『ひとなみ』を読んだ
■文フリ東京36で買った本の感想①
まず上の句がかっこよくて好き。
私はまだ愛もよくわからなくて、愛を手放した経験もない気がする。
けど、過去を抱いて歩いて来たというか、ろくに進めもせずに立ち止まっている感覚はとてもあって、この歌が響いたのかなぁと思った。
短歌にするのも過去のことばっかり……と自分のことを省みつつ、あとがきでお二人がお話されていた〈今の時点で歌えるもの〉〈今だから詠めるもの〉がジーンときちゃった。(脱線)
下の句も気になって、〈空〉とは何に火を着けたのだろうか、と。
最初は煙草かと思ったけど、空なら花火とかもあるのか、と思ったり。
でも〈空〉が「くう」なのだとしたら、ライターの火が何にも触れずに灯っている時間とか、風に揺らめく様子とかそういう情景を思い浮かべた。
たぶん私の好みで、「教えてもらう」行為が好きなのだけれど。
花が咲くってとても明るいのに、それだけに上の句が切ない。
主体はどちらの橋を選んだのだろうか。
そもそも橋がいくつもあるのか、渡るのか渡らないのか、選択肢も気になった。
子供から教わることが結構あると思っていて、この歌もそうなんだろう。
棒(=木の枝)を誰かから手渡されたとき、これが何の枝なのか、私は考えられる人だろうか? と思った。
働いていて、自分の仕事が何のためにあるのか本質を考えろ、と何度も先輩や上司から言われてきた。
……というのは歌から飛躍しすぎかもしれないけれど。
二句目の〈さくら〉が平仮名なのは、棒を桜だと認識するまでの時間なのかなと思っていて、四句目の〈桜〉がちゃんと「桜」になるのがいいなぁと思った。
これは本当にただの感想なんだけど、覆面短歌倶楽部で好きな歌だったので、読めて嬉しかった。
うわー、好き。って声に出てた。
(最初で張り切って長文書きすぎて語彙なくなってきた)
藤波さんが〈毎日楽しく飲んでいるハッピー人間。〉と自己紹介していたので、この歌の〈飲んで踊ると言う人〉は藤波さんなんだなぁって、すーっと胸に落ちてきてよかった。
いいなぁ、私もそういう人の隣で終末が怖くなくなりたい。
■表紙デザインや栞のこと
今回、『ひとなみ』を買おうと思ったのは、覆面短歌倶楽部で金森さんの短歌が好きだったことと、表紙がめちゃめちゃ好きだったというのがひとつあって。
表紙デザインは、お二人の告知で目にしたときから可愛いと思っていたけど、実物は本当にとても可愛かった。
栞も可愛くて、文フリ当日、ブースで藤波さんから「プラス100円で栞がつくんですけど…」と言われて「栞、ほしいです!」と言ったら、「ほしいです!って言ってもらえるの嬉しい~~」と言ってもらえたの、印象に残ってる。
さっき、栞の裏に気がついて、栞もらってよかったって、さらに思いました。お二人の「ひとなみ」短歌二首とも読めてよかった。
あと、藤波さんの名刺もめっちゃ可愛かったです。
■余談
noteを書いていて、金森さんの名前、人浩って打とうとすると毎回私のフリック入力技術のなさで〈ひとひら〉になってしまって、それがよかった。
おわり。