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お手軽AIドローンと誤解

「お手軽ドローン」って本当?

昨今、小型のドローンで「どこでも気軽に飛ばして撮影!」といった空飛ぶお手軽カメラ的な触れ込みのドローンを見かけます。
「AI搭載で公園なんかでもワンタッチで自動飛行して自撮りの空飛ぶカメラ!」
「気軽にさっと取り出してドローンをAI飛行させ自撮り!どこでも気軽に簡単!」
なんて謳っていたりします。
しかしながら、実際にお手軽に飛ばす事はかなり難しいのが事実。私も DJI NEO を所有していてこれにも「お手軽AI撮影」のような機能が付いていますが、これを含めた小型のカメラドローンについていくつか誤解があるため、このnoteを記してみました。
違法だったり危険な飛行は、やがて、世間一般のドローンへの反発や規制を求める声により、飛ばせる場所が少なくなってしまいます。あなたのドローンを世間から嫌われる「ならず者ドローン」にしないために今一度、誤解を解いてきたいと思います。

日本国内でドローンを飛ばすにあたり関わってくる法律といって思いつくのはまず「航空法」。ドローンという呼称は「用途」であって、実際には人が乗ることができず遠隔操作で操縦する「無人航空機」という航空機の一種であり、当然、航空法により縛られて運用されます。ところが、実際にドローンを飛ばすにあたり、気をつけなければいけない法律は航空法だけではありません。

今回のネタはそんなドローンを飛ばす上で関わってくる法律の中で、この手の「お気軽ドローンを使ったお手軽なな使い方をするにあたり誤解されている物」について触れてみます。
なお、当記事は一般的な法秩序のお話であり、実務については、必ず弁護士や行政書士などの専門家に確認またはご相談ください。実際に行動を起こそうとしていたり確認が必要となっている方は、こんな雑談記事を読んでいないで、専門家に相談しましょう。

まずはコレ「航空法」

「100g未満は航空法適用外」はウソ!

冒頭で述べたとおり、ドローン・無人航空機を飛行させるのに関連する法律と言えば、航空法です。この航空法に関わってくる主な無人航空機は100g以上のドローンです。この重さは本体とバッテリ・燃料の重さであり、プロペラガードなどの取り外せる付加物の重量は含まれません。DJI NEOのような小さいドローンでも100gを超えているので、この航空法の内容に従って運用する必要があります。
ただし、気をつけないといけないのは、トイドローンなどでよく見かける「100g未満は航空法の適用外なので~」という触れ込みです。確かに多くの無人航空機がらみの航空法関連は100g以上の無人航空機を対象としていて、100g未満は対象外になる項目が多いのも事実です。しかしながら、100g未満であれば航空法の全ての規制の対象外というわけではなく一律「航空法の対象外」という認識は間違いですし、危険です。
例えば、主に次の物が100g未満でも適用されます。

  • 緊急用務空域での飛行

  • 空港等の周辺での飛行

  • 航空路内における高度150メートル以上の飛行

  • 高度250メートル以上の空域での飛行

  • 航空交通管制圏、航空交通情報圏、航空交通管制区内の特別管制空域等における飛行

今回のネタとしてはこれらの詳細に触れること自体は目的としていませんので割愛しますが、ひとまず「100g未満でも普通に航空法に関係してくるよ。ただし大半の項目は規制対象外だよ」くらいに覚えておけば良いかと思います。

100g以上で航空法で適用される項目

お手軽ドローンを飛ばそうとしたときに、DJI NEOなど100g以上の場合に適用される中で気をつけなければいけない物がいくつかあります。
各項目の詳細は省きますが、基本的な物としては

  • 国土交通省のシステム(以下DIPS)への機体登録
    機体の型番やシリアル番号を、DIPSというシステムに登録しなければなりません。これを行わず「買ってきてすぐ飛ばす」などをしてしまうと登録しないで車に乗っているような物です。

  • DIPS登録時に発行されたレジ(登録記号)の機体への貼付
    車でいうナンバープレートのようなものです。規定の大きさの物をテプラなどで作成して貼る必要があります。一般的な旅客機にも登録記号が書かれていて「正規登録航空機の証」です。

  • リモートIDの書き込み
    無人航空機の飛行中は一定間隔で登録記号や位置/速度などの情報を無線で周囲に発信する事が義務づけられています。機体をDIPSに登録すると、リモートIDへ情報を書き込むことができるので書き込みを行ってから飛行をする必要があります。これも初回に1度書き込めばokです。

