森になった駅。 北海道で出会った「廃線跡」が、たまらなかった件。
鉄道好き、とかではないんです。
でもこの駅は、神秘的でした。
北海道上士幌町へ仕事で行ったとき、地元の方が連れて行ってくれた場所。「廃線になった跡地があるから」と。
真夏の暑さをかき分けて、言われるがままについていく。やがて目に飛び込んできたのは、緑の間にまっすぐ伸びる路線。
人工物はこの線路と、たった一つだけ残る駅のホームのみ。それ以外は見渡す限りの自然が私を迎え入れる。
ふと目線を横に向けると、立て看板を発見。どうもここは、昭和53年(1978)12月まで使用されていた線路がそのまま残る駅構内跡。
かつては林業で栄え、約80軒の建物と350人ほどの人が暮らす賑やかな町だったが、林業の衰退とともに鉄道も廃止。駅舎は取り壊したが、ホームだけは残したのだという。
およそ43年前までは、ごく普通に人間が住んでいた場所。自然の力強さ、人間の無力さ、そしてどこか近未来のような。ここ時間だけがゆったりと流れているかのように。
誰も拒まず、ただ凛々しく穏やかに、佇んでいた。
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