初めて家のコーヒーの濃度を測ってみた結果、これまでの全てがくつがえった
はじめに
皆さんは自分で淹れたコーヒーの濃度を測ったことがありますか?
そして、自分で淹れたコーヒーにどのくらい自信がありますか?
私は最近、家で飲むコーヒーの味に疑問を抱くことが多くなりました。
なんとか状況を打破できればと思い、このほどTDS計を買いました。
Defluid R2という子です。
TDS計とは、水に含まれている不純物の量(=TDS/Total Dissolved Solids※後述)を数値化できる測定器です。
広義では水質汚染の測定などに用いられるようなものですが、コーヒーのプロフェッショナルの世界では、コーヒーの濃度を表す指標として世界共通のものとなっています。コーヒーのためのTDS測定器なんかも存在するくらいです。
その中でもDefluid R2は比較的新しいモデルで、性能がそこそこいいと言われているやつです。なおかつデザインもシンプル目で使いやすい。
ちなみにDifluidは技術に強みを持つ中国深センのコーヒー機器メーカーです。
日本では多分FBCインターナショナルさんという所が代理店をされているのかな。
買ったのは大一電化社さんのサイトでしたが、物自体はFBCインターナショナルさんから届きました。
今回は、自分で淹れたコーヒーの濃度を測ってみて得られた気づきについて書いていきます。
Total Dissolved Solids(総溶解固形物)とExtraction Yield(抽出収率)について
これについてはいろんなサイトで紹介されているのでそちらを見ていただくのが早いかなと思います。
見た限り一番情報量の多いリンクを貼っておきますね。
簡単にまとめると、TDS(総溶解固形物)とは液体中の水以外の物質の割合、すなわち淹れたコーヒーの濃さ。
EY(抽出収率)は粉から何%成分を抽出できたかという数値です。
TDSの高低は味の強弱に、EYは未抽出ー過抽出の指標なので、味そのものの特徴にかかわる数値と理解すればよいのではないかなと思います。
目安とされる数値について
長らく使われてきたTDSとEYの目安は、ロックハート氏の著作”The Soluble Solids in Beverage Coffee as an Index to Cup Quality,”にて定義されました。
それは
TDS-1.15~1.35%
EYー18~22%
という数値です。
数値見る限りTDSはドリップ前提の基準のような気がしますね。
この"IDEAL OPTIMUM BALANCE"というやつです。
あくまで目安ですし、焙煎度やフレーバーの差異みたいな要素も一括りにして二次元に落とし込んだ50年以上前の記事ではありますので、精度に限界があることはご理解ください。鵜呑みにすべきではないです。
▼アメリカSCAによるアップデート記事
▼その記事に関する粕谷さんの解説
しかし、実際においしいコーヒーがこのレンジの中であることも多いようで、数値の目安としてはいったんターゲットにしていいものかとは思います。
いつものレシピと課題
私はいつもペーパーフィルターを使ったポアオーバーで抽出する際、James Hoffmannのこのレシピを基本にアレンジしています。
細かめに挽いて、50mlで蒸らして、45秒経ったら250mlくらいまで一投で注いで落とし切りという感じです。
知ってる中で一番簡単なレシピで、何も考えずに淹れられるので、2年くらいこれでずっと運用していました。
でも、最近結構「なんか違うな?」と思うことが多くなってきたんですよね。
ばっちり美味しくなることもあれば、フレーバーや味に明るさがなかったり、特徴がうまく出なかったり。
最近はロースターカフェで飲むことも多いので、そこで飲む味と自宅での体験にギャップを感じていたところでした。
あ、お気に入りのカフェこちらです。
実際に測定した結果
前置き長くなりましたね、すみません。
結論、どうやら自分の淹れ方を根本的に見直さないといけないということに気づかされました。衝撃ですよ。
R2を使って計測した数値をもとに、EYまで計算したのが下の画像です。
下の方は普通に美味しかったのですが、上の方は微妙でした。
目安の18~22%と比べると、総じて収率がかなり高いという結果になりました。
ちなみに最近使い始めたこのアプリでは、黒字の部分を入力するとEYを自動で計算してくれるようになっています。
なぜ私が家で淹れるコーヒーが、カフェで飲むものと違う味になってしまうことがあるのか、それは、そもそも使っているレシピが、基準よりも高い収率で推移するようなものだったから、ということになります。
いつも過抽出のギリギリラインを攻めて、頻繁に外していたということが起きていたんですね。
おわりに
自分でこの結果を見たとき、想像以上に高いEYの数値に驚くとともに、妙に納得している自分がいました。
これまで自分が覚えていた違和感の正体が数値として顕在化してくれたからです。
今日から私は、各種パラメーターを調節しながらひとまずEY20%前後で美味しくなるレシピを模索することになります。
この一連の思考を経て、TDSとEYを計測するメリットは、特定の濃度や過抽出、未抽出のコーヒーと自分の味覚の同定ができるようになることだと思いました。
コーヒーを淹れて飲みながら計測を続けることで、理想の味とのギャップがなぜ生じているのかを突き止めるまでが早くなると思います。
皆さんも一度は自分が淹れるコーヒーの濃度を測ってみるのはいかがでしょうか。
きっと大切な気づきを得られるはずです。