「寄付者から感謝されるNPO」を目指して
寄付者とNPOの理想の関係とは
この10月から、寄付者の方々に対面・オンラインで個別にお会いして、ヒアリングを行っています。今週は、東京~千葉の各所で、合計4名の寄付者の方々にお会いして、お話を伺いました。
面談の中で、風テラスを知ったきっかけ、寄付しようと思った理由、活動報告に対する満足度、今後の風テラスに期待することなど、直接生の声を聞くことができ、非常に勉強&励みになっております!
NPOで働く人間にとって、「寄付者の方と一対一で話す」ことでしか得られない栄養素が確実にある・・・と改めて実感しております。
寄付者の方々とお会いして、寄付の理由やきっかけをお伺いし、応援のメッセージを頂く過程で、「寄付者とNPOの理想の関係とは何か」という問いを考える時間が増えています。
寄付者との関係は、NPOによって様々であり、どれが正解でどれが不正解、ということはありません。取り組んでいる社会課題やビジョン・ミッションの内容によっても、大きく変わってくると思います。
ただ、NPOにとっての寄付者は、ただ「個人的な善意から、活動の維持・発展に必要なお金を出してくれる人」という枠に留まらない存在であるような気がします。
そして、寄付者にとってのNPOは、「社会的に良いことをしているから応援したい団体」という枠を超えた存在であるような気もします。
私個人としては、「寄付者から感謝される」存在になることが、NPOにとって一つの理想であり、目指すべき姿なのではないか、と考えています。
NPOにとって、金銭的な支援をしてくれる寄付者は、「感謝する」対象であって、「感謝される」対象ではないのでは、と思う人もいるかもしれません。
もちろん、NPOにとって寄付者は、「感謝する」対象です。それと同時に、NPOは寄付者から「感謝される」対象であり続ける必要があるのでは、と考えています。
NPOが寄付者から「感謝される」という状況は、どのようにして生まれるのでしょうか。これまでの寄付者の方々との交流や対話の中で感じた「感謝」の種類を、以下の5つにまとめてみました。
1.「代行者」になってくれることへの感謝
自分個人では実現できないことをNPOが代わりにやってくれている、という「代行者になってくれることへの感謝」が挙げられます。
☑️ 夜の世界で困っている人を支援したいけれども、個人としては何もできないので、現場で活動しているNPOを寄付で応援したい
☑️ 自分が現在働いている職場・職種ではできない支援をしているNPOを応援したい
☑️ 風俗業界や風俗で働く女性に対して、個人的に「貸し」や「恩」がある。それらを自分の代わりに返してもらいたい・・・etc
自分の代行者として活動・支援してくれることに対する感謝を伝えたい、という思いから寄付をしてくださるケースです。
2.「救済者」として振る舞ってくれることへの感謝
過去の自分と同じ境遇にある人を支援しているNPOに寄付することを通して、過去の自分が救われたような気持ち、過去の傷が癒やされた気持ちになる、という方もおられます。
☑️ 性風俗の仕事をしていたときに、周りにメンタルの不調、お金や住まいの問題で困っている人がたくさんいたけれど、自分には何もできなかった
☑️ 自分が働いていたときは、相談できる窓口がどこにもなかった
☑️ 過去の自分と同じ境遇にある女性たちを助けてあげてほしい
現場で困っている当事者、そして過去の自分自身の救済者として振る舞ってくれることに対する感謝を示したい、という思いで寄付をしてくださるケースです。
3.「先行者」として道を切り開いてくれることへの感謝
同じ業界や領域で活動している人にとって、先行者として頼もしい存在、頼れる存在、指針になる存在であることも、寄付につながります。
☑️ 自分たちがやりたくてもできなかったことをやってくれている
☑️ 自分たちだけでは手が回らない領域をカバーしてくれている
「先行者」として道を切り開いてくれることへの感謝を示したい、という思いから寄付をしてくださるケースです。
4.「理解者」として、自分の願いや気持ちを理解してくれることへの感謝
団体のビジョン・ミッションに触れた人たちに、「この団体は、自分のことを分かってくれる」「価値観が合う」と認識してもらうことができれば、それが寄付と感謝につながります。アーティストや作家に近い立ち位置ですね。
☑️ 団体のビジョン・ミッションに共感できる
☑️ 風俗に対して自分が抱えている、複雑な気持ちを理解してくれそう
☑️ 自分の気持ちや願いを理解して、それを活動の中に取り入れてくれそう
NPOが「理解者」として自分の願いや気持ちを理解してくれる、共感できるビジョンやメッセージを掲げていることへの感謝を示したい、という思いから寄付をしてくださるケースです。
5.「変革者」として、社会と自分を変化させてくれることへの感謝
上記4つの存在が重なることで、寄付者にとってNPOは「社会と自分を変えてくれる存在」=変革者になり、そこからさらに感謝が生み出される・・・という好循環が生まれていきます。
NPOは「社会を変える」を仕事にする存在ですが、その中に「寄付者を変える」ことも含まれているのではないでしょうか。
そして、寄付者は「社会を変える」NPOを応援する存在ですが、その過程には「NPOを変える」ことも含まれているのではないでしょうか。
「NPOが寄付者を変える」「寄付者がNPOを変える」という双方向性のある関係性の中で活動を続けていくことの積み重ねが、「社会を変える」につながる。
風テラスも、お一人ひとりの寄付者の気持ちに向き合いながら、お互いに感謝し、感謝されるパートナーとして、二人三脚でビジョンの実現のために歩みを進めていきたい、と考えております。
10月30日(水)、オンラインの活動報告会を行います。
夜の世界での孤立・困窮を防ぐために日々行っている活動、現場で直面している課題について、相談員チームと理事長の私がお伝えします。ご関心のある方は、ぜひご参加頂けるとありがたいです。
⇒風テラスへのご寄付はこちら
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