【#DX3rd】クロウリングケイオスサンプルシナリオのGMをしてみた感想

はじめに

こちらの記事は、「ダブルクロスThe3rdEdition サプリメントデータ&ルールブッククロウリングケイオス」に収録されているサンプルシナリオ「潮騒が呼んでいる」のGMをした際の感想やステージの特徴の所感について記したものです。

・侵蝕率について

クロウリングケイオスステージ(以下CRCステージ)では登場侵蝕値が1で固定されており、その分を恐怖判定で上昇させるという流れになっている。
恐怖判定は衝動判定扱いなので発生と同時に2D10侵蝕率が上昇する。
なのでだいたい2シーンに1回くらいの恐怖判定を行えば、通常ステージと同じくらいの侵蝕率になる。と思う。

・恐怖判定とかいうやつ

前述のとおりCRCステージでは恐怖判定(※1)がそこそこの頻度で発生する(させる必要がある)。恐怖判定に失敗した場合は専用の表を振り効果を適用しなければならない。恐怖表である。
こちらの効果が結構重い上に、神話生物エネミーのほとんどが<恐怖判定>を発生させる能力を持っている。その上にキャラの侵蝕率が一定の値を超えるとさらに癖の強い永続的狂気を発症する。これらの要素により戦闘に関するバランスは従来とは大きく変わっている。

追記(2021/6/3)
※1 恐怖判定は通常の衝動判定同様<意志>で判定を行うが、侵蝕率によるダイスボーナスが受けられない。

・永続的狂気について

じゃあ永続的狂気を発症したらおしまいなんだ!と思うかもしれないが、実際に運用した時にはむしろ「永続的狂気はPLの利益になりえる」という印象を受けた。
というのも、多くの永続的狂気は特定条件でのデメリットと引き換えに別の場面ではメリットとなる効果を持つからだ。
代表的なものが「誇大妄想」だろう、この永続的狂気は「ドッジダイスを犠牲にしてダメージロールを強化する」というもので、こちらを引き当てたテストプレイヤーは嬉々として発狂していた。
キャラによっては純粋な強化にもなりえるものも存在するのだ。(当然キャラによっては純然たるマイナスにしかならないものもある)

・<意志>の重要性について

CRCステージでは意志技能が非常に重要になる。前述した恐怖判定に使用するのはもちろんだし、魔術を行使する際の魔術ダイスにも直結してくる。
魔術に関しては後述するが面白いものも多いし、何より使っているときは非常に盛り上がった。
アザトースシンドロームによって精神自体も簡単に伸ばせるし、
CRCで活躍したい場合は意志を積極的に伸ばしていくといいかもしれない。

・魔術について

サンプルシナリオには配布魔術があり、魔術の体験がしやすくなっている。
魔術の行使にはメジャーアクションを消費し、魔術ロールを行う必要がある。
具体的な計算式は記載しないが、特徴的なのは出目を合計して達成値を算出するという、我々が親しんできたダブルクロス的ではない方法を用いる。
魔術判定ではダイスで0(10)が出てもクリティカルが発生しない
しかし、そのかわりに0が出た数に応じて魔術がどんどんと暴走していく。この魔術暴走、なんと一度暴走し始めるとさらに上位の暴走が発生する可能性もあり、最大10%で即時ロスト(タイタスで回避はできるが)が発生してしまう。
なお、魔術がどれだけ暴走しても設定された目標値を超えればとりあえず発動は成功する。
極めてスリリングな反面、特定の敵に覿面に効果を発揮したり、大魔術ともなれば大型のコンボにも劣らないド派手な演出が楽しめる。
プリプレイ取得には経験点も使うので、感覚としてはユニークアイテムを取得する、くらいの気持ちで取ってしまえばいいと思う。

また、魔術はレネゲイドとは別軸の力であるため、エフェクトと組み合わせて使えない点には注意しておくとよいだろう。(邪神由来なので侵蝕率は増える

・「パーク」による遠距離攻撃&範囲攻撃対策と役割の変化

CRCは基本ルールブックさえあれば導入が可能となっている。
基本ステージで最強のエフェクト、と言えば『サイレンの魔女』を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。
しかしCRCでは単純に長射程・範囲攻撃が強いとも限らないのだ。(実際はサイレンの装甲無視はかなり有効だが後述)

CRCステージのエネミーには非オーヴァードも多く追加されている。
彼らは非オーヴァードであるためエフェクトを持たない
しかし、冒涜的な智慧や魔術による強化で、あるいはその存在自体が特殊な能力を持っていることがある。
それが「パーク」だ。
CRCに登場するエネミーはこのパークを有しており、かつ特殊なデータ構成をしているため、「Mエネミー」と呼ばれている。

さて前置きが長くなってしまった。
ではこのパークが実際にどのような影響を戦闘にもたらすのか?
サンプルシナリオ内で特に猛威を振るったパークや強力なパークを何点か紹介する。

1.射撃耐性
サンプルシナリオでプレイヤーに恐怖を刻み込んだ凶悪パーク
その効果は「エンゲージ外からの攻撃に対してパークレベルに応じた装甲点を得る」というもの。
ちなみにその時に出現したMエネミーが射撃耐性で得た装甲点はなんと20点
エンゲージ外限定の竜鱗lv2のようなものだ。

重ねて言うがこちらの射撃耐性を持ったMエネミーはサンプルシナリオに出現するのである。
しかもミドルで。

ちなみにレベル上限はないため、理論上無限の装甲点を得られる。
また、装甲であるため貫通自体は比較的容易だ。

2.不可視
サンプルシナリオでプレイヤーに恐怖を刻み込んだ凶悪パーク第2号
パーク保持者は常に隠密状態になる。

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何らかのメジャーアクションを行った際に解除されるが、クリンナッププロセスで再度隠密状態を得る。

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不可視持ちに単体で出現されると相手が最初に動くまで何一つさせてくれない、という理不尽の塊だが、とある魔術で対抗できるし、エンゲージしてしまえば二回目以降の隠密は防げる。
また、完全に腐っていた対隠密エフェクトの輝きどころでもあったりする。

だからってサンプルシナリオのエネミーにつける??????
ミドルだぞ!!!

