Koldwaltz 1st EP Wilhelm Cantata リリースインタビュー
大阪を拠点に活動するKoldwaltzが1st EP Wilhelm Cantataを各種サブスクリプションサービスにてリリースした、今回私達White Lotusが独自のインタビューを行いました、メンバーチェンジと改名を経て更なる進化を遂げたKoldwaltzの表現するHorror and Suspense Alternative Rockに迫る。
1.Band Members
オルタナティブ・ロックバンドと銘打つKoldwaltzですが、EPからは多種多様な音楽性を感じますがその真髄に触れていきたいと思います、メンバーそれぞれに影響を受けたアーティストを挙げていただきました。
音源を聴く際の楽しみが一つ増えるかもしれませんね。
Vo.ナカジマ カイセイ
Radiohead、三宅純
Gt.ノノムラ リュウヤ
Steve Howe、FES
Ba.マエハラ ダイスケ
Stone Sour , Muse
Gt.イマカワ タツオキ
EVH、Steve Vai
Dr.モリ コウヘイ
Tortoise、Tool
2.メンバーチェンジを経たバンド内の変化
昨年にドラムのモリ コウヘイが加入し、今年にはギターであるイマカワ タツオキが加入し、オリジナルメンバーのナカジマ カイセイはセンターボーカルとして活動を再開したがバンド内ではどの様な変化があったのでしょうか。
練習の雰囲気がガラッと変わりました。
特に曲作りの練度が格段に上がった気がします。
新メンバーの2人は基礎的な技術力、向上心ともに高く、いい意味でギラついた人達なのでオリジナルメンバーへもいい刺激になっています。
Vo.ナカジマカイセイ
3.1st EP Wilhelm Cantataの纏う世界観とは
全曲試聴してみてまず感じたのが、1曲事に変わるサウンドや世界観、哀愁の漂うギターソロや「鋭く尖った」という表現が一番近いであろうギターリフ、ベースにも何種類かのエフェクトを施していたり、構成も飽きさせない、まさにまさに次に何が起こるのか予測不能なEPとなっておりますが1st EP Wilhelm Cantataの纏う世界観とは一体何なのでしょうか。
今作のEPは今まで作ってきた曲の中で気に入っているもの五曲を選んだ形になります。
なのでEP自体にコンセプトがあったわけではありません。しかし、それぞれの曲作りに関してはバンド始動初期からずっとホラー映画やサスペンス映画で流れるような、危険で美しい音楽をテーマに作り続けてきました。今回選ばれた曲は制作開始の時点で最もそのテーマに近かった5曲です。
Vo.ナカジマカイセイ
4.1st EP Wilhelm Cantataのサウンドについて
オルタナティブロックといっても一筋縄ではいかないのがKoldwaltzだ。
先ほどの世界観の答えを踏まえて、次はサウンド面にもメスを入れてみましょう。
先日リリースしたEPは全体的に90sオルタナサウンドを目指して、エンジニアの方から様々なアドバイスやアイディアを貰いながら音を作っていきました。
また今回の制作にあたり僕の大学時代の友人でラフマニノフが好きな方がピアノアレンジを担当してくれました。音源ではライブとは少し違った雰囲気が楽しめると思います。
Vo.ナカジマカイセイ
ギターソロを考える時なんかは起承転結を心がけています。曲の中にもう一個小曲があるようなソロが弾けたらええなぁ。
Gt.ノノムラ リュウヤ
ベースとしてはアンサンブルになった時に他の楽器には足りてない所を補完出来るような音作りを意識してます。
単体で聴いてもこんなもんかみたいな音でも全体で鳴らした時にドワっと来るような感じがバンドの醍醐味だと思うので。
Ba.マエハラ ダイスケ
5.1st EP Wilhelm Cantata全曲解説
次にお待ちかねの楽曲解説のお時間です。
作り込まれた音楽ほど、解釈には手を焼くものです。
Wilhelm Cantataを聴きもって解説を一緒に追っていきましょう。
Softkill
バンドを初めて2曲目に作った曲です。この曲はベースで先にフルコーラスを作ってから全体を調整しました。
Koldwaltzの曲は多展開する物が多いですがこれはその礎となった曲です。
緊張と解放を意識して曲中に詰め込んでます。
404
Trip Hopにハマっていた時期に制作した楽曲でPortisheadと元々のルーツでもあるNirvanaを掛け合わせたようなイメージで作りました。
曲中通してコードは3つしか使っていないのですがそれぞれの展開で静と動の差を大きくつけて起承転結感を演出しました。一番初めに日本詞で書いた曲でいかに英詞のように気持ちいいリズムの言葉をはめるかにかなり拘りました。
Garden
これもベースでほぼフルコーラス作ってから他の音を付け足していった曲です。イギリスのKing KlureというアーティストのDum Surferという曲に触発されて作りました。
曲間のギターソロはリュウヤくん(Gt)がいつも作ってきているのですがこのソロは僕のかなりお気に入りです。
