気付かないと認識しない
「本当はそこにあるのに、気が付かないことで逃していること」
があるのに気が付いた。
例えば『虫の声』。
コオロギのコロコロという声を聞いて、
「あぁ、もうそんな季節か」と思う。
そんなことが何年も続いていた。
でも今年。
まだコオロギが鳴き出さない時期に窓の外から
「キッキッキッキッキッキ・・・・」
という音がする。
初めは自転車のブレーキ音かと思った。
でも違った。
繰り返すその音に「虫の声だよね?」となった。
調べてみるとその音の主は『カネタタキ』。
姿は確認できないが、声は確か。
気付いてからは、キッキッキッは盛んに聞こえてくる。
今まで、うちの近所ではコオロギしかいないような気になっていた。
けど違った。
今年から鳴き出したとは思えない。
たぶん、きっと、ずっといたんだ。
毎年ここいらへんにいて、ずっと鳴いてたんだ。
全く気が付かなかった。
例えば『甲子園』。
この夏、高校球児の試合の前に、球場整備の人が散水しているところをたまたまテレビで見ていた。
内野に水を撒いているそのホースの最後は、
ピッチャーマウンドの後ろ辺りから伸びている?
あんなところに蛇口があるのか?
ボールが当たったら変な跳ね方をしそうだし、
フライを取るために、ピッチャーが後退したときにつまづいたら問題だ。
わかった。きっと隠し扉みたいになっていて、
用事が済んだらフタをして、土をかぶせて隠してしまうんだ。
きっとそうだ。
くるくると想像して自分なりの答えが出たところで
散水は終了。答えを確かめる段になった。
違った。
水を止めた後、係の人が去ったその場所には、
明らかにフタにしか見えない板状の物があった。
思っていたよりも大きなフタだった。
いつまでたっても誰もそのフタを隠すことをしない。
そしてそのまま試合が始まってしまったのだった。
これまで甲子園で野球をしているところなど、ニュースのスポーツコーナーで山ほど見ているはずだ。
ピッチャーを後ろから映すこのアングルで。
なのに、これまで全くその存在に気が付かなかった。
びっくりだ。
自分にびっくりだ。
それ以来、いつ見てもフタは、そこにある。
なんなら、広島の球場にもあった。
そこにあるのが認識されて以来、そこにあるようになった。という感じ。
そこにあるのに、認識されていないと、無いことになってしまう。
他にもあるに違いない。
物事を偏った捉え方で判断しているのだと指摘されたよう。
目から鱗が落ちた。
以上が今回の『得られたこと』。
ありがとうございました。