【オリパラ応援企画第3回】パラスポーツとパートナー すーちゃん編
みなさんこんにちは。すーです。
全4回でお届けするパラアスリートとパートナーの第3回目です。
第1回、2回はインタビュー側でしたが、今回は私達夫婦の状況をお伝えしようと思います!
【すーちゃんのプロフィール】
夫と猫と都内で暮らしている30代。
夫と出会い、車椅子ラグビーを知る。スタッフではなく、選手の家族としてチームにお世話になっている。
車椅子ラグビーとの出会い
夫が車椅子ラグビーに出会ったのは、リハビリ病院時代。
体を動かすリハビリの一環で車椅子ラグビーにトライしました。
当時入院の同室だった方が本格的に車椅子ラグビーのチームに入っていて、その方の勧めもあり入団したそうです。
本当は車いすバスケをやってみたかったそうなのですが(理由:なんかかっこいいから)、本人の身体機能だと車いすバスケはできなかったそうです。
車いすラグビーは、車いすスポーツのなかで唯一タックルなどのコンタクトが認められています。
昔は「マーダーボール」と呼ばれるくらい激しさが際立つスポーツですが、実は障害が重い選手が多いです。
障害が重くてもチャレンジできる車いすスポーツなんだ、ということを知っていただけたら嬉しく思います。
夫は体を動かすことが好きで、幼い頃からずっと体操をしていました。
仕事で受傷してからもスポーツに興味を持ち続け、スポーツを楽しみ続けたのは、そんな夫の性格だからこそだと思います。
私たちが出会ったのはコロナ禍でした。
ちょうど東京オリパラが延期された頃で、夫は車椅子ラグビーの練習や大会も制限されていました。
大会が開催されても、無観客試合だったので私は自宅で生配信を見ることが多かったです。
私が実際に車椅子ラグビーの試合を見に行けたのは付き合ってから1年後。
映像で見るのとは別格の大迫力!!!!!!!!!!
とにかくラグ車(ラグビーの競技用車椅子)のぶつかり合う音や、ものすごいスピードで疾走していく選手。
匠な技術が光るディフェンスの攻防戦。
そして何より、ラグ車のパンク音と、ラグ車ごとひっくり返る選手の音には未だにドキドキして慣れません。
夫がひっくり返るときはいつも心配になります。
ただ、本当に応援チーム関係なく、選手の皆さんとメカニックをはじめとするスタッフの皆さんがかっこいい。
スポーツ観戦とは縁遠い私でしたが、その魅力に一気に引き込まれることになりました。
ぜひ皆さんも、一度会場に足を運んでみてくださいね!
スポーツ雇用になって
夫と付き合って半年頃、それまで障害者雇用で事務職をしていた夫が
「俺って事務職向いてないよね?」
と唐突に聞いてきたことがあり、思わず
「えっ・・・そうだね〜(身も蓋もない私の返答)」。
その数週間後、パラスポーツ雇用として採用してくれる会社に転職すると言われたときには、その行動力にびっくりして空いた口が塞がりませんでした。
夫はこれで自由の身だぞとばかりにすっきりした面持ちで、これからは日々の練習や大会が仕事になるんだなと感慨深かったです。
夫が事務職をしていた頃は、仕事の後に夜間練習をしていたり、土日が基本的に練習・大会と忙しかったようで、度々行われる平日の合宿も仕事を休んで参加していたそうです。
話を聞くだけでも大変だな・・・と思うのですが、実は多くのパラスポーツを行っている選手はこのような状況下にいます。
実際に転職してから、事務職をしていた頃よりあらゆる時間に余裕が出て、平日は個人の合同練習やトレーニングを日中にして、夜は私と一緒に過ごせることが増えました。
休日にチーム練習や大会があるときは、平日に休暇を組み込んで、体を休ませ回復することで、パフォーマンスがあがったと思います。
なにより、練習時間がたっぷりあるおかげで素人目に見ても上達していると感じます。
パラスポーツ雇用という採用を、もっと多くの企業が取り入れてくれたらいいなと思う限りです。
パラアスリートの妻って…
私にとって一番大事なのは「夫が好きなことで楽しく仕事をし生活する」こと。
出会った頃はスポーツ雇用ではなかったし、車椅子ラグビーをしているからお付き合いしたわけでもなかったので、パラアスリートであり続けることは夫の意思に任せたいと思っています。
