうだな…」

少し賑やかになる。母の声で。

「これをやる!」
「おー、やって、頑張って」
「耳が耳が痛い」
「名前を名前を書く名前と住所を書くだけだったんですそれをやる。」
「もっかいやる!もう一回やる」

「…あのさ、日本って不思議な国だと思うんだよ。すごく。これは、誰がそう思うかを知らないんだけど、でもそうなんじゃないかなって思ってる。

で、だから、いろんな国から来た人が飛んで跳ねてるように見える。ふふ、飛び跳ねてるように見える。なんか、わー変な国!つって。でわーそうだね、変な国だね、トランポリンだね〜みたいな感じで、こちらとしては見てるんだけど。」

「なんか分かり合うには程遠いんだなぁと思ってさ。」
「うん」
「あれ、お父さんあれじゃないよ」何かを探している声がする。「この〜が…がない…」

「…なんか泣けてきちゃった、やめよう。」
「これ食べたら。」
「へ?あー、食べてない、食べる〜。

いただきます。」

録音はここで止まっている。

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