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サンマの塩焼きと"赤い糸"
ー秋の味覚の風変りな楽しみ方
サンマの内臓が美味しいらしいという話を奥さんにした翌日、驚いたことに、食卓に並んだのはサンマの塩焼きだった。2021年の初サンマ。さすが、奥さん。興味を持ったことに限っては動きが早い。ただ、実際に食べると、サンマそれ自体は美味かったが、内臓はやはり苦く、決して人に勧められるものではない。腹の中に見つけた"赤い糸"も気になった。サンマの価格が落ち着いてきたら、もう一度、内臓にチャレンジしたい。
関連リンク(連載『秋の味覚の風変りな楽しみ方』シリーズ):「サンマの内臓ー秋の味覚の風変りな楽しみ方」
価格
サンマ漁。ここ数年、水揚げが少なくなっていて、21年も不漁のようだ。漁業関係者から「11月、12月に入ってからサンマが獲れるんじゃないかという気はしています。今はまるっきりですね。とにかく少ないです」との声も聞かれ、お手頃価格でサンマを手に入れられるのは、もう少し先になると踏んでいた。そのため、食卓に並んだサンマの塩焼きに驚いた。
「高かったよ。1尾200円くらい」ー。奥さんに値段を尋ねると、何事もなかったようにそう答える。どんだけサンマの内臓を食べたかったんだよとツッコミたくなった。ただ旬の時期は短い。旬のうちに楽しむには、価格ばかりを気にしてはいられない。11月前半くらいまで様子を見れば良かったのにという気持ちを慌ててかき消した。
サンマはやや小ぶりで脂が乗っているとは言えなかったが、それでも十分に旨かった。そして、内臓は予想通りに苦かった。おろし大根と併せて半分程度食べ、残りは箸で避けて残した。奥さんを見ると、内臓の部分ほぼすべてを避けていた。火は通っていたが、もっと焼く必要があったのかー。疑問は尽きない。サンマが手頃な値段になってからリトライしたい。
異物
やっぱり苦いなー。そう思いながら、サンマの内臓を箸で突いていると、長さ5mmくらいの"赤い糸"のような異物を2つ見つける。魚の臓腑から消化しきれなかったものが出てくることはよくあり、これもオキアミだろうと気軽に考えていた。念のため、調べてみると、「ラジノリンクス」という寄生虫も、サンマの体内で赤いヒモ状の形で見つかることがあるらしい。背筋がゾッとする。
サンマに付く寄生虫はラジノリンクスのほかに、ペンネラ(サンマヒジキムシ)、サンマウオジラミ、アニサキスなどのようだ。いずれも人体に寄生せず、アニキサス以外は食べても問題ないという。またアニキサスも、アレルギー反応がない人は、加熱あるいは冷凍処理すれば、人体に影響ないそうだ。もっとも、安全だからと言って、敢えて寄生虫を食べようという気には決してならない。
リトライしてもサンマの内臓は楽しめない気がしてきた。(終わり)
(写真〈上から順に〉:食卓に並んだサンマの塩焼き=りす撮影、最寄りのスーパーで売られていたサンマ〈1尾税込200円超〉=奥さん撮影)
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