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我妻マリさんに聞く、明日がもっと面白くなる生き方
17歳の頃から70歳を超えた現在でも第一線で活躍するファッションモデルの我妻マリさん。とあるファッションイベントでWHILL社員と対談する縁があり、我妻さん自身がまさにWHILLが提唱したい生き方を体現されている唯一無二の理想的なモデルさんであったことから、後日WHILLから熱烈にラブコールを送り、今回新製品のモデルになって頂ける運びになりました。 40年以上暮らした東京を離れ栃木で新しい生活を始めたり、そのような経験を綴ったエッセイ集『明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?』を出したりなど、生き生きと挑戦を続けるマリさんに、明日が今日よりも面白くなると思える生き方の秘訣や大切にしている考え方を伺いました。
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自分自身で表現する方法を学び、モデルになった
WHILL マリさんがモデルを始められてから、現在に至るまでのキャリアを教えてください。
マリ 17歳の時にモデルの友達に声をかけられたのがきっかけで、モデルのお仕事を始めました。当時習っていたダンスの先生がニューヨークに戻られ、どうしようと思っていた中で声をかけられモデルを始めてみたのですが、動くことでポーズができるという点がダンスと共通していたのと、性に合っていたため、一気にハマってしまいました。
当時はモデルの学校もなく、教えてくれる人もいなかったため、有名なモデルさんのお化粧を真似てみたり、ファッションショーを見に行ってみたり、またヒールの靴を買って夜道街灯の下で歩いてみたりしながら自分自身で表現する方法を学んでいきました。
そうして自分で写真をアルバムにして売り込んだりしているうちに、モデル事務所から声がかかり、本格的にモデルをやっていくようになりました。
その後はパリコレに行ったりいろんな経験をさせてもらいました。シャネルからモンペまで(笑)いろんな服を着させてもらって。着物の大塚先生という方がお洒落なモンペを開発されて、ファッションショーやったりね。
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WHILL まさに第一線で活躍してこられたマリさんですが、転居に伴って運転免許を取られるなど、新しい挑戦もされていますよね。
マリ そうなんです。40年以上東京に住んだ後に自然の中で暮らしたくなり、栃木に移住をしたのですが、最初は自転車で生活をしていました。でも冬は寒いし、滑ったりして危なくて。隣の奥さんの「絶対に免許取らなくちゃよ」という言葉に背中を押され、清水の舞台から飛び降りる覚悟で免許を取ることにしました。
週に3回から4回(免許の教習を)集中して受けて、(試験は)1回で取れたんです。でも4キロ痩せたの。使ってない脳を使って(笑)。もともとビビり屋で運転は怖かったのだけど、「これは取らないと生活できない」という切羽詰まったものがあったから取れたんですよね。
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年齢を重ねるごとに自由になっている
WHILL ご著書の中で、「年齢を重ねると、手放さないといけないものも、手に入るものもある」という風におっしゃっていました。実際、「手放さないといけなかったもの」、そして「手に入ったもの」は、それぞれどのようなものだったのでしょうか?
マリ 手放さなくてはいけなかったものというのは、「固執している小さい自分」。それは自分にとっては邪魔なものなんですよね。田舎はみなさんに助けてもらわないと、ひとりぼっちは難しい。東京みたいに、隣に誰が住んでいるか分からないような生活はできないわけです。こちらから「よろしくお願いします」って入っていくためには、自分の中の固執した考えを手放さないといけない。
WHILL それは逆に手に入ったものでもあるわけですね。
マリ そうですね。それを手放したことによって、後からすごく楽になる。助けてもらえるし、いろんな情報も入るし。美味しいお野菜も手に入るし、みたいな(笑)。
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WHILL ご著書『明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?』の帯にある「受け入れるけど諦めない」という言葉に込めた思いをお聞かせください。
マリ 現実として人は年を取っていくわけですが、それを受け入れながらも諦めないで努力していかないと、どんどん本当にお婆さんになってしまいます。人は誰もが若いエネルギーを内側に持っていて、たとえば45歳になっても、本当は40歳の若さを持っているわけです。だから「自分はもう45歳になったから、努力してもダメなんだ」などと思い込まず、自分の中にある若いエネルギーを使わなきゃいけない。そうすれば、新しい自分がどんどん出てくるわけです。
WHILL あまりリタイアするとか定年するとか、そういった感覚はマリさんには無さそうですよね。
マリ 全然ないし、もっと自由になったというか。40代ぐらいのときは、「私は46ぐらいになったら仕事を辞めるんだ」って思ってたの。昔パリコレとか行ってた頃は、すぐに流行が変わってしまい、デザインも2年も使ってもらえないような感じで。私もそれに対応して、メイクアップを変えたり、そうしないと仕事が入ってこなかった。仕事が好きなので、そうやって生きてきたの。でも今は時代が変わって、お客さまも年を重ねてもお洒落がしたいという風になってきたから、こうやって今も仕事を続けています。
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WHILL 前のインタビューでWHILLをご覧になっておっしゃった「今は必要ないけど、今から慣れて備えておけばね」という言葉が非常に印象的でした。
マリ モデルは全身をひねることで表情を作るんですが、そうすることで身体に歪みが出てしまうのね。今も無理をすると腫れてしまうので、少しずつ歩きながら休んだりと、仕事を続けていきたいから、そういう努力をしていかなくてはいけない。でもいつまた転ぶか分からないので、せっかくこういうお洒落な乗り物が手に入る価格であるのだから、今から慣れておけばまたこれに乗って仕事場とかにもいけるんじゃないかなって思うんです。
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人間は「ダメだ」と思うとそういうサイクルに入って、人に会いたくなくなったり自信がなくなったりして、全部悪い方向にいってしまう。だからいつも希望を持って、元気でいたいとかみんなに会いたいとか、綺麗でいたい、かわいい私でいたい、そういうことを努力していたいと思うんですね。時代が変われば新しいことに巡り合えるけど、そこで諦めてしまったら本当にそこで終わってしまうから。
現場で見て得られる感動で、また新しいものが生まれてくる
WHILL 2021年11月より発売の(WHILL初の)折りたためる軽量モデルWHILL Model Fは、マリさんにイメージモデルとして製品紹介映像などに出ていただきました。撮影させていただく中で、実際に乗っていただいたり、折りたたむ実演をしていただいたりしましたが、実際デザインや乗り心地はどのように感じらましたか?
