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友達が怪談師デビューするのを観察し隊 その1 怪談を集めるってどうすれば?

友人が怪談師としてデビューすることになりました。

彼女とは、一緒に「ぽんのうず」というユニットを組みホラーゲームをつくったりなどしています。

怪談イベントに行き始めたのが2023年の後半からなのですが、あの時ステージに立っていた怪談師さんと友人が同じ舞台に立つということで、まさかこんなことになるなんて。

私はホラーコンテンツ自体がけっこう初心者なのに対して、彼女はもともと怪談を聞くこと自体は好きで、ホラー映画にも造詣が深い。みんなの前で話すこと自体も得意なので、とってもいいチャレンジなのではとわくわくしました。
なんなら、ぽんのうずとして、その挑戦に一枚噛みたいなーと思っていました。

ところで、怪談を披露するにはまず何をすればいいの?

そう、怪い話を集めることからです。

え、そうなの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。創作した話や落語のような名作を語るようなものは入らないの?と。

もちろんそういうものも当てはまります。
しかし、いわゆる「怪談を話す」というのは、この界隈ではたいてい、実際にあった「怖い話」や「不思議な話」をきいて、それを怪談師が「怪談」として編集して語るということを指すのです。「実話怪談」というようです。

その取材から編集、語りの一連の流れが怪談師さんの腕の見せ所、というわけですね。

師匠からは、彼女自身の体験も怪談にまとめるということで、それを仕上げつつ、取材して怪談を仕上げるということにもチャレンジしてほしいと、アドバイスがあったそうです。

それならば。
私もその取材現場に同席してみたいじゃないですか。

彼女もSNSで募集したり、知人に相談したりしている様子でしたが、もし自分が紹介すれば、自然と同席する流れに持っていけるのでは?

そこで、もう数年会ってない、でもなんとなくこの人は…と思う友人に連絡してみました。

久しぶりー!ところで今友人が怪談師デビューするのを応援したくて、怖い話を集めたいんだけど何かあるかな?

自分で送った内容を読み返し、あまりの怪しさに笑ってしまいます。新手のネットワーキングビジネスかと思われかねない、意味不明さ。

どうしよう、不審がられて返事が来ない恐れもあるのではと心配していたのですが、数時間後に返信が届きました。
ドキドキ開いてみると…

お久しぶりです!元気です!!
私、YouTubeでよく怪談きいてるので、自分の話役に立つならうれしいです!!ぜひ。

そんなことある!?

まさかのノリノリのお返事。
なんなら私より怪談師さんや怪談イベントに詳しいまである感じです。

そこから面白くなってきて、「怖い話ないですか?」と連絡するのはそれほどハードルを感じなくなりました。何人かの友人に連絡してみたところ、とても面白がってくれたり、あるよ!と返事がきたりと、特に相手に引かれるようなこともなかった印象です。

また、私には怠惰すぎてトレーニングの成果はいっこうに出ないけれど、爽やかな挨拶と幅広いトピックスで展開される雑談が楽しくて、通い続けているジムがあります。
そこのトレーナーさんにも、筋トレのインターバルに「友人が怪談師になるんですけど、怖い話って何かありますか?」ときいてみました。

「えー私は全然ないなーKanaさんが怖い話、ききたいらしいんだけど何かある?」

長く通っているので私にとっても既に顔なじみの別のトレーナーさん(他の会員さんを隣のマシンでトレーニング中)に話をふります。

「え、あります!金縛りなんですけど、うちの実家の2階が霊道らしくて…」

霊道?
何やら私よりオカルト的なものに詳しそうです。

そこから彼のお兄さんが昔、そういうものが視える体質だった話、彼もたまたま実家に帰って、かつてのお兄さんがいた部屋のベッドで寝たら、金縛りにあってたぶん視てしまった話などをきかされました。

怖い体験を話す、鍛え上げられた肉体の彼の目は無駄にキラキラと輝き、笑顔もあふれんばかり。もし音声を消したらまさかそんな話をしているとは思われないだろうなぁと思いつつも、その場にいた全員で耳を傾けていました。

私のトレーナーさんもこわーい!ってひとしきりリアクションしたあとに、言いました。

「確かに小さいころってそういう不思議なことありますよね。
別に怖い話じゃないですけど、私も小さいころ、プリクラのネオンのペンでかいたみたいな青く光る輪郭の、せんちゃんっていう子が押し入れに住んでて友達でした。」

え???

私も金縛りの話をしたトレーナーさんも一瞬、何を言い出すのかと固まります。

「いや、それこそ怖い話じゃないですか?」

「え、でも怖いことはなかったですよ?」

「そういうことじゃなくて!!」

トレーナーさんにとって、そのエピソードは小さいころのお友達との思い出で、いわゆる「怪談」になりうる話とは思わなかったそうです。

でもそのせんちゃんの話がきけばきくほど不思議だしオリジナリティがあって、それを底抜けに明るい彼女が語ると、「いいなぁそんなお友達」とうらやましい気持ちすらこみ上げてきます。

そこから幽霊的なものの存在の光り方でランクの違いがあるのか(青は尊いけど赤はランクが低そう)?幽霊の出現の仕方について2人の人が同じこと言ってたから信憑性ありそう!とか今まで誰ともしたことないような話題で和気あいあい。

思えばこのジムでは、よくメンヘラ彼女から多額のお金を請求された話や、スナックの女性が惨殺された話で盛り上がったことも記憶に新しく、毎度、見た目の爽やかさとのギャップに不思議な気持ちになります。(もちろん、適切なトレーニング方法や食事のとり方などについても話していますが)

怪談師さんたちもこういう話をきくのが好きで、それを語る怪談師さんになっていくのかなぁと思ったりして。

そんなこんなで、少し脱線しましたが、怪談師デビューするぽんすけ氏と相談し、最初に連絡してノリノリの返事がきた友達ともう一人に取材することが決まりました。
もちろん私も同席して。計画通りです!

さて、実際に話をきいてみたらどうだったか、次回に続きます。


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