礼金って結局なに?
こんにちは!
株式会社ホワイトプランナーと申します。
以前物件を探している若い方から、こんな相談がありました。
「『礼金』って僕ら借りる側が、『借りてあげるから御礼に貰うお金』だと思っていました。逆に貸主に払うものなんですね。びっくりです。」
衝撃的な意見でした。お金がなくて家を借りられない人はいますが、家の供給がなくて借りられない人はほとんどいませんから、いわゆるZ世代には何の「礼」なのか分からないのも納得であります・・・。
最近はこういった疑問を持つ入居者様も多く、礼金を取らない(取れない)時代になりつつあります。
そもそも礼金文化はなんなのか、今日は礼金についてお話しします。
礼金文化
海外の礼金事情
礼金文化は、実は日本だけのものではありません。
例えば韓国や中国などの一部のアジア諸国でも「礼金」という概念があります。これらの国では、不動産取引や賃貸物件の契約に際して、一時金や初期費用として支払われるケースが多いみたいなので、どちらかというと「敷金」に似た考え方のような気もします。
また、入居希望者のために一時的に部屋を確保しておくことに対するお礼として支払う考え方もあるみたいです。
ただし欧米諸国では、賃貸物件の場合、保証金(デポジット)を支払うことが一般的であり、これは退去時に家賃の未払いや物件の損傷を補填するための保証として用いられることがほとんどのためこれも「敷金」と同様の扱いといえます。
日本の礼金事情
所説ありますが、日本で礼金文化が始まったのは、明治時代(1868年-1912年)以降であるとされています。明治時代には、日本が西洋の文化や制度を積極的に取り入れる中で、物件の賃貸契約も徐々に整備されていきました。その際に、賃貸物件を借りる際にオーナーや不動産業者に対して礼儀的な意味合いを込めて一時的に金銭を支払う習慣が生まれたと考えられています。この金銭がのちに「礼金」と呼ばれるようになりました。
当初、礼金は「場所取り料」としての意味合いが強く、特に都市部や人気のある地域の物件では多くの入居希望者が競合し、入居を確保するために高額の礼金が求められることが一般的でした。その後、感謝の気持ちを示す意味合いも加わり、物件の賃貸契約において一般的な要素として定着していきました。
また、第二次世界大戦が終わり、日本は戦災による住宅の被災や急激な都市化による住宅需要の著しい増加がありました。そのため特に東京都内では人口の流入により入居希望者が激増し、入居希望者が多い物件では家主や不動産業者が選り好みできる状況が生まれました。高度経済成長も合わさり、いわば需要が供給を上回る状態でした。
このような状況下で、物件を確保するためには高額の入居者側の負担が必要だったため、礼金の持つ意味合いがさらに強まったと考えられています。
法的な礼金の立ち位置
礼金については、次のような裁判例があります。
(大阪簡裁 平成23年3月18日判決)
【裁判の概要】(分かりやすくするため、かなり簡易化して説明します)
<訴え>
借主と貸主は期間を1年とする契約を結び、借主は礼金として12万円を支払った。
しかし借主は、契約から1ヶ月後に契約を解約して退去。
借主は礼金の支払義務を課す契約条項は、消費者契約法10条により無効だと主張して、支払い済みの礼金12万円(と遅延損害金)を求めて貸主を訴えました。
<判決>
「予定した期間が経過する前に退去した場合は、建物未使用期間に対応する前払賃料相当額を返還すべきである」
<解説>
今回、礼金の法的な立ち位置としては、【賃料の前払い】であるとしています。
したがって、更新前に退去した時、建物未使用期間に対応する前払賃料相当額を返還すべきであるとしたんですね。
ただし、礼金特約を締結すること自体が民法1条2項に反して消費者の利益を一方的に害するものであるとはいえない」として礼金の有効性を認めています。
<結局どっち>
礼金について合意した上で契約した場合、すぐ退去しなければならない等の特殊な背景が無い限り、礼金は戻ってきません。
ただ本来「礼」として借り手が自主的に払うものを、契約時借り手側が求めるのはかなり思うところはあります。
最後に
今回は、ある若者の疑問を発端に、礼金文化について解説してみました。
礼金についてもっと知りたい、今礼金のことで悩んでいるという方は、いつでもホワイトプランナーまで御相談ください!!