  • 特定飛行に該当する場合は飛行許可の取得が必要
    詳細は後に触れますが、人口集中地区(DID)や、目視外飛行、人や物とドローンの間に30mの距離が確保できない場合などが良く該当します。その他日没後や夜明け前などの夜間飛行などもあります。10営業日前までに申請が必要です。

  • 特定飛行を行う場合は飛行通報が必要
    何月何日に、誰が、どの機体を、どのような飛行経路/飛行範囲でどの時間に飛ばすかを予め航空局に提出します。安全のため特定飛行に該当する飛行を行わない場合でも登録は推奨されますが、特定飛行を行う場合は推奨ではなく義務ですので、必ず事前登録をしなければなりません。

これらのものが、100g未満のいわゆる「模型航空機」扱いになる物では義務化されていないので、このあたりを以て「航空法の適用外」と謳っている物があるのだと思いますが、あくまで模型航空機では「無人航空機(=100g以上)についてのみ適用」とされている航空法の中の項目が適用外なだけであり、先述の通り、模型航空機でも"航空法そのもの"は適用されますので注意が必要です。

意外と厄介な航空法

これらをざっと見て「機体登録面倒臭いけど一度登録してしまえばOKでしょ」と気楽に思えるかもしれませんが、実際のところ、そうもいかないのが難しい所です。もちろん、業務や趣味などで無人航空機を飛ばして空撮をする、施設の検査を行うといったことであれば普通の手続きにしか感じませんが、今回のお題である「思いついたらさっと飛ばせるお手軽なドローン」という観点から見ると「え?そんな面倒臭いの?お手軽じゃないよね?」と思ってしまうお話しです。
登録に関しては確かに一度登録してしまえばいいだけなので、1度きり。しかし、飛行に於いてはかなりの確率で「特定飛行」になるため、事前(10営業日以上前)に申請をして飛行許可を取得し、飛行通報に飛行予定を登録しなければいけません。
では、上に書いた「DIPSで必要になる航空法上必要な物」はどんな物でしょうか。該当しがちな代表的な物には「目視外飛行」と「人物30」「DID」の3つがあります。

  1. 目視外飛行
    ドローン飛行の原則は目視飛行です。目視内飛行(目視飛行)とは「ドローンを直接目で追いながら、コントローラーを使って遠隔操縦する」というものです。「直接」なので双眼鏡やカメラ映像などを使ったものはダメです。通常のメガネ/コンタクトレンズなどは問題ありません。
    一方で目視飛行とは「目視内飛行ではない物」全てです。よくあるのはドローンに搭載されたカメラの映像を手元のコントローラーやコントローラに接続されたスマホなどの画面を見ながら操縦するものです。また、自動操縦などでドローンから目を離して飛行させる場合も目視外になります。目視外飛行とされないためには飛行中は常にドローンを直接目で見続けていなければいけません。
    そのため「お手軽ドローン」のAI機能を等を使用して、例えば自動操縦で自分達の周りをグルッと回るように飛行させて動画を撮影したりポーズを決めたりするためにドローン本体から目を離す時間が一瞬でもあれば、目視外飛行になってしまいます。
    もちろん、自動飛行で一周するドローンを常に自分で見続けているのなら良いでしょうが、目を離す可能性があるなら航空法違反となってしまうので「目視外飛行」の許可が必要です。
    なお「目視外」といっても、通常は補助者というサポーターやアシスタントのような人をつけて、操縦者がコントローラーの映像を見ながら等で目視外飛行している間は、補助者が直接ドローンが見える場所でドローンを目視して監視し、安全な飛行をさせる必要があります。補助者なしで目視外飛行をするのは、囲いで誰も入れないようにするなどの立ち入り禁止区画の上だけを飛ばすなど、いくつもの制約と条件が必要で、飛行場所の事前準備も許可取得も手間がかかります。
    なお、自動操縦については別途規制があるので後述します。

  2. 人や物件から30mの距離が確保できない飛行
    ここでいう"人"とは、第三者、例えば同行してる友達などの一緒にドローンに撮影して貰う関係者以外の、一般の通行人、関係のないお店の人などです。"物件"とは自分の管理所有物以外の他人の「物」です。無関係な家やお店・ビルなどの建物は勿論ですが、柵やガードレールなども他人の「物件」とされるため、例えば公園で離陸場所や飛行経路の30m以内に人がいたり柵がある場合は、俗に言う「人物30」の飛行許可が必要になります。

