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失敗談から学ぶマジシャンがレストランやバーへの出演を提案して新規開拓で売り込む方法(後編)

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前回の記事

前回の『失敗談から学ぶマジシャンがレストランやバーへの出演を提案して新規開拓で売り込む方法(中編)』では、

ついに初めてのレギュラー出演店舗開拓に成功した話を書きました。
その後3、4年はいくつかのレギュラー出演場所を持っていました。(今はこっそり1個だけレギュラーがありますが、他は一切やっていません)

前編、中編は方法論ぽい話ではありませんでしたが、今回の記事ではちょっとだけ方法論ぽいことを書いてみようと思います。(ちょっとだけ)


新規開拓をする際の2種類のアプローチ

当時お店に提案するにあたって、2種類のアプローチを試してみました。

1:マジシャンとしてアポをとって提案し、契約する方法

2:お客さんとして通い、コミュニケーションを重ねてある程度関係を築いてから出演に至る方法


新規で開拓するマジシャン自体かなり少ないのですが、たいていの方は1のアプローチでチャレンジしているのではないでしょうか?


ぼく自身も最初の数件はそうしていました。


提案が通ったケースの共通点


しかし、提案が受け入れられるケースとそうでないケースがある中で、雑談を多くした場合の方が決まりやすいことがわかってきました。また、何らかの理由で何度か足を運んで色々なスタッフさんにご挨拶した場合の方が決まりやすいこともわかりました。


その理由を分析してみると、マジックそのものを披露する回数は変わっていません。違いは雑談の数と、挨拶の数、コミュニケーションをとった人の数くらいしかありません。


なるほど、コミュニケーションが重要なのか!


売るべき価値が間違っていた


これまで一生懸命にマジックという価値を売っていたけれど、マジックができるのは最低限の条件で、その上で

「この人はどういう人なのか?」

「スタッフとうまくやっていけるのか?」

「お客様に失礼な言動をとらないか?」

「うちのお店にふさわしいキャラクターか?」

など、人柄を見られているんだ。


ということが徐々にわかってきました。もちろん、

「マジックができるのは当たり前で、人としてどうなのかを見られている」

ということは色々な方からアドバイスをいただいて知っていました。


「知っている」と「身についている」の違い


しかし、無我夢中でマジシャンとしてやっていくぞ!と頑張る若者にとっては、「知っていること」と「身についていること」に乖離があります。


たしかに、、、プロマジシャンなんだからマジックでお客さまを喜ばすことができるのは当たり前だよな。。。相手からしたら。


それなのに、一生懸命に

「こんなにマジックが上手です!」

「こんなマジックでお客さまを楽しませることができます!」

なんてアピールしちゃって、、、不思議なマジックができること自体が素晴らしいことなんだと自分で思っていたからこそ、アピールしちゃってたんだ。。。恥ずかしい。。。恥ずかしすぎる。


こうして、恥ずかしい体験を通してまた学んだのでした。


実はこれ超重要です。


絶対に二度とこんなに恥ずかしいことをしてたまるか!!という強烈な体験をするかどうかで、その後の自分の成長が変わってきます。


机上の空論ではみんな知っている


机上の空論ではみんな知っている
んです。

「結局は人柄だよ」
「マジックが上手いだけじゃだめ」

なんだって。


でも、「身に染みてわかっているかどうか」これが重要です。


だったら、noteに失敗談なんて書かない方がいいんじゃない?
みんなに自ら失敗を経験して成長して欲しいなら。


と思う方もいるかもしれませんが、そこは問題ありません。


仮にこのブログを読んで「なるほど!気をつけよう!」と思った若い方がいたとして、それはやっと「知っている」状態になっただけです。必ず自分の人生の中で「知ってたはずだけど、できてなかったんだ・・・恥ずかしい!」というタイミングが来て、「身に染みていく」からです。


さて、話が逸れました。

「コミュニケーションを重ねることが重要なんだ」
「人柄を見られているんだ」


ということに気づいてから、完全にアプローチを変えることにしました。


大切にすることの優先順位を入れ替えてみた


具体的には順番を変えようと思ったのです。


コミュニケーションから入って、マジックは最後。


そう決めました。


じゃあ、アポを取って提案しに行ってマジックを見せずに雑談だけする!?


さすがにそれは不自然すぎます、、、「お前、何しに来たの?」ってなってしまいます(笑)

「じゃあ、お客さんとして通ってコミュニケーションをとってみよう。」


そうして2つめのアプローチに至りました。


客としてお店に通うアプローチのメリット/デメリット



当然メリットとデメリットがあります。


まずデメリットは

時間がかかります。
そして、お店によりますが、お金がかかります。通ってみたら、ここではやりたくないな、ということもけっこうあります。
散々お金を使ったのに、仕事につながらないケースの方が多いのです。


メリットは、それ以上にたくさんあります。

まずは関係が逆転すること。

デメリットの最後に書いたことはメリットでもあります。お店のことがよくわかるので、決定に至らない場合はむしろ「契約する前に気づいて良かった」と考えることもできます。

