【高齢化進む住宅街、移動の確保に近距離モビリティが鍵?】住民が次々ウィル試乗、気軽に外出できる仕組みづくりをコミュニティ内で作る重要性
2024年6月8日(土)、近距離モビリティWHILL(ウィル)を近隣住民に乗ってもらう体験会が所沢市内の大規模住宅街「所沢ネオポリス」で開催されました。
ウィルを単に知ってもらうためのものではなく、日本における時代の変遷から浮き彫りになってきた地域の高齢化に伴う移動課題を解決するための仕組みづくりの一環です。
こうした課題は全国さまざまな地域にも当てはまり、自治体が目下取り組んでいるトピックの1つですが、今回のミソは、祖父母が住んでいた家をハブと位置づけ、一人の大学生が音頭をとっているということ。
WHILL公式noteの中の人が実際に耳と目で感じた、過去の取り決めで動きづらいまちのあり方ともがき、地域住民が抱える日々の移動課題と不安な気持ち、自然と生まれるコミュニティの素敵な雰囲気などなど、今後のアクションのきっかけになればいいなと思い、綴っておくこととします。
※個人の考えも多分に含まれています。
1970年代に造成されたかねてのニュータウン「〇〇ネオポリス」
日本では1970年代の高度経済成長を迎え、技術的な進歩を遂げる中、第2次ベビーブームが到来。急激な都市部への人口集中がおき、深刻な住環境不足が起こっていました。
そこで、都市圏から少し離れ、自然も多く残る地域に大規模団地やニュータウンが造成される動きが活発化。所沢ネオポリス含む「ネオポリス」シリーズもその一環で、大和ハウス工業が1970年代〜に手がけたものです。
所沢ネオポリス以外に、全国7カ所に散らばっています。
※ちなみに、「ネオポリス」は”新しい都市”という意味。
所沢ネオポリスは自然も多く、緑あふれる公園もあるなど、安心して子育てしやすい閑静な住宅街が広がっていました。
住みやすい地域を目指す「協定」、時代変遷に伴い浮き彫りになった課題感
50年前に造成されて以降多くの人が移り住んだ所沢ネオポリス。よりよい住みやすい地域にし、かつ維持するべく、2015年に「まちづくり協定」が所沢市と所沢ネオポリス街づくり協議会で定められました。
建築物の高さ制限や建蔽率を設けることで過密化を防いだり、商業目的での活動や店舗の新規参入を制限したりする内容で、ゆとりある住環境を担保する狙いです。
しかし今、住民の高齢化が進んでしまった中、この協定がかえって動きづらさを醸成してしまう事象も実は浮き彫りになりつつあります。
実際、筆者も新所沢駅から所沢ネオポリスまで行くのに徒歩は断念(この日は夏日で、30〜40分歩き続けるのは厳しかった)。
バスも1時間に1本。しかも調べて出てきたのは最寄りのバス停からさらに10分ほど歩くルートでした。2~3kmは歩けそうではあるけれど、帰りに買い物袋を持って歩くのは特にご高齢の方にとってはつらいはずです。
さらに、街づくり協定により、住宅街の中や付近にちょっとした商店やコンビニが出店することも難しい状況とも聞きました。
こうした移動課題を抱える地域は所沢だけでなく、50年前にニュータウンや団地が造成された全国各地にあるはず。今が変革のタイミングなのかもしれません。
住宅街から2~3km圏内の移動には、近距離モビリティが便利
こうした課題を解決しようと、所沢ネオポリスにかつてお住まいだったご祖父母様のご自宅を拠点に、ここ1年ほど準備を進めてきたmy seat代表の現役大学生Tさんが、ウィルを設置し、誰もが気軽にお出掛けできるような仕組みをつくりたいと、今回近隣住民向けの試乗会を開催するに至りました。
WHILL社からは、Model C2とModel Sを特別にお貸出。
導入に向けてしっかり試していただきました。
日時:2024年6月8日(土)13:00〜15:00
場所:所沢ネオポリス
貸出モデル:WHILL Model C2とWHILL Model S
内容:実際にウィルで住宅街内を移動いただき、体感。
参加者:所沢ネオポリスにお住まいの方々、主にシニア世代10数名規模
「自転車がつらい」「歩くのがしんどいから早めに試しておきたくて」移動を巡るリアルな声
試乗会にはネオポリスを造成した大和ハウスの社員さんたちも集まってくださっていました。
皆さんウィルの操作性や移動の快適さ、そして何より楽しさを感じてくださっており、筆者としても鼻高々。「そうでしょ〜自然と笑顔になりますでしょう〜」とご機嫌でした。
早速ご近所のご夫婦が事前に配布したチラシを見て来場。皆さんもちろんご近所さんなので顔見知りです。
早速旦那さんがModel C2の乗り心地を試します。
