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ストーカーと私の社会の脆弱性

ストーカーに遭った。ほんの昨日のことだった。
週に一回、夕飯の当番の人は早めに大学を出なければならない。トルティーヤを作ろうと、熟れているアボカドを2つとレタスをスーパーで手に入れて、最寄り駅についたのは18時くらい。だんだん日が暗くなるのが早くなっているけど、私は駅から家までの30分間、ひたすらぼこぼこした道を歩くのが好きだったから気にしなかった。音楽をききながら、色々考えたり頭を空っぽにしたりね。

昨日はなんだったかな。端的に言うとめっちゃむかついていた。色々と省くけど、トランスジェンダーの人権について、あまりにも身勝手な意見を直接、長々と聞く機会があった。その人たちはトランスジェンダーの生きる権利、学ぶ権利はシスヘテロ女性の「下」になければならない、あくまで「身体女性」の気分を害してはいけないと、悪びれもなく言い放った。

自らも女子大学で学んでその重要性を理解していながら、シス女性よりも脆弱なトランスジェンダー女性を排除しようと躍起になって、学術書を読む代わりに、Twitterのちりごみのような情報をかきあつめてトランスジェンダー女性は犯罪者予備軍だと訴える浅はかさに、傲慢さに、呆れと、怒りと、かわいそうだとも思った。トランスジェンダー女性の多くが性被害にあった経験があり、多くが差別によって被害届を出せていない状況を、都合好く聞き流せるのはもはやすごいよね。

それを聞いたのは数日前の話だったけど、じんわりと彼女たちの吐いたことばが胸の奥まで染み渡ったのが昨日で、とにかくむしゃくしゃしながら歩いてたの。

私はつきまといを警戒して何度も後ろを振り返りながら家に帰るんだけど、昨日もそうしていたはずだった。家まであと数分で到着するところになって、なんだか嫌な予感がして振り返ったの。そしたらサラリーマンの、大きな黒いショルダーバックを下げた人が数メートル先を歩いていて、私が後ろを向いたと同時に木の陰に隠れたの。

あ、やばいわこれ。って。
てか、ストーカーってほんとに隠れるんだ。テレビとかの描写でしかみたことないから。
めっちゃ木の下から足元見えてますけども。
ていうかいつからつけられてた?

足から恐怖で冷えていく感覚と、どこか冷静に突っ込む自分が同時にいて、結構パニックになった。
でも、家に人が今いるかわかんないし、特定をされたくないから、すぐ近くのバス停で待ってるふりをしたの。
そしたら、私が気づいたことに向こうが気づいて、数m先の壁の後ろに隠れたの。でも、足元はこっちから見えるから。そのまま動かないから本格的にまずい、110番しようか、でも、逆上されたらどうしようって。
友達の声を聞いて安心したくて電話したけど出なくて、頭が真っ白になってたら、右隣に男の人が歩いてきて、立ったの。
あ、私はバス停で待ってるふりをしてたんだと気づいて、もうここしかないなって。
「すみません、つけられているので、すぐそこの家まで送ってくれませんか」

って。そしたら、すぐにいいですよって、送ってくれたのね。めちゃくちゃラッキーだった、タイミングが神だった。もうその後はあのサラリーマンがどうしたのかは見てなかったけど、家の鍵を差しこむときに、手が震えて全然させなくて、もし走って逃げてたら追いつかれてただろうなってゾッとした。

そのあと警察に通報して、親にも話したんだけど、まあ、予想通り実害はないから大したことはできないし、「自衛」のこととか、私の服装のこととか聞かれて、ハイハイヘルジャパンね、って感じだった。

でも私思うんだよね、実害が無いって???
触られるか、殴られるかされないとまともに扱ってもらえないわけだけどさ、実害がありまくってたって、今のストーカー規制法じゃ接近禁止令を出すのが関の山なわけじゃん。
実害があったって今年に福岡であったストーカー殺人みたいに、警察に何度相談してもすぐに逮捕できるわけじゃない。

てか、一回のつきまといだって、実害ありまくりだっつーの。知らないサラリーマンのストレス発散か何かもわからない行動で、夕方の18時に散歩する楽しみを奪われる。電車に乗ると、ショルダーバックをかけたサラリーマンが同一人物なんじゃないかと思うし、足がつかれてても男の人の隣に座りたくない。

なんで日本はセクハラに、性暴力に、ストーカーにどこまでも生温いわけ。
私がここで「全おっさんが無理。視界から消えて」ってならないのは、この生温さは政治が原因って気づいてるからだよ。なんとなく作られた空気じゃなくて、作為的に、計画的にできてるものだって、わかってるからだよ。

ストーカー規制法が制定されたのは、一時的に女性議員が急激に増えた1990年代後半で、超党派の女性議員が当時のストーカー殺人事件をきっかけに尽力してできたものだってことも。

いつまでも女性政治家が増えないこの日本で、男性政治家の多くはこういったことに興味がないか、財政や外交、軍事の下の下の下にジェンダー問題は置かれてきたから。

頭にくる。私達に自衛しろとか、服装に気をつけろとか、外に出歩くなって上から目線で指図する暇があるなら先に加害者を止めろよ。ちゃんと法律で規制しろよ。

ジェンダー問題は「ぜいたく」だとか、もっと重要なことがあるって話す政治家を見るたびに、何も見えてないんだなって実感する。

だからこそ、そんなこと言わない政治家を送り込まないといけないって思うんだけど。
クソ過ぎ、負けてらんないって気持ちと、いつか折れちゃうのかなって気持ちでぐちゃぐちゃになりながら、結局は立ち上がるんだよね、きっと。

あー勝手に社会よくなって、勝手にストーカーも痴漢犯罪者も全員捕まる社会がきてくんないかな。

はやく超クールでハッピーなおばあちゃんになって、「やるだけやったから、あとは次の世代に託した!」ってやりたい。そんでフェミニストシェアハウスで老後を過ごしたい。切実に

みんな生きてて偉いねて話でした。🫠




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