コロナを乗り越えるための情報シェア⑤「日本レーザー」様

ホワイト企業への道を進む皆さまにアンケートをご依頼し、このコロナ禍を乗り越えるために行われている様々な工夫をご紹介いただきました。

●会社概要
会社名:株式会社日本レーザー https://www.japanlaser.co.jp/
ホワイト企業の受賞歴:ホワイト企業大賞(第3回/2017年)
業種:1)各種レーザー・レーザー関連装置・機器・計測機器・光学機器輸入販売2)上記関係部品及び据付・調整・アフターサービス工事
記入者:近藤 宣之氏/委員 瀬戸川礼子

●記入日:2020年4月28日


●お困りのこと
・当社の商品であるレーザー機器は、購買企業に向けたデモンストレーションが必要だが、いまはそれができない。海外メーカーの担当者も訪日できない状態だ。4月時点で受注残が数カ月分あるが、今後は受注と売上ともに影響が出るだろう。

●気づいたこと、良かったこと
・経営面では、クレドをもとにした経営軸がぶれず、社員の命と健康を最優先に、直ちに在宅体制に取りかかれた。ハード面の充実以上に、利他と感謝の気持ちで働く風土こそが力になる。

<在宅勤務の6つのメリット>
1. 通勤が激減することで、感染するリスクが減少する。
2. 通勤時間(平均往復2~4時間)がない分、体への負担が減る。
3. 自由になる時間が増え、自己啓発などキャリアアップに時間を割ける。
4. 子育て中の社員は、子どもの突発的な出来事に時間を割け、半休を使わなくてもよくなる。
5. 家族との交流の時間が増え、家族を含めた幸福度が向上する。
6. 結果・成果で評価されるので、モチベーションの向上と持続が図れる。

・商品面では、レーザーのがん治療機器や、レーザーではないが温度センサーといった新商品があるため、レーザー市場が頭打ちでも新商品による市場開拓が期待できる。

●工夫したこと(社員さんに対して)
勤務体制:日頃から、同じ業務を2人で行うダブルアサイメントや、1人が複数の業務を担当するマルチタスク制度で危機に備えていた。3月の時点ですでに危機感を持ち、内勤でデスクトップを使う事務員(フルタイム社員の35%=13人)に、直ちにモバイルPCとポケットwifiを購入。残り65%はもともとモバイルPCを持っていたが、外から社内の基幹業務システムにアクセスできなかったので、セキュリティを強化し、これができる体制を早急に整備した。従来、在宅勤務の経験者は女性営業1~2人だったが、4月8日の緊急事態宣言の前には、ほぼ全員が在宅勤務できるようにした。なお、商品の受入検査や出荷はどうしても出勤が必要であるため、パート(ほぼ自転車通勤)のほか正社員が交代で出社している。

オンライン活用:会議はすべてZoom、Webexなどに切り換えた。もともと、大阪支社・名古屋支社とはテレビ会議をしていたので慣れていた。今回、グループ長は朝と夕の1日2回、スタッフとオンラインで会話し、さらに毎日グループ会議を開く(計1日3回オンライン)。また、毎週の全社朝礼・全社会議は、社長・会長のメッセージを全社員が自宅で聞く。画面上に全員の顔が見えるので理解度も把握でき、それまでの全社会議よりも手ごたえを感じている。

心理ケア:企業は共同体であり、その文化が醸成されていることで、孤立しがちな在宅勤務者間のコミュニケーションは深化すると思う。また「共同体化」に加えて、全社組織の「生命体化」を目指している。企業組織を細胞分裂のように小グループ化(最小グループは2人)し、オンラインで顔を見ながら感謝の思いを伝え合う。随時オンラインでの乾杯なども自由。地方からの新卒社員はいきなり在宅勤務となったが、一人上京したアパートで孤独にならないよう、毎日のオンラインミーティングなどで気を配っている。また、「在宅勤務は公私の区別がつきにくい」という声が一時期増えたので、男性には、毎朝ひげをそって身だしなみを整えよう、みんなには時間割をつくろうなどと呼び掛けている。仲間意識が非常に大事だ。在宅勤務によるメリットとともに、新たな課題にも気づかされている。

