ドップラー効果
ドップラー効果
ドップラー効果とは 波の発生源が移動する、あるいは観測者が移動することで観測される周波数が変化する現象のこと。
あるサックス吹きがいた。彼は有名な音大の出身だが人気がなかった。それは彼が時代に合わない音を演奏していたから。いろんなバンドに入って演奏したがながくつづいて1ヶ月といったところだった。
それでも彼は時代に合わせた演奏をしなかった。
ある日彼の友人が言った「ヨーロッパに行くといい。あっちでは違うサウンドがウケる」
彼はサックスとほんの少しのお金をもってヨーロッパに行った。
だがヨーロッパでも彼の演奏が陽を浴びることはなかった。やがてお金がなくなって路上で生活するようになった。それでも彼は演奏を続けた。
酒にもクスリにも溺れていろんな苦労をしたが報われなかった。
ある日、サックスだけを持ってビルの屋上に行った。
彼はビルの屋上でサックスを手に取り
”Love Theme From Spartacus”を吹いた。
どうしてもサビ以外が思い出せず。同じところを何度も吹いた。
いつのまにか大衆がビルの下に集まり彼の演奏を聴いていた。
彼はそのことにまだ気づいていなかった。
2人の警官が自殺を止めようと彼の後ろから忍び寄る。
彼はまだ気づかない。
ちょうど14回ほど繰り返したところで彼は警官に気付いた。
それでも演奏をやめなかった。
15回。2人の警官は7歩手前。
16回。警官は3歩手前。
彼は飛び降りた。彼は飛び降りている途中にも演奏をやめなかった。17回。
8.2秒の走馬灯。
大衆は彼が落ちている間の演奏に心を奪われた。
その音は彼の人生の中で最も偉大な演奏だった。