【オリパラ応援企画第2回】2人で目指したパラリンピック、妻が導くパラアスリートへの道
はじめに
こんにちは。すーです。
前回ののりちゃんに引き続き、今回もパラスポーツを行っている車いすユーザーのパートナーの方にインタビューを行いました!
今回インタビューにご協力してくださったのは、miwaさんです。
旦那さんがパラフェンシングで東京パラリンピックに出場されたということで、お二人の歩みを色々とお伺いしました。
二人の強い絆がみえる素敵なインタビューになりましたので、是非ご覧ください。
旦那さんは元々スポーツマン!miwaさんが導くアスリートへの道
【miwaさんのプロフィール】
三重県在住で、旦那さんがパラフェンシングで日本代表として東京パラに出場。
現在は体調の都合で競技はお休み中ですが、旦那さんと二人三脚でスポーツのある生活を送っている。
ー現在の家族構成を教えてください。
三重県で夫婦2人とワンちゃん1匹とで暮らしています。結婚して22年ほど経ちます。
ー旦那さんの現在の体の状態を教えてください。
結婚をしてから3年後に事故に遭い、脊髄損傷でおへそあたりから下が完全麻痺です。
体幹はそれなりにありますが、倒れた時には手を使わないと起き上がれません。
ー旦那さんは元々体を動かすのが好きな方ですか?
そうですね、夫は元々社会人バレーボールの実業団の選手でした。
何か体を動かしていないと生きていないなという感じがあって、受傷後は私からどんどんパラスポーツを勧めていました。
ーパラスポーツに対してmiwaさんが積極的にリードしていたのですね。
私、スポーツマンが好きで!夫と出会ったときは、元バレーボール選手だったけれどその時は競技はしていなくて。実は実業団も、私が三重にないかなと探して入ってもらったんです。なんとか夫をアスリートに、自分の好みに寄せようとしていました(笑)
なので、受傷前も後も私のスタンスはあまり変わっていません。
ーmiwaさんの思いと旦那さんの行動力がすごくマッチしていますね。
夫は元々Vリーグ(バレーボール)の選手になりたかったのですが、身長が足りなくて。Vリーガーになるのはあまり現実的ではなかったんです。でも、車いすになってすぐに「ひょっとしたら、パラリンピックに出られるんじゃないか?」と思って、夫とも「いつかパラリンピックに出られるように頑張りたいね」って事故直後からずっと思い描いていました。
東京パラに出たい!色んなのパラスポーツに挑戦し居場所を見つける
ーパラスポーツでは、何に挑戦されましたか?
元々は車いすバスケを少しかじっていて、その後車いすテニスを本格的にしていました。
ただ、車いすテニスはクラス分けがなく、プレイヤーのなかでは夫の障害は重度な状態だったので、世界で戦うとなかなか上にいけない状況でした。
そんななか、ちょうど東京パラの開催が決まったことで、せっかくの機会だから何としてでもパラ競技で出場したいと競技転向を考えました。
パラアーチェリーやパラ水泳などもトライしているなか、試しに行ったパラフェンシングに夫がはまり、パラフェンシングで東京パラに出場することができました。
ー旦那さんがパラフェンシングに出会ったきっかけは?
パラフェンシングに出会ったのは、実は私の長年の友人がきっかけなんです。
私が高校時代にドイツのスポーツ少年団が来日した際、父の仕事の関係でドイツのフェンシングの選手が我が家にホームステイしまして。帰国後も彼と連絡を取り合っていて、夫と結婚した時も報告をしたり実際に一緒に会ったりする仲でした。
夫が事故に遭って車いす生活になったことを伝えた時に、「実は僕、車いすフェンシングの仕事をしているんだ」とその時初めて言われ、なんと国際車いすフェンシング連盟の事務局長を務めていることを知りました。
当時は夫的に球技以外の道具を使うスポーツはやりたくなかったようで、その時はチャレンジしませんでしたが、東京オリパラが決まったときにちょうど京都で体験会があり、行ってみたらはまったという感じです。
ー東京パラの開催決定が大きなターニングポイントだったんですね
そうですね、東京での開催がなかったら競技転向も検討していませんし、パラリンピックにも出場できていなかったと思います。
ー以前行っていたパラスポーツはどのような感じでしたか?
怪我をして一番初めに行ったのは、ネームバリューがある車いすバスケでした。
私が『リアル(※井上雄彦の漫画)』を読んでいて三重県にチームがあったこともあり、見学に連れて行ってやってみました。点数は2点の選手でした。
ただ本人的に、元々していたバレーボールとは違って車いすバスケはぶつかってボールを取り合う激しさがあったのが苦手だったようで(笑)
車いすテニスも三重県にあり、試しに誘って行ってみたら楽しかったようで、本格的にするようになりました。
車いすテニスはバレーボールのようにネットを挟んでラリーしたり、一本とることで点を稼ぐなどルール的にも似ていたのがはまり、長くやっていました。
ーバレーボールとフェンシング、かなり競技内容が違いますが…
フェンシングは競技もルールも全然違ったのが、逆に良かったのだと思います。
あとは小さい頃にチャンバラごっこをしたのを思い出して、大人になって本気でチャンバラごっこをする面白さがあると言っていました。
海外遠征でのアクシデント、ご縁が繋がる瞬間への立ち合い
ーmiwaさんは競技以外のことを全面的にサポートされているとのことですが、詳しく教えてください。
夫をサポートするための資格をとったり、パラフェンシングは基本的に個人手配なので、マネージャー業のようなことを行っています。練習や大会が海外や国内でも遠方で行われることが多いので、主に宿泊施設や交通手配をしています。
ーマネージャー業で大変なことはなんですか?
