コロナを乗り越えるための情報シェア㉒「王宮」様

●会社概要
会社名:株式会社 王宮  https://dotonbori-group.com/
業種:ビジネスホテル 中華料理宴会場 パチンコ店          ホワイト企業の受賞歴:国際かけはし賞(第2回/2015年度)
記入者:橋本 明元氏/委員 瀬戸川礼子

・記入日:2020年5月8日

●お困りのこと
・3つのホテル(道頓堀ホテル、ブリッジホテル心斎橋、大阪逸の彩ホテル)および宴会、系列パチンコ店(2店)ともに休業で売上ゼロが続き、大変な勢いで貯金が減っています。経営者として不安はありますが、明けない夜はありません。夜が明けたら、私たちはもう一度、社会のお役に立ちたいと思っています。
・休業中の社員がどのように過ごしているのか気になっています。そのためzoom面談もしました。

●気づいたこと、良かったこと
・改めて、これまでの有り難さに気づきました。非常事態宣言が明けたら、今までの成功体験は全て捨てて、心新たにチャレンジャーとして、無我夢中で何事にも挑戦したいです。今はたくさん勉強して、掃除をして心を磨き、謙虚さと誠実さを大切に、「夜」にしか出来ないことをやって備えます。
・社員が、社長と私(正権氏と明元氏)に励ましの動画(20分間)をつくってくれました。こんなスタッフに囲まれて幸せを感じています。
・経営層で方針会議を行い、日々の過ごし方を発表し合いました。若くてめちゃめちゃ頑張っている社員4人の発表が素晴らしく、ベテラン勢が感化されており、頼もしく思いました。
・家族とより仲良くなりました。普段は、平日に家族で食事するのは半年に一回程度でしたが、今は毎日、夕食前に帰宅。夜は子供達とランニングに行っています。長い人生で考えたら、今の時間は神様からのプレゼントかも知れません。

●工夫したこと(社員さんに対して)
・休業に入る際、会社の方針を全員に伝えました。一つ目は「一番大切なのはみなさんの健康です」、2つ目は「給与を払うことです」と。大変なのは社員も理解してくれているので、「無理しないでください」と言ってくれる社員が多かったです。
・zoomを活用し、顔の見える場を設けています。これからさらに仕組みを整え、会議、委員会活動、各研修をできるようにしていきます。
・先日、40人×30分のzoom面談を行い、その後、全員の自宅に手書きのハガキを送りました。地道な作業ですが、互いのつながりを大切にしていきたいと思います。面談では、主体的に勉強している人もいれば、そうでない人もいましたので、後者に対しては、休暇と自粛休業は違う、週5回1日8時間は自己研鑽の時間を取ってほしい、と伝えました。また、朝晩1時間の散歩が日課だという幹部に対しては、それもいいけれど、老後の人生じゃないんだから再開後のために自己研鑽してほしいと伝えました。
・実は、私自身も最初は無気力になりました。しかし、こんなことをしていたらあかんと思い、それからは朝5時半に起きて走り、事務手続きなどのために出勤し、オンラインも活用して自己研鑽に励んでいます。コロナ禍が明けたとき、どう過ごしたかが問われると思います。

●工夫したこと(取引先や顧客に対して)
通信販売

初めての通販「道頓堀ホテルのお家で本格中華」を始めたところ、予想を遥かに越える2000件近いご注文を頂き、社員も仕入先も大変喜んでいます。緊急事態が終わっても通販は続け、一般の方々はもちろん、企業の福利厚生で利用していただくことも考えています。
新しい発想
緊急事態宣言が解除されても、外国人客は当面、戻らないでしょう。当社は外国のお客さまが多くを占めますが、今後は日本人のお客さまにも来ていただける仕組みをつくっていきます。また、外国の方が戻って来てくれたときには、より一層、喜んでもらえることを今から考えます。

●工夫したこと(資金面)
・全体の固定費だけで月に6000万円かかるのが現状です。売り上げゼロが続いても、1年間以上、給与を払える分の手元資金はこつこつ貯めていましたが、いくつかの金融機関を回ってさらに4億円を借り入れました(しかしすでに2億が支払いに使われました)。当社は系列にパチンコ店があるため、融資を受けるのは難しいのですが、パチンコ店とは分けて管理会計をしっかりやっていることなどから、融資が認められたと思います。このことで少し安心できました。
・政府が打ち出した休業補償(上限)8330円を申請しています。またスタッフには、正社員もアルバイトも隔たりなく10割補償をしています (10割といっても決められた計算式があり、受け取り額は3~4割減に)。
・計算方法=①過去3カ月の総支給額÷日数(例えば90日間)=日当。②この日当×もともとの出勤日数(例えば22日間)。つまり、月給30万円なら、30万×3カ月÷90日=日当1万円。日当1万円×22日間=22万円になり、収入は約3割減となります。
・この補償については、雇用保険のあるなしでも変わってきます。保険適用ではない学生アルバイトについては、最初は補償なしを考えましたが、一緒に働く仲間じゃないかと思い直し、約60人のアルバイトに支配人が一人一人電話して、補償する旨を伝えました。

●工夫したこと(その他)
・社員を守れるのは経営者しかいない。そういう思いでやっています。
・つくづく、ホテル業は平和産業だと思います。よって、私たちが発展するということは、世界の平和に貢献することにつながります。前から公言していますように、心の国境のない世界をつくるために、日本と世界との懸け橋になりたいです。

●ホワイト企業大賞の活動へのご要望
・社員の幸せや社会貢献を大事にするということは、心の在り方とともに、利益の出る仕組みをしっかり考えることが欠かせません。そういう点も伝えていただけたらいいと思います。

ホワイト企業大賞企画委員より
コロナ禍の中、様々な企業が困難を乗り越えるために奮闘されています。私たち、ホワイト企業大賞では、ホワイト企業への道を進む仲間の皆さまにアンケートをご依頼し、現在、このコロナ禍を乗り越えるために行われている様々な工夫をご紹介いただきました。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。また、今回、アンケートにご協力いただきました皆さまには心より御礼を申し上げます。
すべてのアンケート結果はこちらをご覧ください。

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