見出し画像

【新メンバー】当たり前だった日常が一変してしまったら…あなたならどうしますか?新メンバーにーべにインタビューしてみた



新メンバー紹介!


 今回はウィルチェアファミリーの新メンバーで、頸椎損傷により車いすユーザーとなったにーべさん(44歳)に受傷してから現在に至るまで、ウィルチェアファミリーとしてやってみたい活動についてお話を伺いました。
 頸椎損傷(C7/T1完全麻痺)で再生医療(ステラミック)の治験者にもなっています。
 妻と息子(5歳)の3人家族で杉並区に住んでいます。現在リハビリ中のため家族のとの面会やテレビ電話を楽しみに毎日過ごしています。

   - 再生医療(ステラミック)は初めて聞きました。詳しく教えて下さい!

 患者の骨髄液から採取した間葉系幹細胞を一万倍に増殖して患者の体に戻すことで損傷した脊椎を再生する治療薬です。私の場合は受傷から2ヶ月ほどで培養した血清を点滴投与しました。細胞を一万倍に増殖するということは悪い部分があるとそれも増殖してしまうため事前にたくさんの検査をしました。およそ半分の人は問題があって受けられないこともあるそうですが、私は幸い問題なく治療を受けることができました。
 治療を受けた実感としてはリハビリの効果もあると思いますが、両手の握力や機能、薬指と小指の麻痺が改善したと思います。下肢の機能は治療前から完全麻痺で改善は見られませんでした。

日常が変わってしまったその瞬間


‐受傷した時のことを聞かせてもらえますか?

2023年5月のことでした。
 トライアスロンを昔やっていて普段からロードバイクに乗っていたのですが、その日は買い物袋をハンドルにひっかけていたら前輪に引っかかり、頭から転倒したのです。
 転んだ時点で足も全然動かないし、「これはやばいな」と思いました。
 首か背中かやってしまったんだろうなと分かり、死ぬかもしれないという思いが一瞬よぎりました。救急搬送され家族にも連絡がつき、すぐに近くの病院で手術を行いました。

 

‐その時のご家族の様子や事故を受けてのお気持ちなどを聞かせてください。

 妻は連絡を受けたとき自転車での転倒と聞いたので、重症とは思っていなかったそうです。過去にもランニング中に転倒し血だらけになったことがあったので…。
 ここからは妻にその時の気持ちを聞いた内容です。

 病院に駆けつけて警察の人から首を怪我したと聞いて、改めて事の重大さを理解し血の気が引きました。転倒したときに持っていた買い物バックを受け取るとお肉やお酒などスーパーで買った品物がたくさんあって、結婚記念日の翌日で母の日だったこともあり、夕飯にごちそうを作ってくれようとしていたことがわかりました。
 しばらくん忌避感があってこれからどうなるのか、考えるのが怖かったです。悪い夢を見ているようなふわふわした気持ちでした。
 息子も病院に来ていたのですが、時間がかかるため友人に迎えに来てもらい、そのまま友人宅に泊めてもらいましたが一人ぼっちだったこともあり寂しくて泣いてしまったみたいです。

にーべさんの奥様のお話

 術後は痛みもあり辛い思いもありましたが、ここから運動機能は良くならないとしても身体が慣れていくのかなぁと、少しずつ生きていくためにどうしようかを考えるようになってきました。
 現在はリハビリ施設に入所し、日常生活を取り戻すための訓練をしながら受傷前からやっていたシステム開発の仕事を取引先からもらい、リハビリの合間に取り組んでいます。

‐前向きになれたきっかけがあれば教えてください

 一番は妻と息子、家族の存在ですね。受傷した日はかなり落ち込んだというか、怪我をしたことに対して後悔のような気持ちがありました。でも、搬送されたときあとから駆けつけた妻と息子の声がドア越しに聞こえて「負けていられない、前進あるのみ!」と強く思いました。
 受傷当日には気持ちを切り替えていたと思います。
 父の存在も大きかったですね。私は母を10歳のときに亡くしていて父子家庭でしたが、父が落ち込んだ様子を殆ど見たことなく明るく楽しい生活を送っていたので、自分が障害を負ったとしても明るく前向きに生きる姿を今度は息子に見せてあげたいと思っています。

 とはいえ、しばらく経ってから時々落ち込んだこともありました。そんなときは脊髄損傷者のYoutubeチャンネルをずっと見ていました。参考になる情報がたくさんあり、前向きになることができました。

‐事故から1年になろうとしていますが、ご家族の気持ちの変化はありましたか?

 面会を繰り返してきたので、妻も私の車椅子姿を見慣れて状況はわかってきましたが、まだ実生活が始まっていないからスタートラインに立てていない感じで
どのような障害なのか知識として頭では理解しているけれど本質的にはまだ理解できていない気がすると言っていました。
 息子は外出先でスロープを探して車椅子で行けるかな?と言っていたり、車椅子に興味津々でブレーキやタイヤ、アームレストのことなど一つ一つ質問してきますし、自分も乗りたいみたいです。退院したらパパがこっそりおやつを食べないように高いところに上げておこうと言っていました。

再起、これからの人生でできることはなにか


‐ウィルチェアファミリーを知ったきっかけについて教えてください


 受傷後に頸椎損傷について調べていうちにYoutubeの『サンタチャンネルSANTACHANNEL』に出会いました。ウィルチェアファミリーを知ったのものそのときです。
 自身の情報収集ができればという思いと、車いすユーザーの抱える疑問や課題を自身の経験や知識をを活かすことができればと思い参加しました。

今の自分にできること


-ウィルチェアファミリーのメンバーとしてやって行きたい活動はありますか?


 ITの仕事をしているので、障がい者の課題をITで解決したいです。
 まだ実生活に戻っていないためいまいち課題や障壁は見えていませんが、これから具体的に考えていきたいと思います。

車いすユーザーとして生きていくこと


-今後の生活について思っている事、車いすユーザーとなってやってみたい事があれば教えてください

 実生活が見ていない分「家族に負担をかけちゃいそうだなぁ…」「基本的には自分で生活できるようにしたいと思うけれど難しいこともあるんだろうなぁ」と不安なことが多く出てきてしまいますね。
 現在は入院中のためこれから日常生活に復帰してからが、様々なバリアに直面して落ち込むこともあるのだろうなと思っています。
 「旅行には行けるのかな」とか「退院後の家はどうしたらいいのかな?」などですね。でも、一つ一つ乗り越えて楽しいこともたくさん見つけていけたらと思っています。
 メンバーの一員としてこれからどうぞよろしくお願いいたします!

インタビューを終えて

 
今回は新メンバーのにーべさんに詳しくお話を伺いました。
当たり前だった日常が失われてしまった喪失感や今後の生活への不安など多岐にわたる内容でしたね。先天性障害の私にとっては昨日までの生活が一変してしまうということがとても衝撃的でした。皆さんも自分が明日、車いす生活になったとしたらどうしますか?
 
「もし自分がそうなってしまったら…」それは決して“ありえないこと”ではなく“どこかで起きている日常”ということを知ってもらえると嬉しいです。
 そしてそうなってしまった時の備えや取り組みは無駄にはならないし、誰かのためになっていくのだと思います。何よりも前向きなにーべさんとご家族にとても勇気づけられました!
 
 IT化が進んでいく今の時代の即戦力となるメンバーが加入してくれたことによりウィルチェアファミリーのDX化も一歩前進かも?


ウィルチェアファミリーはみなさまのサポートで活動しています。
サポートをよろしくお願いいたします。


この記事を書いた人:けー


私たちは有志で活動しています。よろしければサポートお願いします。活動費として大切に使わせていただきます。