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雪道を歩くと、突然身体のスイッチが切り替わる。

そう、私は子供の頃から雪道をずっと歩いている。

自宅から1.8km先の小学校までと、2.7km先の中学校まで、9年間徒歩で通った。

雪が降ると、道は雪で滑りやすくなる。

ブルドーザーが道路の雪を方付けると、その跡がつるつるに滑るのだ。

何度転んだ事だろう。

そうこうするうちに、だんだんと身体が雪道に慣れて来る。

例えば、右足が前に滑った瞬間、もう一方の左足が後方の地面にバシッと踏ん張る様に勝手に足が出る。

だから、ほとんど転ぶことはなくなった。

雪道だと身体が感じた瞬間、身体の中のスイッチが勝手に入るのが分かる。

何かが、身体の中に入った感じがする。

自分では意識していないのだが、無意識にどこかにあるスイッチがはいるのだと思う。


車の場合も同じだ。

私が自動車免許を取得したのは、長野県大町市にある自動車教習所だった。

高校3年の冬、自動車免許を取得した。

私の学校は工業高校だったので、他の皆は結構早くから自動車免許を取得しにいったが、私は大学の入学試験があった為、その結果が分かるまでは免許取得を控えていた。

仮免許を取得すると、実際の道路で教習をするのだが、その道路が雪道だったのだ。

当時はスパイクタイヤでも大丈夫だったので、チェーンを履く事は無かったが、一つ困った事があった。

田舎の狭い道路は、車がほとんど通らないので、3本轍(わだち)が出来るのだ。(道路の中央の溝を、両方向の車が使う)

そうすると、対向車が来ると、両方とも中央の轍にタイヤがはまっているので、どちらかがその轍を譲らなければならない。

車の運転に慣れていない初心者が雪道を走るのは厳しいと思うが、初めての仮免走行でそんなシチュエーションだったらどうだろうか。

雪が残る道路に出来た轍は深く、凍っていた。

鉄道を走る列車がレールを外れないように、ちょっとくらいハンドルを切っても、轍から抜けられなかった。

車の運転初心者の私は、轍から車をだそうとハンドルを切ったがなかなか車が轍からぬけられない。

焦っていると、教官から、もっとハンドルを切ってと言われ、思いっきりハンドルを切ってやっとの事で轍からタイヤを外す事ができた。

とても「ドキドキ」した事を覚えている。


そんな私も、雪道を走ってもうすぐ40年になる。

自分の車を最初購入したのは、「日産ブルーバード2000アテーサX」だった。

当時、プロスキーヤーの海和さんがこのモデルの一つ前の宣伝していた車が確かブルーバード1800CCだった事もあり、憧れもあり購入した。

(海和さんは、「私をスキーに連れてって」で役者さんの代わりに滑っていた方です)

この車は4WD車であり、スタッドレスタイヤを履いていたので、どんな道も怖くはなかった。

私も若かった事もあり、雪道を乾燥した道路と同じ速度で走行するのが面白く、楽しかった。(友人をビビらせるのが好きだった^^;)

そんなある日、スキーで実家に友人と遊びにいったその夜、友人を載せて温泉まで雪道を車で走っていた。

前方を1台の長野ナンバーの白い車が走っていた。

私はその車の後ろを走っていたが、前の車はかなりのスピードを出していた。

私の車は「大宮」ナンバーだった事もあるのだろうか、その車は「私の車よりも早く走れるぞ」とアピールする様に、走っているように私には見えた。

私も、若かった事もあり、負けるものかという気持ちも少しあっただろうか、その車の後ろを少しの車間距離を開ける感じで走っていた。

あるコーナーに差し掛かった時だった、前の車が突然ハンドル操作を誤ったのか、スピードコントロールを誤ったのか、反対車線の雪の壁に突っ込み、突然ストップしたのだ

そして、私の行き先をふさいだ。


私はあっと思い、ブレーキを踏む。


車はアンチロックブレーキが装着してあったので、

「ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ」

と音を立てながらスピードを落としていったが、車に4人乗っていたこともあり、なかなか車が止まらない。

そして、その前の車のトランクがちょっと凹むくらいの所で私の車はストップした。

前の車には、ちょっと年配の男性と、若い女性の二人が乗っていた。

相手も、気まずかったのかこちらに何か言う訳でもなく、どうしましょうかと穏やかに話をすすめた。

結局、こちらの前方不注意という事で10:0で保険会社同士が決着し、私は相手のトランクの修理代と私の車のフロント部分の修理をする事になった。

それに懲りた私は、それ以来雪道でスピードを出すことは無くなった。


ちょっと、若かりし来頃のほろ苦い記憶である。



今日もお読み頂き、ありがとうございました。\(^o^)/



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