脊髄損傷男性のパートナーが語る性のはなし
こんにちは、車椅子ユーザーが臆せずパパやママになれる社会を目指して活動する、ウィルチェアファミリーです。
今日はメンバーの共通のキーワードでもある【脊髄損傷】のなかなかオープンに語られることのない性についてパートナー目線から赤裸々に話し合ってみました。
※記事の中に性的な表現がありますので苦手な方はお控えください。
脊髄損傷男性の性機能
脊髄損傷とは背骨の中と通る太い脊髄神経を何らかの原因で傷つけられてしまった状態を言います。神経に傷がつくと損傷を受けた部位から下に麻痺がおこり、自分の思うように動かない・感じない状態になります。首の神経を傷つければ首から下に、腰の神経なら腰から下に麻痺が残ります。つまりは脊髄損傷の多くが性機能にも障害を呈すると言えます。
年間5000人以上が新たに脊髄損傷を負い、受傷者のほとんどが男性だと言われています。
具体的には感覚麻痺・勃起障害・射精障害、そして二次的に起こる造精機能障害などがあり、脊髄損傷男性の約60%が勃起可能(持続力は問わない)、射精可能確率は約15%ほどです。性的興奮に伴わない反射性勃起に苦しむ人も多いようです。
メンバープロフィール
さんちゃん:平成の終わりに可愛い奥さんをGETした頚椎損傷男子。
えりちゃん:妊娠と同時に夫が頚椎損傷で車椅子生活に。夫は自立訓練施設でリハビリ中のため現在別居中。
みっちゃん:子どもの頃に結核性脊髄炎にかかり下半身まひ。3児を育てる車椅子ママ。
のりちゃん:出会った時から車椅子生活の夫と結婚し、1児を育てる母。
普通のSEXって?
のりちゃん:noteに投稿した性の話が伸びてるんだけど、育児以前に脊髄損傷者の多くは性の悩みが解決していないってこと?
えりちゃん:育児は性・恋愛・結婚・生殖が解決してからの話やからな。そもそも車椅子ユーザーで育児に該当する人数が多くはないよ。
のりちゃん:性ってオープンじゃないから不安になりやすいんかな?
えりちゃん:こそこそひそひそやでな。私個人的には当事者よりパートナーの性が気になるわ。それこそベールに包まれた性のはなしやと思う。やりたくてもできんじゃなくて、やれるけどできない…っていうの?パートナーの性は。
みっちゃん:より正解がない感じするね。
さんちゃん:奥さんのはなしやから自分はオープンにはできないなぁ(汗)
のりちゃん:やれるけどできないは複雑やな。でも、性行為の満足をどこに持ってくるかじゃない?
私は挿入行為に全く興味がなくて、寧ろ怖いし嫌いっていうネガティブなイメージやからなくても十分なんやけど、挿入有りきやと苦しいんかもな。
えりちゃん:それはあるな!
のりちゃん:パートナーが初めから脊髄損傷やったか、途中から受傷したかで大きく違いそうやな。
えりちゃん:結婚後に受傷した人の奥さんが前に嘆いてはるの、Twitterで見かけたわ。「もう一生SEXないのかな?私はどうなるのかな?」って。
のりちゃん:それ私も見かけたわ。でもさ?一般的には、挿入行為がないとSEXじゃないってことなの?
えりちゃん:挿入までが一般的やと思うよ。
のりちゃん:挿入が重要だと思ったことがないから驚いている!!!
えりちゃん:満足ならよしっ!
のりちゃん:じゃさ、一般的な女子は脊髄損傷男子とは難しいってこと???
脊髄損傷とSEX
えりちゃん:手探りやろけど方法はあるんちゃうかな?
のりちゃん:しかし挿入が重要ってことに、まだめっちゃびっくりしてる。
えりちゃん:いや、のりちゃんの感覚が普通なんかもしれんで?
のりちゃん:普通とか自体、ないのかもしれん…。多数派少数派はあるやろけど、みんなひとりひとり違うんかも。
えりちゃん:少なくとも愛し合う行為は大切で、その方法がもしかしたらパートナーの望むものじゃないかもしれないってことは言えるね。
のりちゃん:前半は同意!後半は私の考えとは少し異なるかも。感覚?感受性?も実は人それぞれなのかなって思ったよ。
痛がりもいれば痛みに強い人もいるように感覚も人それぞれが普通で、ハグで満足する人もいれば、異常性癖に走らないと満足しない人もいて、必ず行為の趣向が全員一致するわけじゃないってことかな。
それは障害のあるなしには関係ないけど、障害があると選択肢が狭まるってことなのかなーって。
えりちゃん:そう、『選択肢が狭まる』まさにその言葉!
