お酒と映画②「聖なる酔っぱらいの伝説」
「聖なる酔っぱらいの伝説」(1988)の主人公がルトガー・ハウアーであるとは長い間気がつかないでいた。
主人公アンドレアスは故郷を追われ、パリの橋の下に眠るホームレスの酔っぱらいだが、不思議な老人から受け取った200フランを聖テレーズの祀られた教会に返そうとする数日の間に、小さな奇跡と彼の人生を走馬灯で見るような出来事が起こる。
ここでは彼は、タイレル社製のレプリカントではなく、落ちぶれても礼儀を失わない、優しげな、そしてよく見ると「ちょっといい男」の無垢なホームレスとして描かれている。
時代は一昔前のパリであるが、イタリア人監督の手によって、どこかフェリーニの映画のように、雨や風の冷たさ、夜の暗さ、一夜をともにする女の肌の温かさ、そして生きることの切なさを思い起こさせる。
台詞が極めて少なく、アンドレアスの表情と思い出の情景、数日間に起こる心躍る出来事の描写が美しい。
「純粋で心優しい酔っぱらいの一生」の映画として見ることもできるが、別の見方をすると、「神様(の救いに)辿り着けなかった男」あるいは「神様のところに命が尽きる瞬間にたどり着いた男」という寓意を見ることができる。
依存症と神様というとAA(アルコホリック・アノニマス:12ステップグループ)でも神、ハイヤーパワー、スピリッチュアリティなどの神様関係の言葉が使われている。このへんは日本人にはなじみにくい面があるが、どういうことなのであろうか。次回はこのへんを考えたい。
追記 ひさしぶりの投稿です。飲みすぎないでお酒との付き合い(適酒)を目指しています。コントロールはある程度続いていますが、その事でむしろ、自分に向き合うことがさらに難しくなっていると感じます。
飲酒カレンダーです。4日はワインを240ml飲みました。11日はワイン240mlと缶ビール(500ml)を飲みました。18日はワインを240ml飲みました。