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美容室の憂鬱
ー週末街ブラ5.0km(1)
仕事や介護に日々縛られるわが夫婦。週末はそこから幾らか解放されて束の間の休日。寝ていようと思えば、いつまでも寝ていられる。ただ、それではせっかくの時間がムダになると奮起し、せめて街中を目的なくブラブラと散策する”街ブラ”に出かけるようにしている。これがなかなか楽しく、徐々に習慣のようになってきた。ウォーキングの一環になるほか、道中、必ず何かが起こって刺激がある。実家から東へおよそ5.0kmの範囲で街ブラした先日の記憶を振り返る。
浮かない表情
どこに向かうかも決めていないので、往路は原則、公共交通機関を使わない。賃金は伸びずに物価ばかりが上がる中、コスト削減、コストパフォーマンス重視がわが夫婦のモットーだ。というより、むしろ個人的なポリシーか。奧さんからは理解を得ているものの、やや心苦しい。
今回はとりあえず東に向かい、道すがら見かけた寺社仏閣を訪れたり、雰囲気の良さげなカフェに寄ったりすることに。四方山話を交わしながら歩くと、日本大学芸術学部キャンパス(東京都練馬区)が近付いてくる。すると、奧さんが浮かない表情を浮かべる。
「この辺り、イヤなんだよな」と奧さん。どうも行きつけの美容院が近くにあり、担当してもらっている美容師にばったり出会うのがどうにも気まずいらしい。初体験でも人見知りせず、どちらかと言えば、積極的に話しかける奧さんには珍しい。
迂回して安堵
奧さんによると、店内から気付かれた場合、窓越しに手を振れば良いのか、それとも店まで入っていて「こんにちはー」と明るく振る舞うのか、どんな態度を取れば良いのか分からず、そこで戸惑ってしまうのがどうにも耐えられないという。美容室を迂回した奧さん。少し先の通りで合流することに。「おまたせー」という奧さんにどこか安堵感がある。
これまで知らなかった奧さんの一面。意外すぎて受ける。(続く)
(トップ写真:連載『週末街ブラ5.0km(1)』カット=りす作成)
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