3.範囲攻撃半減
ここからは普通にヤバイパーク
範囲攻撃半減とは、読んで字のごとくである

複数キャラクターを対象とした攻撃から受けるHPダメージを半減する鬼パーク。
タイミング:マイナーアクションとあるが、すでにエラッタが入っており常時に修正されている。

当然だが単体攻撃に対しては効力を持たない範囲選択で一体に絞った場合もOK

4.非実体・非物質
両パークとも、保持者は受けるHPダメージが1となる効果を持つ。
条件次第でこの効果は無視できるのだが、そちらは割とゆるい。
バックトラックにうまみがないEロイスみたいなものだが、
詰むキャラによっては詰むのも事実である。

さて、ここまでパークを紹介してきたが
特にサンプルシナリオにおいて、かなり強烈に遠距離攻撃と範囲攻撃がメタられていることがわかると思う。サイレンがあるハヌマーンはまだしも普通の遠距離型はかなり苦労する、実際してた
友人の感想でも「基本環境はかなり遠距離優遇だったためその足並みを揃えようとしているのかも」というのがあった、
実際筆者もそう思う。

だが、遠距離攻撃と範囲攻撃は役割を失ってしまうのかと聞かれれば、そうではないと思っている。
具体的には「対単体・大物」の近距離攻撃、「対複数・トループ」の遠距離攻撃という風に役割が分担されると考えた。

トループに対処できたってしょうがない、と思われる方もいるかもしれないが、
CRCでは強力な神話生物などに加え、多種多様なトループが追加されている。
そして、あらゆる存在が牙をむいてくるCRCにおいてトループとの戦闘は必然的に多くなる。
そんな時に輝くのはやはり遠距離攻撃や範囲攻撃の使い手なのである。
また、対トループ専用エフェクトなども気軽に採用してもよいと考えている。

目の前に立ちはだかる邪神の尖兵や有象無象を一瞬でなぎ倒すのも、
目覚めた邪神に特大の一発を叩きこむのも同じようにカッコイイものだと筆者は思う。

・CRC世界を生きるために

最後にサンプルシナリオを経て、CRCステージで有効そうなエフェクトや戦術、それとGMするときに気を付けたことなどをいくつか紹介する。
邪神だらけの地獄でも強くありたいオーヴァードたちの参考になれば幸いだ。

・アザトースシンドローム
ステージ限定シンドロームだけあって環境に突き刺さるエフェクトが多いし、精神が高いのもプラス。
特に強力なのは<冒涜的存在>だろう。
エラッタが入り、1レベルにつき一つのBSしか無効にできないがそれでも滅茶苦茶に強い。
恐怖判定失敗のデメリットも怖くないし、BSがつけばダイスが増えて調査でも有利になることすらある。
<冒涜的存在>を採用する際は<此処より永遠に>などもあるとさらに強力になるだろう。
その他のエフェクトに関しても
「特定の条件があるが係数が非常に高いエフェクト」
複数のBSから選んで付与できるエフェクト」
ほかのシンドロームの強いエフェクトをつまみ食いしたようなエフェクト」
などが目白押しで正直どれも魅力的である。
推しはレムリア断撃。

・貫通系エフェクト
先述した<射撃耐性>に関してもそうだが、CRCステージは全体的に装甲がよく登場してくる。
なのでその環境下でダメージを出したいのであれば<ペネトレイト>などの装甲無視エフェクトの取得をお勧めする。
ちなみに、アザトースシンドロームには装甲無視エフェクトは存在しないので注意。

・常備化ポイント増加系エフェクト
魔術書を買うにも結局常備化ポイントが必要だ。
せっかく<知識:クトゥルフ>が高くても読むための本が無ければ魔術は覚えられない。
技能:調達とあわせて伸ばしておくと便利。

・ワークス「入院患者」
CRCではあらたにワークスも追加されている。
入院患者は特に<意志>と<知識:クトゥルフ>に特化したタイプだ
思う存分魔術で暴れたいのならとりあえず入院してみるのもいいだろう。

・日記
クトゥルフ神話において、真実に近づいたがゆえに発狂し、死んでしまう人物が登場することは多い。
そんな彼らの遺した智慧、垣間見た真実、あるいは狂っていく様を記録したもの、それが日記である。
サンプルシナリオにも一冊の日記があるのだが
これがスゲーーーーーーーーーーーー長い!!!
ボイセにしろテキセにしろ、オンにせよオフにせよ、これをそのシーンになってから用意するのはダルい!
なので日記が必要な場合は事前に見せやすい形で用意しておくとセッションの親交がスムーズになるだろう。

・おわりに

以上が筆者がサンプルシナリオを回してみた感想となる。
全体的に「今までとはまた違う遊びの広がり方をしているな」という感じ。
その内プレイヤーとしても遊びたい所存。

エフェクト限界まで減らして魔術と意志だけで戦うキャラとかも作れないかなーとも模索中。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。



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