見出し画像

ぽんこつ看護師の徒然 #心電図編 #たこつぼ心筋症

久しぶりの投稿。訳もない。三日坊主と飽き性が祟ってのことである。

最近の私の学習といえば、約1.5ヶ月後に控えた心電図検定2Q対策である。

2年前初めて受験した心電図検定3Qはほぼノー勉で受かってしまった。
「2Qもひょっとして」と本腰を入れず臨んでしまった結果、見事に不合格であった。

今年は反省し基礎から勉強をしている次第である。


先日の病棟勤務での気づき

自分の受け持ちの患者様型のモニター波形記録をしていた。
すると受け持ちではないものの、よくモニター波形が目に入る患者様の波形が普段と違うことに気がついた。

確かこんなん

明らかに前見た時と違う。時々Af、AFLでタキタキしてたのは覚えてる...。

最近その患者様、発熱もあって活気なくて心配な感じであった。
あいにく今日は受け持ちではなく、でしゃばりすぎると仕事が遅い自分は「自分の事をしなさい」とお叱りを受けてしまう。
周辺の患者さんに呼ばれたかもという体にしてチラッと様子を見に行く。とりあえず普段通りの呼吸とレベル、顔色も変わらず、苦悶様の表情もなし、電極貼り間違いもなさそう。でも訴えはできないし...

受け持ちさんにとりあえず「◯◯さん、波形ちょっと普段と違って変な気がします。多分異常Q波と陰性T波で、STも上がってるかもです。必要なら状態確認お願いします...。」と伝えた。

受け持ちさんはモニター確認して、「心配だから...」とDrに相談。
検査技師さんに12誘導取ってもらいST上昇確定。エコーも念のため実施。

結果、たこつぼ型心筋症の診断であった。

元々脳外単科、訪看の経験しかなく初の臨床症例で、参考書でしか見た事なかったので勉強せねばと思い纏めておこうと思った次第である。


#たこつぼ型心筋症
Takotsubo(ampulla) cardiomyopathy

□病態

・左室造影で、心尖部を中心とした広範囲の収縮低下とそれを代償する心基部の過収縮がある。
・収縮終期左室造影像形があたかもたこつぼを思わせる形を呈していることが名の由来。
・詳細の機序不明。
・冠動脈の多枝攣縮によるStanned myocardiumが要因と考えられている。...が、診断/検査の通り検査において感度は低いよう。
・SAHなどの急性脳血管障害時や褐色細胞腫や急性心筋炎でも同様の左室壁運動異常を生じるため、カテコラミンの過剰分泌や交感神経の過剰興奮が要因とする説もある。精神・身体的ストレスにより発症者が増加した。
・高齢女性に頻発。
・発症は夏に多く、冬に少なくACSとは逆である。

□症状

・胸痛や心不全といったACSを思わせる症状がある。
・多くの例で2週間以内に壁運動の異常は消失し、予後も一般的に良好である。

□診断/診断

ECG:下記。
心エコー:急性期は心尖部の膨張、基部の過収縮を呈する。ただし基部過収縮は必須ではない。
L/D:心筋逸脱酵素上昇は高々正常値の2倍程度。急性期BNPはSTEMI患者と比較し高い。なお本性では急性期トロポニン値とLVEFは逆相関する。カテコラミン値が高値であったという報告もある。
CAG/LVG:冠動脈には有意な狭窄は見られない。上記の通り本症の要因は多枝の冠攣縮に伴うStanned myocardiumと考えられているが、冠攣縮誘発テストの陽性率は$${\frac{1}{3}}$$以下。誘発されても1枝までとする報告が多い。なおカテ専門医でもLVGのみでは本症とLADの完全閉塞の鑑別が困難であるよう。
心筋生検:高侵襲であり本症の診断に必須ではない。急性期にはグリコーゲン蓄積、心筋肥大、収縮蛋白・細胞骨格蛋白の障害に伴う構造破壊、細胞外マトリックス増加を認めた。またアポトーシスは認めなかった。さらに回復後の生検においてはそれらはほぼ完全に回復したとの報告がある・
心筋シンチ:急性期には$${^{201}Tl}$$と比較し$${^{123}I-BMIPP}$$での心尖部集積低下所見が高度である。集積低下は収縮能改善後も持続する。FDG-PET(F-18 fluorodeoxyglucose positron emission tomography)でも$${^{201}Tl}$$と比較しより高度に心尖部集積低下をみる。加えて$${^{123}I-BMIPP}$$のwashout rateの亢進を認める。
CT:大動脈病変、呼吸器疾患との鑑別が可能。
MRI:急性期の造影において$${Gd}$$での造影遅延を認めない。T2強調では高信号を高率に認める。

□心電図上での特徴

1)急性期にAMIを思わせるST上昇を認める。
ST上昇の強さはV1-3>V4-6(心尖部に限局した障害で、左室の障害を反映?)
2)ただし対側誘導のST下降が少なく、Mirror image を認めない。
3)経時的にT波は陰転し、時にGNT(発症3日でPeak)を呈し、QT延長を示す。
4)貫壁性の心筋壊死は生じておらず、異常Q波の出現は少ない。
・心電図所見は回復することが多い。
・他本症の発症に伴い、CLBBB,Afを認める場合がある。

〔参考〕
羊土社 心電図の読み方パーフェクトマニュアル
メディックメディア 病気がみえる Vol.2 循環器
HEART's Selection 3 たこつぼ心筋症の診断 坂本信雄,武石恭知

いいなと思ったら応援しよう!