TOEICとsix words (英語版Haiku)
TOEICのPart 2は、会話を成立させるリスニング問題。私はこれってsix words (英語版Haiku)に似ているなぁ、って思います。
For sale: baby shoes, never worn.
「売ります」「赤ちゃんの靴」「未使用」 アーネスト・ヘミングウェイの作品とされています。距離のある3つの焦点が並んでいるだけ。でも、いろいろイメージが立ち上がってきます。なんではかなかったのだろう… 気に入らなかったのかなぁ… 小さくてはけなかったのかな… それとも…
A: That’s the telephone.
B: I’m in the bath.
A: O.K.
「電話よ!」「今、風呂!」「わかった!」固定電話が主流の頃の会話。日常会話なんて、こんなもんですよね。スッカスカ。
A: That’s the telephone. Can you answer it, please?
B: No, I’m sorry, I can’t answer it because I’m in the bath.
A: O.K. I’ll answer it then.
ここまで密に情報を詰め込んだらクドイ!リアリティがないし、こんな日常会話はない。
TOEICの問題作成者は、おそらく、会話の一貫性(coherence)を保ちながら、できるだけ「結束性(cohesion)」を薄めているんです。
Can I help you find anything today?
(A) I didn’t realize you were lost.
(B) I’m just looking.
(C) I sure can!
「何を探しているの?」で、何かを紛失したのではなく、何かを買いに来たことがイメージできるか…
Is this seat taken?
(A) Be my guest.
(B) Take him away.
(C) No, I’m not.
単なるYes No Questionではなく、劇場や電車やバスの車内をイメージできるか…
Is Ruben available, please?
(A) May I ask who’s calling?
(B) It’s not on the menu today.
(C) It’s available in three colors.
何かが手に入るかではなく、電話対応していることをイメージできるか…
You have a call on line 1.
(A) I forgot to call you back.
(B) Actually, it’s two o’clock.
(C) Take a message for me.
電話とか数字ではなく、オペレーターと内線で会話していることをイメージできるか…
参考
スミスマガジン編 越前敏弥訳 (2010) 『SIX-WORD たった6語の物語』 ディスカヴァ―・トゥエンティワン
Grant Trew (2008) Tactics for TOEIC Reading and Listening Test, Oxford University Press
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