土居川001

推しの宿と癒しの景色

ーオレとアチキの西方漫遊記(8)

奥さんが選んだ創業100年超の老舗宿。造りは古いながらも清潔感があり、85歳の女将も世話焼きで気さく。料理は美味しくボリュームも言うことなし。その上、部屋からは癒しある景色が眺められる。この宿を100点満点で評価すると、個人的には95点、奥さんは100点。ちょっと斜に構えたところを自覚するわれわれ夫婦にとって、予想だにせぬ、ほぼ満点評価。言わずもがなの"推し宿"だ。われわれ以上に厳しい見方の両親、さらに義母さえも、きっと唸らせることができるだろう。

「オレとアチキの西方漫遊記」シリーズ:「オレとアチキの西方漫遊記(1)ー激走2500km」「オレとアチキの西方漫遊記(2)ー淡路SAと大観覧車」「オレとアチキの西方漫遊記(3)ー四万十川と仁淀川」「オレとアチキの西方漫遊記(4)ー旅行スタイルと下ネタ発言」「オレとアチキの西方漫遊記(5)ー見える風景と見えない力」「オレとアチキの西方漫遊記(6)ーさらば四万十、また会う日まで」「オレとアチキの西方漫遊記(7)ー老舗宿の女将と地場料理

些細なマイナス

部屋にカギがないところをわずかに減点。この宿内で"物盗り"など早々に出ないだろうが、万が一の場合、この宿の関係者に疑いの目を向けたくないという思いがある。女将さんに頼んで貴重品を預かってもらうこともできるが、やはり部屋にカギを備えていてもらいたいものだ。

入浴の時間を誘導されたことも評価を下げた要因。共用風呂だったので事情は理解できるが、それでも「食事を19時に準備するから、今から入って20分で出てくればちょうど良い」と強く促されるのは、あまり気持ちが良くない。とはいえ、いずれも些細なことではある。

柚子風味の鶏卵

イタドリ

それらをほぼ吹き飛ばせるプラス面は多い。この宿の主人兼板前の腕前は確かだ。京都で料理修行した女将さんの息子で、夕食はもちろん、朝食も工夫を凝らす。夕食に比べてボリュームを抑えながらも、新鮮な地産食材を使った料理は美味しく、品数も揃えてくれた。

その中でも、奥さんは地産のイタドリと柚子の風味がする卵にご執心で、女将さんにあれこれ尋ね、二人で盛り上がっていた。卵は柚子を食べさせて育てた鶏に生ませており、近くの農家で買えるとか。殻を割って器に入れると、ほのかに柚子の香りがするところが面白い。

さらに部屋からの眺めが良い。特に朝。柔らかな日差し、爽やかな風。眼下に見える川のせせらぎとブルー。飛んでくるトンボや野鳥。遠くに見える山々の緑。これらが調和し、どこか懐かしさを含む自然の風景に心が和む。評価へのプラス貢献はかなり大きい。(続く)

(写真〈上から順に〉:老舗宿から見える土居川の流れ=奥さん、採れたてのイタドリを使った料理=りす)


俳句TOP005

俳句で"オレアチ漫遊記"(弐)

老舗宿の部屋から見える景色は"日本の原風景"というにふさわしい。少なくとも、今回の旅行で求めていた癒しある風景の一つと言える。俳句修行中の"note仲間"であるやまきちさんに詠んでもらった一句を紹介したい。

和みの句

(題材:「オレとアチキの西方漫遊記(8)ー推しの宿と癒しの景色」)

やまきちさんによると、「爽涼」は秋(立秋から立冬まで)の季語、「あさぼらけ」は、辺りがほのぼのと明るくなりかける明け方の頃のことをいうそうだ。明け方に部屋の窓を開けると、涼しげなせせらぎが聞こえてくる景色を詠んだとのことだ。

投句に感謝。次もよろしく。

(写真:りすとやまきちコラボ企画のイメージカット=りす)

題材リンク:

「オレとアチキの西方漫遊記」シリーズ:

「俳句で"オレアチ漫遊記"」シリーズ:


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りす=ハードボイルド
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