  3. 人口集中地区(DID)での飛行
    人口集中地区とは、人や家屋が密集している、俗に言う「市街地」みたいなものです。どこが人口集中地区(DID)に該当するかは「なんとなく」ではなく、どこがDIDかが厳密に範囲が定められています。DIDで飛行させる場合は、目視内であろうと人物30確保できようと飛行許可が必要です。高度も関係ないので、DID内であれば例え「自宅の庭」で数メートル浮かばせるだけの飛行でも無許可では出来ません。地方の観光地などでは問題ないかもしれませんが、市街地の観光地や都市公園などは注意が必要です。いずれにしても、事前に確認が必要な要素です。

この状況を考えると、航空法の規制だけ考えても到底「ここぞと思ったらさっと気軽にドローンを取り出してAI飛行して自撮り…」なんてできません。

気をつけたい「第三者」の存在

AI自動飛行だけでなく、すべてのドローンを飛ばす上で注意しなければいけないのが「第三者」の取扱です。第三者とは、先述の人物30の所でも触れたように、ドローン操縦者や補助者、撮影対象であることを認識して同行してる友達など以外の、通行人や施設管理人など一般の人のことです。
航空法ではドローンの飛行に関しては、一般人である第三者保護のため厳しいルールがあります。特に、第三者上空の飛行は厳密に禁止しています。第三者上空とは平たく言えば「他人の上を飛ぶこと」です。ドローンに関わったことが無い人にとっては、旅客機やヘリなど普通の航空機が自分の頭上を飛ぶことを何も不思議に思っていないのと同様、ドローンが頭上を飛ぶことが違法になる認識は無い人も多いかと思います。しかし、日本におけるドローンの飛行は、原則として第三者上空を飛行できません。
勿論、手続きを踏んで許可を取れば可能ですが、それには人物30や目視外飛行などの飛行許可と違い、一等無人航空機操縦士の資格を持ち、緊急パラシュートなどの安全性を備えた機体を使用し、安全確保のための施策/立案をし関係機関と調整/協議した上でそれをきちんと説明し航空局の許可を……などとかなりハードルが高いです。単なる趣味や、例え業務でもちょっとした撮影程度ではまず無理なほど、困難な許可取得です。
そのため、ドローンを飛行させる場合には、必ず、第三者が飛行経路下に入らないような措置を執らないといけません。わかりやすいのは「この上はドローンが飛ぶので立ち入り禁止です」といってロープを張る立ち入り禁止措置を執ることですが、それが難しければ、補助者というアシスタントに監視してもらい第三者が飛行経路下に入りそうになったら操縦者に伝えドローンの飛行を中止するか、第三者から遠ざかる方向へドローンを反転させるなどの措置が必要になります。
間違っても、誰もいないから飛ばしていたのに誰か来ちゃったのでしょうがないからそのまま飛行させ第三者上空を飛ばした、なんていう事があってはいけません。先述の通り、第三者上空の飛行は簡単には許可が取得できないレベルの厳しい飛行許可なので、無許可で「うっかり」では済まないという認識が必要です。
また、第三者直上ではなくとも、万が一ドローンが故障停止するなどで落下してきた場合に落下する可能性がある範囲には人が入れないようにする必要があるなどの考慮が必要になるケースもあります。人通りが多い所などはそれを求められる場合があるので、人気の公園などは注意が必要です。
この「第三者」の事を考えると、目視外などの先述の飛行許可を取得したとしてもそう簡単に「映えそうな所を見つけたから気軽にドローンを取り出してはい、撮影!」という事が出来ないのは想像に難くないと思います。例えばAI自動飛行で自分達の周りを円周飛行させている円周の下に誰か他の人が歩いてきたら、その時点で違法になります。