飛行機を手配するのに車いすで、さらに荷物も多いため格安航空が使えなかったり、トランジットがある場合はかなり余裕を持った時間帯のフライトを探さないといけないのが大変です。
また、座席やトイレについても航空会社と事前にやり取りを重ねています。
ー遠征に同行することはありますか?
車いすフェンシングを始めたころに、協会スタッフの手が足りないということでUAEに同行しました。
あとはアジアパラ競技大会のように数年に一度の大きな大会は行きましたが、もちろん全て自費なので基本的には同行していませんでした。
ー海外遠征が多いと旦那さんもフライトが大変ですよね
ブラジルで試合があったときは飛行機だけで丸2日乗っていました。普段帰りは夫が空港から車を運転して一人で帰ってくるのですが、その時は私が帰りの運転をしようと思って、サプライズで空港まで電車で行って出待ちしました。夫がすごくびっくりしていたのが印象的でしたね。
ーアクシデントなどもありましたか?
そうですね、競技車のロストバゲージが3回連続で起こったときがありまして!
復路だったので、競技には支障がなかったのですがひやひやしました。
あとはアメリカでトランジットがあるときに、私がうっかりしてビザの申請を忘れてしまっていたことがありまして…日本ですごく青ざめました。
これも復路だったのですが、ビザ取得に1日かかるところ空港の方が協力してくださって、なんとか予定の飛行機に間に合いました。空港職員の皆さんが荷物を抱えて猛ダッシュしていたと聞き、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。
ーパラフェンシングで印象的な出来事はありますか?
ジャカルタで開催されたアジアパラ競技大会に、私の両親と一緒に応援にいったところ、見事個人で銀メダル・団体で銅メダルを獲得できました。
その時、私のドイツの友人が夫にメダルをかけてくれたんです。本来、彼はメダルをかける役割ではなかったのですが、僕にかけさせてとお願いしてくれて。
異国の地でご縁があった人々が揃った状態でその光景をみたとき、本当に心の底から感動しました。
やりたいことを、やりたいときに、やりたいだけやればいい
ーmiwaさんご自身はどんな資格を取得しましたか?
アスリートフードマイスターの資格や睡眠健康指導士の資格をとりました。
車いすテニスを本格的に行い始めた時にアスリートフードマイスターの3級をとりまして、その後コロナ禍で東京パラが延期になったときに一念発起して勉強し、一発合格で2級をとることができました。
睡眠の資格はアスリートだからというのもありますが、夫が障害の後遺症で眠れないことが多かったので睡眠環境を整えたいと思って挑戦しました。
ー食事管理は資格取得後と変わりましたか?
2級を取得してからは、だいぶ意識が変わりました。一番の変化は、これまでも自己流で栄養学を取り入れていたのですが、資格取得後のほうが夫が私のアドバイスを受け入れるようになったことです(笑)
夫は元々苦手な食べ物も多く、言われないと野菜を食べないようなタイプでした。
遠征中に夫が一人でコンビニで食事を買う時も、体調に合わせて私に食べたほうがいいものを私に聞いてくるようになり、夫の意識がかなり変わりましたね。実際に、海外遠征中も体調を崩すことが減りました。
全てのパラアスリートの妻がやらなくてはいけないわけではなく、こうゆうことは得意な人がやればいいんです!私たちの場合は、たまたま私が料理が好きで食事管理とかの知識も興味があったからチャレンジしただけで。やりたいときに、やりたいだけやればいいんですよ。
無理をしても続かないし、私も夫もそれぞれやりたいことをやっているだけなんです。
パラアスリートと暮らす
ーパラアスリートの妻あるあるは?
同じチームのアス妻同士はあまり深い話ができないというのはよく聞きます。
ポジション争いやチーム移動後にも影響してくるので、相談し合えないようですね。
なので他競技の妻同士のほうが遠慮なくなんでも聞き合える環境だよねとよく他の競技の方と話をしています。
ー車いすフェンシングならではの体調管理って何かありますか?
車いすフェンシングは競技車を固定して戦うので、固定された車いすと動いている身体が擦れてしまい褥瘡がたくさんできました。あて布やアンダーウェアで摩擦を防ぐように工夫しています。
ー他に大変なことはありますか
これもパラスポーツあるあるですが、やはり競技車を積むと車が狭くなることですね。夫の場合は8人乗りのアルファードでも助手席に私が乗れるか乗れないかくらいになります。
競技車とALD車(日常で使用する車いす)、固定する金属板と防具、身長くらいあるフェンシングの「ナマズ」と呼ばれる、フェンシングで使用する道具一式を入れる大きな専用バッグも乗せるのでとにかくスペースをとられます。
海外遠征の時はさらに荷物が増えるので、助手席も完全に埋まってしまいますね。
車は夫用と私の車の2台あります。私の車にも、車検の時に代車がないため、手動装置をつけてあります。
<インタビュー完>
miwaさんのInstagramはこちら↓↓↓
https://www.instagram.com/afm_miwa
おわりに
ご夫婦でお互いに好きなことを好きなようにチャレンジする精神がマッチし、その相乗効果で強い絆が結ばれているのを強く感じました。
そんなお二人だからこそ、ご縁を大切にしてチャンスをつかみとれたのではないかと思います。
miwaさんは無理なく楽しく自然体で旦那さんの競技に挑まれ、パワーを発揮されていて素敵なタッグですね。
「サポートする」だけではなく「リード」していることで、より一層二人三脚で歩んできた道のりが盤石なものになっているのではないでしょうか。
快くインタビューを引き受けてくださったmiwaさん、ありがとうございました!
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アンケート結果をまとめて、第4回目で記事にさせていただきます。
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