詞の内容は若さゆえに酔っ払ってハニートラップにひっかかった若者がテーマです。ハニートラップという言葉から連想して、この罠にかける側を奇声蜂(他の虫に卵を生みつけて幼虫を育てる蜂)に喩えたら面白いなと思って書きました。気持ち悪良いフレーズが沢山書けて気に入ってます。
Leningrad
いわゆるリフ物です。サビでいい意味で美しく盛り下がる曲を作ろうとしました。
結構勢いで作った曲ですね。
題名のLeningrad(レニングラード)は現在ロシアにある都市サンクト=ペテルブルクのソ連時代の名称です。第二次世界大戦中に約900日間ナチス軍に包囲され戦争を強いられた都市で、その戦争を詞のテーマにしました。
火を運ぶ女
レコーディングが決まってから急ピッチで書いた曲です。
これにはホラーとサスペンスというテーマにプラスで日本的なモチーフを加わえました。
曲を書く際には三島由紀夫の金閣寺と山尾悠子の飛ぶ孔雀という小説を複合させた世界観をイメージしました。ドラムに民俗的なフレーズを採用し、歌メロも日本の古典音楽的な音並びにしています。
個人的にこれも好きな言葉のフレーズが多いです。「返り血で色を直した」とか。
6.日本詞を取り入れた理由
以前までは英詩を中心の歌詞であったKoldwaltzですが、今作では日本詩が散りばめられており、リスナーとしても楽曲にグッと近付く様な感覚がありましたが、日本詩を取り入れた理由とは何だったのでしょうか。
洋楽を主に聴いて育ったということもあり、ほぼ憧れで英詞を採用していました。あと当時は浅はかにも海外の人達に聴いてもらうなら英詞の方が有利かなとも。でも実際にノンネイティブとして書ける詞の濃さや発音に対しての違和感がずっとありました。
続けていくうちに自分の感じたことやイメージした情景を正確に表現するのに英詞が適していないと感じることが多くなり、今作からSoftkillを除いて全て日本詞にしています。
三島由紀夫や山尾悠子の文学のように重厚感がありつつも煌びやかな詞世界を作っていきたいですね。
今後全て日本詞で書いていくつもりですが海外で評価されたいという気持ちは強いです。日本詞だろうがコバイア語だろうが関係なく聴いてもらえるような曲を書けるのが一番かと。
Vo.ナカジマカイセイ
7.メインコンポーザー ナカジマ カイセイが表現したい新たなKoldwartzとは
どんな音楽を今後やるにしてもワビサビは大事にしたいです。
あとは現代音楽・バレエ音楽などには最近すごく影響を受けています。まだ試している途中ですがギターロックにうまく落とし込めれたらと。
Vo.ナカジマカイセイ
8.新たなメンバー2人からのコメント
バンド内最年少のモリ コウヘイ、テクニカルでロマン溢れるプレーを見せる新ギタリストのイマカワ タツオキ 彼らにもコメントを頂いております。
バンドに入って1年以上経過してても新メンバー扱いなのでフレッシュさを保ち続けたいです。
Dr.モリ コウヘイ
協調性つけます、我を通すタイプなので
Gt.イマカワ タツオキ
9.SoftkillのMVについて
YouTubeにてSoftkillのMVが公開されており、廃墟とモノクロ映像というホラーテイストの作品に仕上がっていました。
なんとこの映像は自主制作だというのですが、何故自主制作に踏み切ったのでしょうか。
自分のイメージした物を100%忠実に再現するなら自分で撮ったほうがいいなと。
幸いイメージしたものが高い機材を必要としなかったこともあります。
全編IPhoneにVHS風にできるアプリを導入して撮影しました。
Vo.ナカジマカイセイ
10.海外メディアからの注目について
音源がベースオントップスタジオ13店舗にて、店内BGMとして選ばれたり、
海外からは日本のインディーロックを取り上げているオランダのAVO MagazineにてEPとMVが取り上げられていましたがそれらについてはどの様に感じられたのでしょうか。
素直に嬉しかったのとSNSの可能性を感じました。折角恵まれた時代に生まれたのでうまく活用してより多くの人に自分達の音楽を聴いてもらいたいです。
Vo.ナカジマカイセイ
12.Koldwaltzは今後どの様な活動をしていくのか
まずは今よりも沢山の人達に自分たちを知ってもらう努力をしていきたいです。
年内にまたいくつか新しいEPやMVを出す予定ですし、ライブハウスを飛び出した企画も考えています。
バンドの目標としては3年後にフジロック出演を目指しています。
Vo.ナカジマカイセイ
13.END
いかがでしたでしょうか、Horror and Suspense Alternative Rockの世界が少しずつ見えてきたでしょうか。
私も記事をまとめながら、深淵の様な深く奥深い彼等の世界へゆっくりと引き込まれていく感覚を憶えました。
そして、貴方はKoldwaltzの表現する新たな世界の切符を手に入れられた事でしょう。
今後の彼等からの発信をお見逃しなく。
出筆者 Yusei Suenaga(White Lotus)
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