久しぶりに怒られた
大人になってから怒られるという経験はあまりなくなる。
いや思い返すと、新卒の頃はよく怒られていた。
出勤してから退勤までの間、何か行動をするごとに先輩から指摘を受けていたし、先輩が帰るまでに一日の振り返りをまとめて、「先輩、今振り返りよろしいですか」って話しかけて、そこでもまた怒られる。それをやらないと、それもまた怒られる。
けれど、年数を重ねるごとに少しずつ仕事も覚えて、怒られない方法も身につけて、実践できるようになる。
すると、あまり怒られないようになる。
自己防衛能力がついたともいうし、世渡り上手にもなってしまうのだ。
上海に来て、語学学校に通い始めてから、再び怒られるようになった。
スパルタ講師から勉強することになったからだ。
この語学学校では、最初の数回を何人かの先生の講義を受けて、自分に合う先生を選んでいいシステム。
私は1番分かりやすくて、自分の理解度に合わせて教えてくれて、
尚且つ、1番厳しい先生にお願いした。
「zhuとzuの発音違うよ!もっと口丸めて!違う!」
「この母音は?口の形が違うと発音も違うよ!」
と何度も発音を直される。
中国語は発音と四つの声調によって、意味が変わってしまうから、本当に難しい。
すごく難しい。
日本語にも英語にもない発音で、かつ声調をつけなければならないのだから。
そんなこんなで、授業(2コマ2時間)の間中、私はよく怒られる。
先生は怒るというより、指摘しているだけの感覚なのかもしれないけれど。
私は愛を持って、怒られていると感じている。
「もっと発音の練習しないと!今はそこが大事だよ!」
「うわあ、私今怒られている」
と最初は先生の圧に圧倒されてしまったけれど、
この悔しい気持ち、なんとかしてできるようになりたいと思う気持ち、
久しぶりの感覚だなあと思った。
怒られて悲しいというより、もっと純粋に頑張ろうって思えた。
それはきっと愛のある前向きな伝え方だからだろう。
相手の人格を否定せず、
できないところだけを指摘してくれる伝え方。
そして一瞬発音が綺麗にできたとき、
「今の結構いいね」と言ってくれる。
大人になってから、そんなに怒られる場面には遭遇しないけれど、相手が本気で伝えてくれるということは貴重なことだと思う。
ありがとうスパルタ先生。
「新しい言語を学ぶ」ことを楽しんでいる自分がいる。
学ぶって楽しい。
さあ、また来週も先生にぶつかっていくぞ。