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富士塚の願い

ー週末街ブラ5.0km(2)

実家から東へおよそ5.0kmの範囲で街ブラしたわが夫婦。道中、奧さん行きつけの美容院が近づき、担当美容師とばったり会うのを避けた奧さんは迂回路へ。仕方ないなと苦笑いしつつ、別れて予定路を進むと、左手に浅間せんげん神社(江古田浅間神社、東京都練馬区)が見えてくる。この神社に寄ってから合流する旨、LINEを通じて奧さんにメッセージを送り、鳥居をくぐる。この神社は富士塚があることでも知られている。

連載「週末街ブラ5.0km」シリーズ:「(1)美容室の憂鬱

心の支え

富士塚とは、富士山信仰に基づいて造られた人工の山や塚のこと。富士山に登る代わりに富士塚に登ってお参りしたそうだ。富士塚の高さは場所や築造された年代によって大きく異なるものの、一般に数mから十数mであることが多いらしく、高齢者にもチャレンジできそうだ。

足が弱くなった父親、母親と一緒に登りたいと富士塚を見るたびに思う。頂からの景色を眺め、急な坂道であっても、まだ自分の足で歩けるのだという自信を取り戻してもらいたい。いま誘っても「無理だ。嫌だ」と一刀両断されそうなので、誘うタイミングを探っている。

実はこの"野望"、昨年(2024年)1月に夫婦で品川神社の富士塚(※)を登ったことから始まっている。最高地点と最低地点の高低差を示す比高は15mながらも、そこから見下ろした風景は素晴らしい。通りを行き交う車がミニカーに見え、頑張って登った感がじわじわ湧き上がる。

この1年で父は足が急激に悪くなり、その原因を取り除くための手術を控える。その後、おそらくリハビリが待っていて、ままならない自分の身体に苛立ちさえ覚える日々になろう。リハビリの目標として浅間神社の富士塚に登ろうと誘い、それが心の支えになれば嬉しい。

入山制限

ただ、この神社の富士塚に登るには、日時の制限があってやや難しい。入山できる日時が毎年、1月1ー3日、山開きの7月1日、例祭がある9月第2土・日曜日と決まっている。実のところ、24年のうちに下見しようと企んでいたものの、日程をすっかり忘れていて登らずじまいに終わったという体たらく(※)。今年こそはしっかりチェックしておかねばだ。富士塚の入口を閉じる柵が挑発してくる。

「果たしてキミにできるかな」ー。(続く)

(トップ写真:連載『週末街ブラ5.0km(2)』カット=りす作成)

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りす=ハードボイルド
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