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俳句の鑑賞㊶
短日や梢を略す幹の影
季語:短日(三冬・時候)
庭の木、公園の木、職場の窓から見える木、作者には一年を通していつも見ている落葉樹があるように思えます。同時に、その木の影をも。
秋が終わり、葉を次々に落とし、裸木となった木は他の季節には見ることのできない、梢の影を生み出します。
日の入りが早くなる冬の夕暮れ、梢の影は早々に見えなくなりますが、それを「梢を略す幹」との思い切った措辞に、読み手はハッとさせらせます。
うしろより手が出て恋の歌かるた
季語:歌かるた(新年・生活)
「遅日の岸」の中で、「恋」とのストレートな言葉は初めて。あくまでも「恋の歌かるた」とやんわりではありますが(笑)
「うしろより手が出て」を単なるかるた取りの句と解釈するか、それとも、、、
めくるめく想像、とても興味深く読みました。
年用意鏡の中のもの正し
季語:年用意(仲冬・生活)
新年を迎えるための、年末の準備。気忙しく、何かと余裕がなくなったりも。
そんな中、作者は、ふと鏡の中に映った家の様子に気づき、冷静さを取り戻したのでしょう。実は、鏡の中のあれこれこそが、「正しい」のです。
鏡というものには、その場所とは「違う世界」という持ち味もあります。読み手によっては、別の解釈も生まれそうですが、それもまた楽し、な御句と思います。
仕舞はれて屋台一塊冬の虹
季語:冬の虹(三冬・天文)
「一魂」に大変惹かれました。
賑わっていた屋台も、きっちりと畳まれ仕舞われてしまえば、単なる塊にすぎません。
冷静な眼差し。
そして、そこに斡旋された季語は、冬の虹。儚くも美しい大切な時間です。
・・・・・
「南風」村上主宰と津川顧問句集の「俳句鑑賞」の経緯はこちらの記事に。
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