自動操縦の誤解

ボタンワンタッチで離陸し撮影し着陸してくれる自動飛行は、AI飛行のお手軽カメラドローンの売りの一つかと思います。これらは自動操縦と呼ばれるものですが、こに関しても色々と注意が必要です。
「自動操縦」なんだからドローンに任せておいて、人間は解放されると思ったら間違いです。先述の第三者の保護の考え方を始めとし、自動操縦で人間が解放されることは今の技術では不可能です。そのため、特定飛行をする際に自動操縦を行う場合は、操縦者は、操縦装置(コントローラー)などを機体に接続し、いざという時はすぐに飛行に介入できるようにしておく必要があります。
普通の飛行機で想像してみてください。パイロットは操縦席に座って自動操縦で飛んでいますが、もし、他の飛行機が接近してきたり、機体に異常が発生し意図しない動作をしたら、ただちにパイロットが操縦を取って代わり、飛行を正常化させなければいけません。そのため、自動操縦だからとパイロット全員が操縦以外の事に専念していたりしてはいけません。ポーカーをしていたりSwitchでモンハンしていたりしてはいけないのです。
それと同じく、ドローンの特定飛行における自動飛行中も万が一に備え、操縦者はただちに飛行に介入して危険を回避できる必要があります。例えば、先述のように第三者が入って来た場合、ただちに自動飛行を中止し、人から遠ざけたり着陸させるなどして航空法違反にならないよう安全措置を執らなければいけません。他にも、自動操縦で設定した半径が不適切で、人物30を守れなくなったり、最悪人や物件に衝突する可能性があるとわかった場合は、ただちに自動飛行を停止させたり緊急回避する必要があります。そのため、操縦装置(コントローラー)を常に操作できるようになっていなければいけません。もちろん「目視内」で常にドローンの正常性を目視で監視している前提です。目視外飛行でも、例えばコントローラーの画像を見ながら操縦する前提の場合、コントローラーから目を離してはいけないので、コントローラーを常に見ており、緊急回避操作ができないといけないのです。
従って「自動飛行だから」と緊急介入のためのコントローラを繋いでいなかったり、ドローンを目視していなかったり、あるいは目視外飛行でカメラ画面など指定されたものを見ておらず、キメポーズをとっていたなんていう場合は航空法違反となる可能性があります。
車の運転と違い、パトカーがその辺にいて航空法違反で取り締まられることはそうないと思いますが、万が一誰かに怪我をさせるなどの事故が発生した場合、航空法違反などの違法行為が伴っていた場合は、一気に罪が重くなる可能性が高いことは知っておいてください。
それでも「どこでも気軽にドローンを取り出してパッとAI飛行でお手軽撮影」できますか?

「だけじゃない」航空法以外の要素

ここまで見てきて、航空法だけでも「そんなに条件や許可が必要なの?」と思った方も多いかと思います。通常ドローンを飛行させる上では普通の手続きなのですが、こと「手軽に取り出して自撮りAI撮影!」なんていう軽いイメージで考えた場合、ずいぶんと事前に色々な手続きや許可取得が必要であり、お手軽とはほど遠いと言えます。
ところが厄介なことに、実はこの航空法だけではないのです。ある意味、航空法以上に難しい要素があります。それが「地権者による飛行/撮影許可/許諾の必要」です。

必ず確認!地権者の飛行許可/許諾

「え? 航空法でお国から飛行の許可を取ったんだから天下御免でしょ? 誰に遠慮する必要があるの?」と思う人もいるかもしれませんが、それは誤解です。なぜなら航空法による飛行許可は、あくまで航空法で規制された飛行についての飛行許可を取得した物に過ぎず、それ以外の事項とは全く無関係だからです。例えばあなたが車の運転免許を持っているからといって、他人の庭で勝手に車を運転して良いわけではないのと同じです。運転をするなら、その庭の持ち主に許可を貰わないといけません。ドローンでもそれは同じで、航空法の許可とは全く関係なく飛ばす場所の権利者の許可を得る必要があり、航空法の飛行許可の有無はそれに影響を与えないのです。
なお「公園とかの地権者の許可って、テレビ局なんかがロケとかで大規模な商業撮影する場合だけ必要なんでしょ?」と思うかもしれませんが、大抵の場合、ドローンの飛行については一般の個人から商用撮影まで許可や許諾が必要な所がほとんどです。手続きの煩雑性は異なるかもしれませんが、少なくとも「個人でちょっと飛ばすだけだから無断でもいいでしょ」はNGです。
従って、公園などで誰かに「ドローン飛ばすな!」と言われた時に「航空法の許可は取っています」は何の免罪符にもなりません。公園の管理事務所から許可を貰っていなければアウトです。完全に別の許可なのです。許可の根拠はあくまで管理者の裁量であり航空法はそもそも関係ありませんから「100g未満のトイドローンなので敷地管理者の許可も不要」なんていうこともないのです。

ここで飛ばす許可は誰に取るの?!

上で地権者の許可と書きましたが、ドローンを飛行させる土地の地主や家主、管理人などの事です。他人の土地ですから、そこで勝手にドローンを飛ばす事はできません。公園やダムなどであれば管理事務所などでドローンを飛ばし撮影をする許可を予め取得しなければいけません。もし住宅の上を飛ばすなら、その家の人の許可を取らないといけません。無許可で飛ばして万が一衝突するなどの事故を起こしたら目も当てられませんし、事故を起こさずとも警察に通報されるかもしれません。
そのため、先述の通り、前もってあるいは直前でも、とにかくドローンを飛ばして撮影をする許可を航空法による飛行許可とは全く別に取らなければいけません。

