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ハクチョウ無敵(上)

ー都電ぶらり散歩(3)

東京都豊島区の東池袋四丁目駅から都電荒川線(都電)に揺られること、およそ50分(※)。荒川二丁目駅(同荒川区)で降りる。ハクチョウ(白鳥)が住まう荒川自然公園(同荒川区)までは目と鼻の先だ。白鳥を見たことはもちろんある。ただ、これほどじっくりと見るのは初めてかもしれない。予想外の優美な動きに驚く。それにしても、奧さんは渡り鳥であるハクチョウが、いつでも見られる公園をよくぞ見つけたものだ。リサーチ力に脱帽。

連載「都電ぶらり散歩」シリーズ:「(1)寄り道ランチ」「(2)味変ルート

レオとサクラ

荒川自然公園の公式サイトによると、この公園は東京都下水道局の三河島水再生センターの施設の上に、新たに人工地盤を築き、そのスペースに造られた公園とか。実にユニークな構造だ。事前に知っておけば、せっかくの機会、もっとじっくり見たのにと悔やむも、後の祭りだ。

都内にあるこうした構造の公園は、落合水再生センターの上に造られた落合中央公園(同新宿区)に次いで2例目とのこと。落合中央公園の周囲を奧さんと一緒に散歩したことがある。ふと思い出した。新たな発見が、眠っていた記憶を呼び覚ましたようで、どこか得した気になる。

荒川二丁目駅から線路に沿って伸びるスロープを上ると、そこがこの公園の入口。ハクチョウが住まう池は「白鳥の池」という。入口からすぐの距離で分かりやすい。ハクチョウはつがいの2羽。名前はそれぞれ雄がレオ、雌がサクラ。姉さん女房のようだ。2021年3月にやって来たそう。

ともに人懐っこい性格なのか、池のすぐそばでジッと眺めていると、水面を滑るように泳いで近寄ってきて可愛い。性格というより、むしろ餌をもらえると思っているのだろう。しばらくして何ももらえないと分かると、また滑るように去って行く。実に上品な所作だ。じっくり観察できた。

神聖な鳥

ハクチョウの羽は純白というにふさわしい。まじまじと見つめ、そう思った。あるサイトによると、「ハクチョウは、その白い羽から純粋さや無垢さの象徴とされ、多くの文化で神聖な鳥として扱われてきた」というが、それも納得だ。また、長い首と滑らかな体のラインが特徴的で、水面を滑るように泳ぐ姿は優雅である一方、翼を広げて羽ばたく姿は力強く雄大。もはや無敵である。自らの感想に自らが驚いている。

一緒に行った奧さんはどう感じただろう。感想を聞いてみたい。(続く)

(トップ写真:連載『都電ぶらり散歩(3)』カット=りす作成)

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りす=ハードボイルド
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