【WHILL Model R 開発物語】メカ設計エンジニア山﨑 -アイコニックなフロントランプ、秘密はライトの組み合わせとカット細工-
スマートになった歩道のスクーター WHILL Model Rは、行き届いた機能が心地よい製品として、市場に投入されました。
ものづくり全てに言えることですが、Model Rを通じて私たちが感じるその魅力や心地よさは、WHILL社が長年蓄積してきた技術力や緻密な計算と検証、試行錯誤による工夫の結果によって成立しています。
話を聞いた山﨑は、Model Rの中でもお客様の身体や日常利用に密接に関わるシートとライト部分をメインで担当。
エピソードは豊富にありますが、今回は背もたれメッシュ生地やシート回転レバーの秘密、Model Rのアイコンでもあるフロントライトへのこだわり、メインバスケットの取り付け機構開発の裏側に厳選しました。
山﨑 正敦(やまざき まさのぶ) プロフィール
WHILL初の特殊メッシュ素材で、背中でも感じる心地よさ
WHILL社は初めて、Model Rのシート背面にメッシュ素材を採用しました。
Model Rでも大事にされている「心地よさ」。
背もたれ1枚とっても、とことんこだわります。
見た目の軽快感と実際の座り心地の良さをどのように両立させるか?山﨑に提示されたお題でした。
夏でも涼しく、そして長く運転しても疲れにくい。
Model Rではハンドル角度の調整や足の置き場などはもちろん、背中のシート面からも心地よいドライビング体感を支えているのです。
頻繁に使わない、痒いところに手が届く「機能」の使い勝手も抜かりなく
Model Rは何かあった時に車載などして持ち運べるよう、プレミアムモデルのModel C2同様、分解・組み立て機構を取り入れました。
もちろんこれもWHILL社内で受け継がれてきた技術で、工具やツールなしに誰でも簡単に分解できるように設計されています。
ツールや工具なしに分解・組み立てられるということは、接合するための部品もありません。
それぞれの接合部分がパズルのようにカチッと(?)シンデレラフィットするようにmm単位(もしかしたら1/100、1/1000単位かも)で計算されていると山﨑はいいます。
実は、Model Rのシートはくるりと回転させることもできます。
前から座ることもできますが、乗り降りしやすいように90度回転させて横から座ることもできるようになっています。
その際、使うのがシート下にあるレバー。
フロントランプはModel Rのキーアイコン。いかに恰好よく照らすか
四角く、エッジの効いた大きめのModel Rのフロントランプ。やや暗い道も明るく照らす役割はもちろんですが、その象徴的なデザインはModel Rを代表するキーアイコンでもあります。
動画の冒頭でも、フィーチャーされています。とにかく恰好いい。
ちなみに筆者のおすすめはランプから照射された光が床や壁に映っているさま。洗練された一本の光の筋が、本当に恰好良いのです。車のフロントランプも彷彿とさせます。
山﨑はランプはもちろん、どう恰好よく照らすか、までの設計も手がけました。
Model Rのフロントランプは、大きなパイプフレームの先にデザインされたキーアイコンです。デザイナーから上がってきたイメージをしっかり恰好よく実現させたいと考えていました。
フロントランプはLEDライト3つで構成されています。
まずは、メインのプロジェクターランプ。車にも搭載されていますが、光をレンズで集めて狙った範囲に照射する役割を持ちます。つまり、前を照らすランプです。
少し見づらいですが、真ん中の丸いランプがそれです。
次に左右にあるのが2つの小さなランプ。
自動車でいうポジションランプ(スモールランプ)です。
周囲に光を散らしている(拡散させる)ことでより広範に照射できるようになっています。
山﨑曰く、カットにも工夫が施されているとのこと。神は細部に宿る…。
Model Rのフロントランプをこれから点灯させる際は、ぜひランプそのものだけでなく、照射先の明るい光加減にも着目するべし。
終わりに
カタログやHPでは載せきれない開発プロセスのあれこれ。
シートは乗り手の背中に直接触れ、フロントランプは車と同じ構造を採用したModel Rの目立つキーアイコン。
これらの開発の背景には、何度も何度もトライアンドエラーを繰り返して最適解を見出したエンジニアらの見えない努力の結晶がある。
ウィルに限らず、この世に存在するすべてのモノに当てはまること。そんな思いを巡らせながら、WHILL社のプロダクトの奥深い魅力までを知ってもらえる一助に、Model Rを手元に迎える人や場所が増えたらいいなと期待します。
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