そしてこちらの方がプロっぽく見えること。

さらに、出演に至らなくてもお店の人との関係は続けることができるので仕事をとる人脈のきっかけになる拠点が一つできること。


一個ずつ順番にいきましょう。


立場を逆転させる魔法


こちらから営業をかけると、あちらが選ぶ側でこちらが選ばれる側。という関係が出来上がります。しかし、こちらが客として行く場合は「お客さま」と「接客する側」としての関係になります。そしてこちらは「このお店で気持ちよくマジックができるのか?」を判断する側に回るという逆転現象がおきます。


通ううちにお店の方々と相性が良くない、お客様の質が自分の理想とは違う、お店は好きだけどマジックをやるとなると難しそうだ、、、などの判断ができます。これはリスク回避ができるという点でメリットです。というよりも本来は提案前にやるべきリサーチとも言えますね。


そしてしばらく通ってみて、問題が無ければそのお店はあなたにとっての一つの居場所になります。最初はただの「お客さま」です。そして通う回数を重ねるにつれて「よく来てくれるお客さま」になり、自然とコミュニケーションの質も上がってきます。どこかで必ず職業を聞かれますので、そのときに初めてマジシャンであることを伝えます。


マジックを披露するタイミング


ただ、ここで売り込んではいけません。


マジシャンであることをお店の方々が理解しても、いつも通りの会話をしていれば良いのです。


そのうち必ず

「プロの方にお願いするのも申し訳ないんですが、、、もしよろしければ、ちょっとだけでもいいので、何か見せていただきたいなぁ〜。」


という流れになります。もちろん職業を言った瞬間にそうなることもあります。


その時こそが最大の見せ場です。


「きた〜!!!」とばかりに張り切ってやりすぎてはいけません(笑)思いっきりレパートリーを出し切って20分、30分のマジックショーを初めては、、、絶対にダメ。迷惑です(笑)


「じゃあ、少しだけ」で良いんです。

言われたその場でやるのか、「じゃあ今度ね」と言うかはシチュエーション次第で判断しましょう。


もし店内に馴染みの常連さんがいるとかなりの確率でその常連さんにも見せる展開になります。


必ずお店の方が

「すいません、せっかくなのであちらの方も呼んでいいですか?古くからの常連さんなんです。」


と言ってきます。


さて、これでマジックのプレゼンの準備が整いました。


どんな印象を残せたらプロっぽいか!?


サラッと。ちょっと。でも内心本気で。これが重要です ↓ 

この人はマジシャンだけど、普通にお客さんとしてきていて、芸を見せびらかしたいわけじゃないく、こちらからお願いしたらちょびっとだけ見せてくれた。それなのにめっちゃスゴいし盛り上がった!さすがプロ!


そんな印象を残せたら、成功です。


しかも、自分のお店の常連さんが見たこともないような笑顔で喜んでいる。


その印象って、お店の人にとっては大切なんです。


想像して比べてみてください。


こっちからいきなりアポをとってお願いしに行って、面接みたいな雰囲気の中でマジックを披露するのと、


自然に、カジュアルに、しかもお店の人からお願いされてマジックを披露して、常連さんも大喜び。


全然印象が違います。


すぐやるかどうかの判断が必要だと書いたのはこういうことです。どうせやるならば、他のお客さんにも自然に見せられるときがベストだから。ただ、勿体ぶり過ぎても二度とお願いされなくなりますので程よいタイミングでやりましょう。


もちろん、ちょびっとだけお店の方に見せて、それをきっかけに

「今度うちの常連さんにも見せてあげたいな〜、一度そういうイベントをやってみても良いですか?」


なんていうこともよくあります。


どうでしょう?総合的に考えて、アポを取って一生懸命に提案するよりも、後者の方がプロっぽくないですか?


そして、メリットの最後に書いたことに関して。


現実は甘くない。しかしそれでまったく問題ないワケ



実際にはお願いされてマジックを披露してうまく盛り上がっても出演に至らないケースの方が多いです。お店がマジシャンのレギュラー出演を望むケースは少ないんです。


望んでいる場合には、「この人にはうちのお客様を喜ばせる能力がある!」と判断された時点で

「あの、、、実はいま、平日の集客が弱くて何か工夫しなきゃいけないと思っているんですけど、単価も料理の味も横並びでなかなか他との差別化も難しくて、たとえば時々マジックをやっていただいて新規のお客様の集客に繋げたりとか、、、そういうご相談って可能ですか?」


そんな声がかかります。声がかからなければこちらから追う必要はありません。

・・・は!?


散々通ってお金を使って、タダでマジックまで披露したのに、そのまま?フザケンナ!こっちは仕事が欲しくて読んでんだよ!


と思う方もいるかもしれませんが、この作戦は、作戦であって作戦ではないんです。


あなたの居場所


お店に通って、居心地が良いなと思って、スタッフさんと仲良くなった時点であなたは本当にそのお店の常連さんなんです。


この意味がわかりますか?