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マリ 1つの線がスーッと下に下りていくデザインやカラーなどもとてもおしゃれ。(5色ある)カラーは洋服に合わせて替えたりもできるわけですよね。
WHILL 前のモデルは「スポーティなエレガンス」と形容していただきましたが、今回のモデルを例えると?
マリ 「軽やか」ですね。軽やかになって、ジーンズなどのカジュアルなファッションにも合わせやすくなったと思います。
WHILL マリさんにとって移動というのはどういう意味がありますか?
マリ 結局、映像などコンピュータで見たようなものでは感じられないものってありますよね。こういう(WHILLのような)友達がいたら、そういう舞台や踊りなどを現場に行って見られるわけじゃないですか。そこで得られる感動でまた新しいものが生まれてくる。脳は使えば使うほど活気づいていきますから。
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WHILL 最近の心躍るお出かけがあったら教えてください。
マリ (トーキングヘッズのフロントマンである)デイヴィッド・バーンの映画を見に行ったのがとてもよかったです。彼も70近い人でずっと音楽をやってきたのですが、ブロードウェイの舞台で1時間ぶっ通しでいろんなミュージシャンとセッションしたライブが映画化して。なんで感動したかというと、年齢がないの。素晴らしい人はいくつになっても素晴らしい表現をしたり、夢を伝えてくれたりします。人間は持ってる能力すべて使うと、また違うエネルギーが出てくるの。そこでやめたら止まってしまうから、続けるということはとても大切。それをまた若い人たちが見て刺激にもなっていくわけじゃないですか。
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明日はもっと面白い自分がそこにいる
WHILL 今も第一線で活躍されるマリさんですが、なぜ社会から必要とされ続けるのでしょうか?
マリ そうですね、あまり考えたことないのですが・・私は90歳を過ぎても表現をし続けていきたいんですね。人はいくつになっても成長し続けていきます。経験したことで新しいものを生み出す力を人間誰もが持っているんです。私はその力を、未知の世界で使ってみたい。
たとえばモデルでも、今までできなかったような表現ができるようになってくるんです。そうすると、またどんどんやりたくなっちゃう。役者さんなど「表現者」はいくつであっても、見る人が見たらその表現の素晴らしさで涙が出るくらい感動できるんです。そういう「極め」をモデルでやってみたい。
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WHILL 最後に、『明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?』ということについて、(若い世代の方たちへ)メッセージがあればお聞かせください。
マリ 明日という日はまだ未知の世界なので、今日頑張ってみようとか、これをやってみたいとか目覚めたら、明日はもっと面白い自分がそこにいるわけです。私は失敗もいっぱいしていて、「あぁ失敗したな」と思っても、またリセットして始めるんです。始めるといっても前のことをすべて捨てるわけでなく、それらはすべて経験として残っているわけです。そうやってリセットしてやっていけば、また新しいものが生まれてくる。だからみなさん、絶対諦めてはいけない。自分はこうだからと決めつけてはいけない。そこを乗り越えて、人の役に立ったり、面白く生き生きしていれば、自分がいただいた生命に感謝するだろうし、みんなを大事にするだろうし。いろんないいことがいっぱい起こってくるわけですから。
衣装協力:Ataraxia (参考商品)
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我妻マリさんのインタビューのショートムービーはこちらhttps://youtu.be/VTuQQVTIQ-g
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WHILL Model F 製品ページはこちら:https://whill.inc/jp/model-f
WHILL Model F 開発秘話はこちら:https://note.com/whill_drive/n/n4a0d73106550