外国人観光案内所でのアルバイトから日本政府観光局へ入局。アフターコロナのインバウンド観光を見据え、日々奮闘中!
平井 資朗さん
2021年法学部法学政治学科 卒業。
在学中、台湾・静宜大学、中国・北京外国語大学への交換派遣留学を経験。
国際部学生スタッフとして留学生の生活サポートや、外国人観光案内所でのアルバイトをきっかけに、インバウンド観光に関心を持つ。卒業後は、日本政府観光局でインバウンド・ツーリズムのプロモーション業務に携わっている。「観光を手段とした国際的相互理解の促進」を目標に日々勉強中。
ステレオタイプのイメージではなく、自分でアジアを見てみたい
大学入学前から国際交流に関心があり、大学1年次のころから国際部所属の学生スタッフ(現DIASS)として、関大で学んでいる海外留学生の生活サポートや、国際交流イベントの運営・補助等の活動をしていました。関大では様々な国・地域からの留学生が学んでいますが、アジアからの留学生は特に多いです。
アジア諸国からの留学生と日々を共にする中で、今までどれだけ自分がステレオタイプな人間であったのか気づくことができました。そして、メディアやSNSから得るイメージではなく、アジア圏の文化や生活を自分の目で見て、そこに生きる人々との交流を体験してみたいと思うようになりました。
中国語学習歴無しで台湾へ留学
留学生の中では特に中国語を母語とする学生が多かったこともあり、中国語に挑戦してみようと、中国語学習歴がなくても出願できた台湾の静宜大学特別留学に参加しました。
台湾留学に赴いた当初は中国語を全く話せなかったのですが、静宜大学ではそんな私でも安心しながら前向きに学べるアットホームな環境がありました。中国語の先生はとても親身で、誰一人取り残さない気配りをしてくださったおかげで、約半年間の留学で中国語も日常会話ができるようになりました。キャンパスでは様々な国・地域からの留学生と学び、寮で衣食住を共にすることで、家族のような友人をつくることができました。たわいもない会話もしましたし、時にはセンシティブなトピックについて議論することもありました。
台湾と中国本土の関係、WEBや言論についての考え方、国に対する考え方・価値観などを多国籍の学生同士でディスカッションしたことは、五感に響く経験となりました。
2度目の留学を決意し、北京へ
台湾で中国本土からの留学生とたくさん交流したこともあり、中国本土で生活してみたいという思いが強くなりました。経済的にも日本との結びつきが強い中国の文化や人々のものの見方や考え方を少しでも理解することは、将来必ず役立つと考え、北京外国語大学へ交換派遣留学をしました。
語学力にはある程度自信はありましたが、同じ中華圏の国・地域でも大学の雰囲気や文化には違いがあり、時には思いもよらないトラブルに見舞われ、問題解決に多くの時間と労力を割く場面もありましたが、これもまた中国の文化や社会の制度を知る機会になったと思います。
留学先の大学では、「国際関係学」を専攻し、国家間の関係や課題について学びました。
みなさんは「中国」という国にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
実は2020年に実施された「第16回 日中共同世論調査」という調査で「日本人の約8割以上が中国に対して悪い印象を持っている」という結果が出ています。
正直、ステレオタイプの考えを持っていた頃の私も、中国には好意的でない印象を少なからず持っていました。
しかし、実際に中国に行き現地で1年間過ごしたことで、中国人の慣習・文化・価値観や中国の政治・社会構造の理解という大きな収穫を得ることができました。
また、みなさんも想像がつくかと思いますが、コロナ前の2019年、訪日外国人旅行者数の最多国は中国本土からの観光客でした。学生時代の北京留学で中国人のニーズや価値観、生活様式を理解できたことは、観光業界の仕事にも大きく役立っています。
帰国後は外国人観光案内所でアルバイト
留学から帰国後、英語・中国語を実践的に使いたいと思い、外国人観光客の案内をする「外国人観光案内所」でアルバイトを始めました。大阪駅と新大阪駅2か所の観光案内所を経験し、多くの観光客と交流したのも良い思い出です。
観光案内所には毎日たくさんの観光客の方が訪れますが、台湾や中国からは特に多く、私は台湾と北京で学んだ中国語のイントネーションを使い分けたり、コミュニケーションを工夫して、一人一人の観光者に寄り添うことを心がけていました。観光案内所は、観光客の道案内や、観光スポットの紹介をすることが主な仕事ですが、大阪北部地震や台風の影響による関西空港水没などの天災や、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、多くの観光客が助けを求めて訪ねてくることもありました。観光案内所は「観光案内」以外にも様々な存在意義があり、その役割は多くの人に知ってもらう必要があると気づくきっかけにもなりました。
「国家間関係に関われる仕事」を軸に就職活動、日本政府観光局に入局
北京での留学から帰国後は、5年生として本格的に就活をスタート。数ヵ月の活動の後、日本政府観光局から内定を得ました。
今年4月に入局し、現在は 地域連携部で地方公共団体や民間企業へインバウンド・ツーリズムのプロモーション支援業務に携わっています。まだまだ手探りで仕事を覚える日々ですが、共に日本のインバウンド振興にご参画いただく賛助団体・会員の方々を獲得することができた時は、やりがいを感じます。
2度の留学、在学中の留学生サポート活動、観光案内所でのアルバイト経験すべてが、今の仕事に繋がっています。
将来は、日本全国の観光案内所を中心とした日本の受入対策の充実にも携わりたいですね。アルバイト時代から外国人観光案内所のあり方や運営方法に自分なりのアイデアをもっていました。観光局に入局できた今、ずっと温めていたアイデアを一つでも多く実現させたいと考えています。
関大生へのメッセージ「一歩踏み出して」
コロナ禍ではデメリットが多く感じられるかもしれませんが、見方を変えると何かに挑戦するチャンスととらえることもできるのではないでしょうか。現在はコロナ禍で、インバウンド事業も大変苦しい状況ですが、その中でも、訪日インバウンドの再開を見据え、多くの方々が準備をしています。
コロナが収束したら、皆さんももっと自由に海外へ渡航でき、海外からの観光客や留学生も再び日本に戻ってきます。その時にどんな自分になっていたいか、そのために今何をするべきか、それらが明確になった時はみなさんもぜひ一歩踏み出してみてください。