あなたにとってビジネスを超えた人間関係が出来上がっているんです。


あなたが好きになって通っていて、お店にとっても大切なお客さんであれば、他の常連さんと同じ扱いです。つまり、そのお店はあなたにとって仕事が入ってくる可能性のある拠点の一つになります。仕事を取るために通っているのではなく、好きで通っているからこそ、信用を築けているのでいつか何かの形で仕事になる可能性が高まるんです。


想像してみてください。


あなたがお店を経営していて、お客様の中にプロマジシャンがいる。いつも見せびらかすわけじゃないけど、一度見せてもらって、スゴかったし他の常連さんも大喜びしていた。

「あの時のお礼もできてないし、いつかマジシャンに仕事を依頼したいというお客さんがいたら、彼を紹介してあげたいな!」

と思いませんか?


そして、色々な会話の中で

「うちの常連さんにマジシャンの方がいてさー、一回目の前で見せてもらったんだけど、それがスゴいんだよ〜、、、」


って、言いたくなりませんか?


何も知らない状態でいきなり売り込んで知り合うのとは次元の違う関係。


あなたの個人的な、極めてプライベートなつながり。


人脈はつくるものではなく、築くもの


これこそみんなが探し求めている「人脈」です。


異業種交流会で名刺を何百枚配ってもできない「人脈」(異業種交流会についてはまた書きます)


だいぶ前からお気づきだと思いますが、この記事はタイトルと矛盾します。


今回の記事でお伝えしたかったことは

「売り込みの方法」ではなく、プライベートを豊かにして、いつか必要が生じたときに自然にお願いされる方法

なのです。


自分を売り込まないからこそ良い仕事が入ってくる


ぼくはデビューして2年目以降、このアプローチで

「まずプライベートが豊かになって、そうなると自然に仕事が入ってくる」

ことに気づいてから、売り込むということを一切やらずに生きてきました。


中にはガンガン電話してアポを取りまくってはマジックを披露し、ダメだったら次!方式の方もいます。

「あの店バカだな、マジックでも入れなきゃ来年には潰れるぞ」

「うちのお客様には合いませんだと?マジックは誰が見ても喜ぶって知らないんだな、あいつ」


同世代の若手マジシャンたちがそんなことを言っているのを聞いたことが何度もあります。


正直、そういうマジシャンの方が確実に稼いでいました。倍くらい稼いでいたのではないでしょうか。


でも、自分には真似できませんでした。


やり方は自由ですが、ぼくは自然にお願いされる方が気持ち良い仕事が入ってくるので好きです。


(もちろんある程度経歴ができてくると直接の人脈の外からもウェブサイトや口づてに仕事が入ってきますが、それは別。また書きます。)

今の自分の人間力を正確に測ることができる



あと、このアプローチだと自分の今現在の人間力がハッキリとわかるのが良い点です。


20代前半の若者が、銀座で経営者の方々が集まるような場に通って常連になろうとしても、たいてい無理です。


かといって同じく20代前半の同世代で億を稼ぐIT社長が集まるバーに入り浸ろうとしても、やっぱりたいていの人は難しい。


では芸能系の仕事が欲しいからといって、同じく20代前半の作家や役者、芸能人が集まるバーで常連になれるか?これも、やっぱりハードルが高い。


といった具合に、今の自分がどの程度の人間力なのかがハッキリと見えます。


電気ショックを受けるくらい、

おれ、ただのちょっとマジックができる若造じゃん。。。

ということを突きつけられます。

また、

どういう人に見せたくて、どういう人には見せたくないのか

もハッキリします。

同様に、

どういう人になりたくて、どういう人になりたくないのか

もハッキリしてきます。

自分をブランディングしていくにあたって、この感覚が欠落していると致命的です。


でもこれ、売り込む方法論しかやらない人は無視できちゃうんです。


IT社長が集まるバーに売りこんでNGだった場合、

「あいつらは金のことしか考えてないんだ」

と言って終わりにすることができます。


芸能人が集まるバーに売り込んでNGでも

「みんなマジックを見慣れてるから仕方ない」
「中には有名なマジシャンも来るだろうし、難しいか」

なんていう理由を勝手に考えて終了にできるんです。


でも、自分がそこを自然な居場所として感じられるような自分になりたい。さあ、馴染めるか?という観点で考えると、自分のステータス、技量、人間力、総合的に判断してここに居たいと思っても、馴染めない。。。自分には足りないものがある。。。


それがハッキリわかるんです。


芸を糧に生きる人間には絶対に欠かせないこと


繰り返しますが、この感覚を持てるかどうかは、芸を糧に生きていこうとする人にはとても大切です。


ぼく自身、ぜんぜんまだまだ自分がいきたいところと、今の自分には大きな距離があります。でも、それでいいんです。毎日一歩ずつですが前進していることも感じられるので。


ここに書いたこと、たしかに一理あるけど、、、

「仕事が欲しいから読んだのに、時間かかりすぎでしょ!!!」

と思っている方へ


時間がかかるから、若いうちから始めた方が良いんです。


さて、だいぶ長くなってしまったので唐突ですが、ここで終わりにします。


完全なタイトル詐欺ですが、魔法つかいの『魔法』だと思ってお許しくださいm(__)m

KOJI


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日も素敵な1日をお過ごしください✋✨

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コミュニケーションにおける間合いと、相手や自分自身を見極める目を獲得するためのノートはこちら ↓


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