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みえないものを表現すること:透明な力たち

こんばんは。

先日バイトの面接が終わり、採用のご連絡をいただいた。12月中旬に仕事を辞めて、ずっと無職だったのでほっとした。

前と比べたらまだ全然だけど、やっと社会復帰できる。
このご時世でとっていただけたことにほんとうに感謝。今後やりたいことにちょこっとだけ絡んでいるから、いろいろ吸収していきたい。

さて、自分の話はこれくらいにして、今回はアートの話を。

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見に行った展覧会のことはこれまで2回書いてきたけれど、記事を書いたころにはもう終わってるものしか書いてなかったので。

今回は、まだ見に行ける展覧会について書く(といっても大々的におすすめできない世の中の感じがしんどい)。

詳細は以下にまとめる。

MOTアニュアル2020 透明な力たち
会期:2020年11月14日~2021年2月14日
会場:東京都現代美術館
写真撮影:一部作品を除きほぼOK
コロナ対策:日時予約制を推奨。会場でも当日チケットは入手可

東京都現代美術館(通称MOT)には何度も足を運んでいるが、
ここはその名のとおり、現代アートの展覧会がたくさん企画されるので、みていてワクワク感が絶えない。

加えて、写真撮影OKな展覧会がよく開催されることもあってか、ほかの美術館より若い人が多い気がする(あくまで個人的観測)。
もちろん、インスタ効果もすごい。

こんなふうにいつも素敵な展覧会を開催してくださるこの美術館だが、
今回は見に行ってほんとうによかった!と思える内容だった。

以下、印象に残った作品を。

片岡純也+岩竹理恵《P波またはS波の繰り返し運動》

天秤はかりに乗ったコイルが左右に行ったり来たりする作品。
一見、無機質で規則正しく動くだけの作品だが
天秤の上下運動をコイルの動きが示してくれているのか…と思うとすごくおもしろい。
このリズム感がすごくクセになり、見入ってしまった。

ほかにも、ガラスの上を回り続ける電球や、2冊の本がこすれあってページをめくり続ける作品など、
ふだん目に見えない動きや力を、日用品を使って可視化させた作品がずらり。

いろんなモノたちが融合することで、モノに命や感情が宿ったように見えてた。
動きが反復する作品や、どんなしかけがあるのかパッと想像できない作品が多く、無心でずーっと見れるところもなんかいい。

いままでにない切り口、その斬新さに圧倒。

清水陽子《Photosynthegraph》

作者は大学で生化学を専攻していたリケジョさんで、現在はバイオアーティストとして活動。
彼女が持つ知識をふんだんにちりばめつつも、決して重苦しくなく、発想もビジュアルも美しい作品たちに魅了された。

Photosynthegraph(読み:フォトシンセグラフ)と名付けられたこのインスタレーションは、
光合成を用いて植物に画像や文字を印刷したもの。

植物に印刷するものを貼り付け、2枚目にあるピンクの光をあてて光合成
(光合成の様子がめっちゃ右端ですみません)。

科学のからくりを言うと、植物の葉緑体が画像のパターンに沿って貼り付けた印刷物を浮かび上がらせるんだとか。

このほかにも、
逆さに植えたチューリップがつくる茎の曲線美や、
セルロースの繊維を用いたスピーカーやアート作品が展開されていた。

植物や繊維、微生物などが秘める、肉眼ではとらえられない小さな力
ー菌や繊維がふえる速度、植物やその器官のはたらきetcー

それらをアートで表現しきる発想がすばらしい。

しかし、生化学ってアートにできるんだなあ。
理系じゃなくても十分楽しめたし、教科書にはない勉強をしている気分になった。

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この2組以外には、
仮想通貨や政治家への投票など、情報社会や機械学習といったテクノロジー分野のインスタレーションを展開したGoh Uozumi氏、

ある問いの答えを紙飛行機に書いて壁の向こう側に飛ばし、ワークショップ形式でコミュニケーションの力を探る中島佑太氏、

歴史的な側面やオカルトを交えた動画と装置を用いて、音や振動の知覚を考察する久保ガエタン氏

の3組が出展。
すべて違う題材だから、つぎはどんな力だろう?と考えながら進めて楽しかった。

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私たちを取り囲む見えない力。

たとえば、

特定の人物や集団に対する重圧。
からだの中の細胞のはたらき。
インターネット上の架空の世界。
人と人とのつながり。

ふつうに生きていれば、それらはすべてあたりまえに働く力。

だけど、それをどう表現するかといったら、すごく難しい力。

そういった目には見えない透明な力たちを、私たちに伝えてくれた5組のアーティストたち。

作者の意図ある力をのせた作品から、私たちが見えないなにかを使って力を受け取った時、

テーマの力だけじゃなくて、
作品そのものの生命力というか、作品にみなぎるパワーの強さまで感じ取れた気がした。

目に見えないものが、

目に見えないパワーで次々と形を変えたり、ふえていったり、

目に見えないはたらきで世界中に混乱を巻き起こし、

目に見えないものによって、私たちのあたりまえが変わってきたこの世の中。

透明な力たちは、私たちを取り囲むあたりまえの、目に見えない力たち。

いつの日か、私たちがそれを捉えきること、つまりちゃんと知覚できることを信じて、過ごしていこう。

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