段差をすんなり越えられることに奥様も釘付け、「いいわね」と一言。
「私も乗ってみるわ」と割とすぐに選手交代。操作も早くに慣れ、「これなら便利ね〜」とご満足いただけたようです。
最後はご夫婦で記念撮影も。とても素敵な笑顔をいただきました。
ご近所さんは次から次へおお越しになります。皆さんやはり徒歩をカバーする移動手段を探しておられるようで、「早めに知っておかないと!」という気持ちも伝わってきました。
こちらの方は最初は「見にきただけ」という感じでしたが、乗ってみると楽しかったようで顔がほころんでいます。
Model Sの方が普段の車の運転と近いようで「乗るならこっちだな」と真剣に吟味しておられました。
市議会議員にも乗っていただきました。「とてもいい、楽だね」とかなり長くModel Sを乗り回してくださり、地域の移動手段確保に真剣に向き合っておられる姿が印象的でした。(Tシャツはややクセつよですが、気さくで素敵な方です)
このほかにも
「自転車がそろそろつらい」
「私もそろそろ歳だし、いつまでも車を運転するかわからないから、遅くなる前に試しておきたくて」
「この辺は西武バスもコミュニティバスも本数が少なくて、大変なの」
と日常の移動に関するお悩みや不安の声をお寄せいただき、「だから今日コレ(ウィルのこと)を乗りにきた」とチラシを片手にやってきてくださる方が絶えませんでした!Tさんの事前準備のおかげです・・・。
気づくと、自然と人が集まり、開始1時間でワラワラとコミュニティが形成されています。これが拠点/ハブになるということか。
こんな素敵なご近所付き合いがある所沢ネオポリス。
居心地が良いから、住んでいる人が長くなり皆さんの仲が良いこともわかります。こうした交流も、社会を活性させ続ける重要な要素ですが、高齢化が進んでいくと外にも出づらくなり、引きこもってしまう方も少なくありません。
Tさん曰く
こういう記事も参考になります👇
内閣府も調査結果をまとめています。
ウィルユーザーさんの中にもウィルの利用がきっかけで、外出意欲が高まり、外に出る機会も増え、結果として身体にも好影響があったとする報告もあります!
コミュニティの中に移動を気軽にできる仕組みを根付かせることの重要性
外部からMaaSや移動手段を提供することはできると思います。
しかし、結局長続きしなかったり、実証実験で終わってしまったりすることが多いのが実情。一過性なことが多い。
なぜならコミュニティにおいて、日々の生活の営みの中に、「移動の仕組み」を組み込ませないと、ヒトは「外の人たちがやってくれている」「なくてもこれまでやってきたし」という、どこか他人事な考えが先行してしまうからと筆者は考えます。
一方で、自分ごととして捉えたた時には、大きな力を発揮し、みんなで助け合ってそれを維持し続けようというスイッチが入ります。人って素敵。
持続可能的な移動サービスを整えるには、コミュニティの中で発起し、循環させることが大事です。
WHILL社としても、メンテナンスだったり保険だったり、長く安心して使い続けられるための体制を整えることで、できる限りの後押しはもちろんします!内外で共助するから、大きなエコシステムが構築されていくのではないでしょうか?
「徒歩で移動ができる」「徒歩ができる」は分けて考えるべきということ
Tさんは過去に横浜みなとみらいで設置していたウィルでも周辺を散策してくださっていました!
その時綴っていたTさんの考えは、WHILL社がずっと提唱している「移動とリハビリの分離」と同じだと思いましたので、ご紹介します。(一部抜粋)
新たな移動手段として近距離モビリティ(免許不要の電動車椅子規格)という選択肢があってもいいんじゃないかとおっしゃってくださっていました。※もちろん車や自転車に乗る選択もアリ
障害がある方だけではなく、もっと気軽にみんなが乗る便利な乗り物みたいな位置付けにウィルがあったらいいよね、と。
移動とリハビリの分離について👇
ウィルは免許不要で「歩行者」扱いの近距離モビリティ
ウィルは免許不要で歩行領域(歩道・屋内外)を走れる近距離モビリティです。電動車椅子規格で開発されており、最高時速は6kmで道路交通法上は「歩行者」の扱いとなります。
3モデルをラインアップとして展開しており、お客様の身体状況や移動ニーズ、住環境、ライフスタイルに応じて適したウィルを選んでいただいています。
購入だけでなく、普段は必要ないけれど行った先の広い施設内などで一時的にレンタルできるWHILL SPOTも全国拡大中です。
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