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日本が勝利で得たもの
ーサッカーW杯カタール大会
サッカーW杯カタール大会の4日目。日本代表は強豪、ドイツ代表を逆転勝利で下し、まさかのジャイアントキリング(番狂わせ)を果たした。確かにそうなることに一縷の望みを持っていたのは事実だが、現実になるとは思わない。だから、今は小躍りしたくなる気分。なかなか寝付けてなくて辛い。他方、この勝利で日本代表が得たものは大きい。
連載「サッカーW杯カタール大会」シリーズ:「強国倒して"台風の目"にー日本代表、きょう初陣」「大波乱に膨らむ期待」「強豪国登場に興奮」「開会式と開幕戦に驚き」
喜びより安心
サッカー日本代表、浅野拓磨が追加点でついに逆転。ジャイアントキリングが実現するか。踏ん張れ、頑張れ!ニッポン。W杯カタール大会、ドイツ代表戦。 pic.twitter.com/rwdwLPxf8p
— りす=ハードボイルド (@white55fox_tw) November 23, 2022
決勝点は、後半終了間際、浅野拓磨が最前線で受けたパスをきれいにトラップし、そのままゴールのニヤサイドに突き刺した。当初、状況をあまり把握できず、オフサイドかと思っていた。にもかかわらず、隣で見ていた奥さんは大喜び。厳格なVARシステム(ビデオ・アシスタント・レフェリー)も反応しなかったらしい。
奥さんととりあえずハイタッチ。ただ、その後、ロスタイム7分が過ぎるのが長い長い。アジアの小国に負けてなるものかと、ゴール前にものすごい圧をかけてくるドイツの姿に、勝利目前に相次いで失点して負けた前回のロシアW杯の記憶が甦る。試合終了のホイッスルを聴き、ホッとしたというのが正直なところ。
番狂わせの効果
日本が欧州屈指の強豪を倒したことが自信となり、チームの団結が深まりそうだ。さらに、前線から相手にプレスディフェンスをかける戦術が通用したことで、今後、日本は勢いに乗っていくだろう。今後控えるコスタリカ、スペインという格上の両チームに臆することなく戦えるに違いない。決勝トーナメント進出が現実味を帯びてくる。
代表チームを指揮する森保一にとっても大きい。先制された上、さらに押し込まれていた前半を1失点にしのぎ、後半の選手起用で劣勢を跳ね返してジャイアントキリングにつなげた実績は評価されるだろう。ここ数年、多方面から批判されることが多かったが、これまで以上に自信を持って自分の描いたプランを遂行できるだろう。
ドイツを相手に番狂わせを演じたことで、日本代表メンバーもそれぞれ一層注目されることになるし、日本選手それ自体の市場価値も上がりそうだ。この先、海外移籍を目指す日本人プレーヤーが、ドイツを破った日本から来たということで、香川真司や本田圭佑のように、資金力があるビッククラブと契約する選手が続々と出てくる可能性がある。
慢心としっぺ返し
サッカー日本代表、同点に。堂安律のゴール。起点は三苫薫。ボールをどんどん回したい。ボールを持つと、俄然雰囲気が変わる。W杯カタール大会、ドイツ代表戦。 pic.twitter.com/xo4hmb2TgY
— りす=ハードボイルド (@white55fox_tw) November 23, 2022
「僕が日本のサッカーを盛り上げるという気持ちでピッチに立っている。ぜひ期待してほしい」ー。同点弾を決めた堂安律は興奮冷めやらぬ中、こうコメントした。自信が漲って実に威勢が良い。期待したくもなる。ただ、その一方で、自信が慢心に変わり、手痛いしっぺ返しを喰らわないか幾らか不安になる。
今回のゴールシーンは堂安だけが決めた得点とは言いにくい。ドリブルで切れ込んだ三苫薫が南野拓実にパスを出し、浅野がゴール前に潰れる中で、その折り返しを堂安がゴールに蹴り込んだ。都合4人のプレーヤーが絡んでいる。ヒーローになろうと慢心し、独りで功を焦ると、得られるはずの勝利を得られなくなる。これが杞憂であれば良いのだが。
コスタリカもスペインも強い。しかも必死だ。
(写真:『りすの独り言』トップ画像=フリー素材などを基にりす作成)
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