ただ、そんな中で私自身のあり方に迷いが生じました。
結婚時に「パラアスリートの妻」として、自分の意思とは関係なくその肩書(立場)が確立されてしまったことです。
私が会社に勤めていたときに「栄養満点のご飯を作ったり、旦那さんの競技サポートも大変でしょう」と言われたことがあり、やっぱり世間的にはそう想像するよね、と心がざわついたことがありました。
実際には、我が家はヘルパーさんに料理を作ってもらうこともしばしば。
私が作るときは、仕事が終わってすぐ作りながら食べられる焼き肉や、しゃぶしゃぶ・鍋料理が多かったです。
私は夫の競技とは切り離した生活がしたかったので、スタッフをすることもなく。幸い、所属チームはスタッフの方が多く、安心して任せられる環境であったのも由来します。
競技のサポートはというと、持ち物を用意するのを手伝ったり、水筒やユニフォームを洗ったり、マッサージをしたり。
だから自分の中で少しコンプレックスというか、パートナーとしてこんな状況でいいのだろうか…と悩んでいた頃がありました。
そんな中、お世話になっているチームトレーナーの女性に相談したところ、こんなお言葉をいただきました。
「選手はご家族のうえに成り立っている。スタッフとは数時間しか一緒にいないし、生活をともにしているわけじゃないからね。
私は好きでスタッフをしているけれど、彼らの状態を知っているからこそ、生活をともにしようとはなかなか思えないし、本当にパートナーの方々には感謝をしていて尊敬しているんだ。
チームスタッフとしては家庭円満であることが何よりもその選手のパワーになると思っているし、私たちも存分に練習中、叱咤激励が出来る。
すーちゃんは旦那さんのことを唯一無二のパートナーとして一緒に生活をしていたら、それはもう、それだけですごいことなんだよ。」
心につかえていた物が溶ける気持ちでした。
世間体を気にせずに自分にできることを細々とやって、気持ちよく楽しく夫と暮らせたらそれでいいんだ。きっと。
悩みが晴れた瞬間でした。
今では、自分にできる簡単なこと・自分がしたいことを中心に夫の競技に関わっています。
行きたいときに練習や大会にお邪魔したり、遠征のお手伝いをしたり。
マッサージは褥瘡や傷のチェックにもなるのと、わかりやすく夫のHPが回復するのでよくしています。
一答一問コーナー
みなさんが気になっていることにお答えします!
Q.競技車はどこにおいていますか
A.車のトランクに積んでいます。ラグ車は横幅も広く周りに鉄がついているのでADL車より重く、家の玄関扉ギリギリのサイズです。
トランクを使いたいときは家に置くのですが、搬入が大変だし松ヤニがベトベトだし常に泣きそうです(夫にはできないので、搬入は私が担当)。
あと、競技中タイヤがパンクするのでスペアの場所も必要です。
Q.ごはんはアスリート向けですか
A.栄養バランスとタンパク質多めなのは気にしています。夫は、羨ましいことに代謝がよくてすぐに体重が落ちてしまうので、たくさん食べられる好物やご飯に合うおかずをメインに作るようにしています。
ちなみに私はとても太りました。
Q.引退についてどう話しているか
A.我が家は今後、その課題がでてきそうです。個人的には、夫の好きなようにしてもらえればと思います。
ただ、怪我や体調面でのリスクが高いので、本人が継続を希望しても健康を第一に、無理はしてほしくないなと思ってもいます。
おわりに
私自身は運動が苦手なので、パラスポーツを嗜む全ての方々を心から尊敬しています。
パリパラリンピックが開催されますが、車いす競技に限らず様々なパラスポーツをみるのが楽しみです。
個人的には、ブラインドサッカーが気になっています。
休日など、パラスポーツの大会や体験会が開催される機会も増えると思いますので、お近くでみかけたら是非観戦&参加してみてくださいね。
まずはパラスポーツを楽しむことから、皆さんに広まれば嬉しい限りです!
アンケートのお願い
パラスポーツを行っているパートナーさんがいらっしゃる方、ぜひこちらのアンケートに回答をお願い致します。
アンケート結果をまとめて、第4回目で記事にさせていただきます。