TOEICの活用:当社の全正社員はTOEIC最低500点以上を義務化している。TOEICの勉強は目標設定、スケジューリング、集中力、持続力、自律心などさまざまな要素が必要であり、在宅勤務の質的向上に直結すると考える。従来から当社では、基礎能力手当として、点数に応じて手当を支給している。500点で月額5,000円、600点で10,000円、700点で15,000円、800点で20,000円、900点以上は25,000円なので年間30万円に上る。今年はさらにインセンティブとして、600点の社員が700点になったら5万円、700点台の人が800点台になったら10万円、800点台の人が900点台になったら15万円の奨励金を上乗せしている。在宅勤務中は自己啓発のチャンスと社員に訴えている。

採用面:新陳代謝を考えて随時、採用しており、今年に入って6月までに新たに5人が入る。当社は正社員の30%が一部上場企業からの転職組だ。今こそ増やすときだと思う。

●工夫したこと(取引先や顧客に対して)
・実務面:これまでは国内外ともにFAXでのやりとりが多かった。それが在宅勤務を進めたことで、FAXを電子化し、オンラインで双方が確認できるようにした。これによって、社員もすべてのFAXに目を通せるようになった。

・ソフト面:顧客や取引先メーカーとの主なコミュニケーションが電話、メール、Web会議などになるため、より一層、感謝や思いやりに配慮し、良好な関係を維持する必要がある。

●工夫したこと(資金面)
・全員が在宅勤務するためのモバイルPCやwifi機器の購入、基幹システムのセキュリティ強化などに約300万円かかったが、必要経費である。また、低金利であることとリスクマネジメントの観点から、有利子負債を3億から5億に増やした。
・当社は実力主義であり、危機のときは自動的に社員と痛みを分かち合う仕組みだ。しかしこれは主にボーナスについてであり、基本給は変えないし下げない。

●工夫したこと(その他)
・私の祖父は、100年前のスペイン風邪で、30歳の若さで亡くなっている。28歳で未亡人になった祖母から、感染症の怖さや早め早めに動く策などを聞いていたため、常に危機意識がある。リーマンショックのときも、今回のコロナ禍でも、速やかに動くことができた。
・ハードの充実よりも大切なのは、お互いに利他の気持ちで助けあい、感謝の気持ちで仕事をする風土だ。これがあってこそ乗り越えることができる。
・コロナ禍は、不要なものを抱え過ぎていた日本の暗闇を浮き彫りにした。もう元の世界には戻らないだろう。
・危機をどう乗り越えるかは、要は経営者の腹の問題であり、覚悟によるのだ。
・新型コロナの危機が終息した後も、在宅勤務を基本とした、リモート会議システム、リモート商談システムの活用は当然のことになるだろう。
・新型コロナウイルスのパンデミックは今後、第2波、第3波と襲来してくることが歴史に学ぶ点だ。今後も十分に警戒して対策を徹底せねばならない。

●ホワイト企業大賞の活動へのご要望
手法も大事だが、いまこそ一人一人の人間の幸せを重視した考え方が問われるときだと思う。そのことを広く伝えてほしい。

ホワイト企業大賞企画委員より
コロナ禍の中、様々な企業が困難を乗り越えるために奮闘されています。私たち、ホワイト企業大賞では、ホワイト企業への道を進む仲間の皆さまにアンケートをご依頼し、現在、このコロナ禍を乗り越えるために行われている様々な工夫をご紹介いただきました。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。また、今回、アンケートにご協力いただきました皆さまには心より御礼を申し上げます。
すべてのアンケート結果はこちらをご覧ください。

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