では、例えば旅先の公園で飛行させるにしても、具体的に誰の許可を取れば良いのでしょうか。大きな公園で管理事務所があれば、そこにいるおじさんに口頭で「いいよ」といって貰えば良いのでしょうか。それとも、都道府県等の自治体に書面で申請が必要なのでしょうか。管理事務所がない公園などではどこで許可を取れば良いのでしょうか。そもそも当日きいて取れるものなのでしょうか。まず「誰に・なにを・どんな許可をいつ取れば良いのか」がわかりません。DIPSでの航空法上の飛行許可は、取得する方法や手順や許可基準が明確に決まっていて、その通りにやれば、まず許可を取得できます。しかし地権者の許可の場合、公園の看板にドローン飛行撮影許可の取得方法が書かれているわけでもなく、手探りで見つけて行くしかないのが、非常に大変なのです。

消える「お手軽」の三文字

許可の必要性の有無についても、河川やダムなどの一部管理者によっては許可は不要とされている所もあれば、許可をそもそも出さない所もあります。特に都市公園などでは多くの自治体で「ドローンの飛行は禁止」とされていて、特別に許可を取ろうとしても取れるのはテレビ局やドローン撮影業者などの企業にる商用飛行の場合だけで、個人の飛行では許可が出なかったりします。
ほかにも、それが国立公園だったり森林組合の管理する森だったり企業の私有地だったり…。道路は? 海岸は?…とにかく問い合わせ窓口はどこか。そもそも誰の土地で誰が権利者なのか。そこからはじめないといけません。それがわからないことには飛行許可どころではありません。

業務でドローンを飛行させている企業などでは、そういった撮影で使いがちな場所の管理者や自治体などを予めリスト化していて「誰にどんな許可をいつまでに取れば良いか」を把握しています。どういう所にはどんなアプローチで問い合わせれば許可が取りやすいかも業務ノウハウで持っていたりします。下手な問い合わせ方だと、門前払い的に「ダメ」と言われて終わる事も少なくありません。
しかし、趣味でちょっと行くような人達は、当然そんなリストは持っていませんし、ノウハウもありません。単なる一般人がお役所の窓口に問い合わせて許可を取得する…慣れない人にとってはなかなかのハードルです。行政書士などでこの手の許認可申請を代行していてノウハウを持っている事務所もあり、一般人でもそこに依頼することで撮影許可を取得できるかもしれませんが、お金もかかりますし、それではそもそも事前に色々手配が必要という時点で今回の話題の趣旨である「お手軽」の三文字は消え去っています。
だからといって「無許可」でサッとドローンを取り出しお手軽AI飛行撮影なんて言語道断。ほとんどの都市公園で条例によって一律にドローン禁止とされてしまった背景には、無許可で飛ばし、他の利用者から苦情があった結果が大きな要因である事も忘れてはいけません。通報されたら終りです。

こうなると、許可を出して貰えるのかどうかを調べる所から始まり、どこに問い合わせるのかその手続き方法や期限などを把握し「いつ・どこで・どんな飛行と撮影をするか」を計画しないといけません。

法律と規則を守って運用しよう

じゃぁどんな所でお手軽撮影できるの?

ここまで読んでいただければ「AIドローンを持っていき計画なんて立てず気が向いた時に映えスポットなど"ここぞ"と思った時にさっとドローンを取り出して…」という事は、実際には到底出来ないのがおわかりいただけたと思います。もちろん先述の通り100g未満かどうかも関係ありません。
それではあえて「じゃぁ、どんな所なら気が向いた時にさっとドローンを取り出して飛ばし撮影できるの?」と考えてみると…牧場のような広大な敷地や山林を持っていてそこでのんびりお散歩/撮影するといったことであれば、事前の手続きや許認可を取らずに、ふと気が向いた時にドローンを飛ばして自撮り、なんていう事が気ままに出来るかもしれません。もちろん、目視外飛行などの特定飛行の許可は必要ですし、空港付近や人口集中地区など飛行が禁止されていない所である事前提ですが…。
普通の人には無理そうです。

おわりに

航空法はあくまで航空法に過ぎず、その他の法律や規則も守る必要があり、場合によっては民事上の訴訟の対象になることもあります。必ず、航空法は勿論、飛行/撮影をするにはどんな法律が関係してきて、どんな許可を取らなければいけないか。法律だけでなく管理事務所による許可などの手続きも含め、しっかり確認しておく必要があります。
それらを踏まえた上であれば、もちろんAIドローンでお手軽撮影は問題ありませんが、現実問題としてはかなり難しといえます。メーカーの触れ込みを真に受けず、法律や施設の規則などを守ってドローンを飛ばしたいものです。


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