のりちゃん:結婚前からの障害ならそれも選べるけど、結婚後の受傷となると選びようもなくある日突然変更を余儀なくされるから尚、選択は狭まるんやね。
えりちゃん:SEXをどうやってやろうか?って想像してみただけで大変や。どう挿入するん?どういう体位でするん?騎乗位のみなん?頚椎損傷やと指も利かんから、セッティングすべて私?みたいなな。
そこまでやってたら雰囲気どころの話じゃないやん…。
SEXは何のため?
のりちゃん:そやね。受傷前の形を基本にしようとしたらそうなるわな。
SEXってそもそも何?何のためにするの?ってことちゃうの?生殖活動なら挿入行為は必要やし大切やと思うん。
でもな脊髄損傷の男性の場合は生殖と性行為は別物や。イコールじゃないなら切り離して考えるもんやと思うねん。
じゃないとSEXでいじけてしまうと生殖を本気で考えることに二の足踏んでしまうことにもなりかねんやろ?
でや、生殖に繋がらない部分での性行為の意味って2人で一体感味わえて、「私、彼に大切にされてるわ」「俺のこと大事やねんな」って分かり合うことの気がしてる。
さんちゃん:男としては小さなくだらないプライドがあるから、女性を満足させたい願望はあるやん。でも、、みんなそれぞれだからカップルで向き合う必要があると感じたよ。
2人だけの形を探そう
のりちゃん:男心は難しい。学生の頃に授業で障害者のSEXのビデオ見たん。完全無修正のやつね。
みっちゃん:え!!
えりちゃん:すごっ。なんの授業なん?大学?
のりちゃん:そう大学。それが何の授業か思い出せんのや…。
そのビデオでは色んな障害の組み合わせのカップルが愛し合ってたんやけど、頚椎損傷の男性と障害のないパートナーのSEXもあったの。首から下完全麻痺で電動車椅子のレベルの人。彼女の股の間に寝て、口だけで逝かせるテクニシャンやったんやけどさ。
えりちゃん:テクニシャン…。でも、なんかいい学びやね。
のりちゃん:それを見て思ったんはさ、SEXってエロ本やAVでやってることが基本やとみんな思いがちやけど、本来はお互いが満足できる形が見つかれば何だっていいんやなってことよ。
えりちゃん:その形を探すのがまた大変なんよ。
のりちゃん:試行錯誤も必要やし、お互いが既存の形を捨てる勇気を持つことからの気がするわ。理想論やけど。あとな、私調べやけど脊髄損傷男性と障害のないパートナーのカップルは結構な割合でおもちゃを使ってはるようやで。
えりちゃん:既存の形を捨てる勇気…ホンマそれな。全部そこやわ。
のりちゃん:しかもお互いがやからハードル高いよな。挿入が大事ならバイアグラとかの薬も試す価値はあるし、そうじゃないならオーラルもひとつ。別のとこに刺激求めて変わったプレイに走る人もいる。でも別にそれは人に迷惑かけないなら、他人が咎めることでも口出すことでもないんちゃうかな。どう愛し合うかはカップルの自由や。
えりちゃん:受傷した当事者が既存の形を捨てれんのやから、パートナーはもっと複雑。
のりちゃん:結婚してからの受傷は余計難しそうやな。色んな夫婦の話を聞いてみたいね。
まとめ
さんちゃん:SEXに何を求めるかは大切なポイントだよね。感じたいと思うのも人間だし、別にいいやって思う人もいるからパートナーごとに話し合って解決していく必要があるよね。
のりちゃん:そうやね。なかなか性がクリアできなくて生殖が手遅れになってしまったら、ほんともったいないからね。愛の形はそれぞれやわ~。
※ここに記載した内容はあくまでもメンバー個人個人の見解です。
※今後、こういった性や性の悩みの話を有料にて投稿していけたらと考えています。皆様のご経験や悩み等も常時募集しています。
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