永田雄大20th記念ワンマンライブ「Just, One Half」Online参戦記
2025年2月7日 南青山マンダラで開催された、永田雄大さんのワンマンライブに配信から参加した記録。
南青山マンダラさんの配信はいつも、開演前にはラグタイムピアノで迎えてくれる。音響チェックの意味合いもあるだろうがとても心地よい。やがて、その音に現地の映像とざわめきが追加され、離れた場所でも現地の緊張感や臨場感を味わえるのがありがたい。
そして、オリジナル曲「Joyful Road」のイントロが流れ、ゆーだいさんが登場。今回は弾き語りのみのライブとのことで、ピアノの前へ。オープニングは尾崎豊さんのカバー「I Love You」、続けてオリジナル曲「降り止まぬ空へ」。初ライブの曲や、初めて作った曲など、どちらも切ないメロディのラブソングであり、「切な系」と評されるゆーだいさんらしいオープニングだった。
この2曲とMCまでは、ゆーだいさんも緊張を隠せない様子だったが、MCでほぐれたのか、20代の頃に作曲した「Don't Give Up」「Love Song」からはのびのびとした歌声とステージに変わったのが印象的だった。「Don't Give Up」では観客も早速反応し、ステージが盛り上がる。一方、「Love Song」は優しいスローバラードで、しっとりと聴かせていた。
次はGOSPELの名曲「I Smile」「Amazing Grace」。上京後、故・亀淵由香氏に師事し、師が率いるVOJA(The Voices of Japan)で活躍され、現在もゴスペルディレクターとして活動されているゆーだいさんらしく、途中で観客にも参加を促す。観客もゴスペルに慣れている方が多かったのか、一緒に歌い、会場が一体化していた。こうした盛り上がりは、配信では味わいにくい点が少し残念に思えた。
前半最後の曲は、小学生の頃に音楽の授業で作ったという「星のまたたき」。歌詞は教科書に書かれていたとのことだが、小学生で6/8拍子の曲を作ったというのは驚きだ。また、流れるような綺麗なメロディには、すでにその頃から培われたリズム感や感受性が感じられる。
休憩中には、ゆーだいさん自身が配信のチャットに書き込みをし、その細やかな気遣いが伝わってきた。また、南青山マンダラさんの配信は、休憩中も会場のざわめきを流しつつラグタイムピアノを流してくれるので、なんとなくお得感を感じる。
第2部の最初は「Rainbow Harmony 〜虹の仲間〜」。この曲も観客が歌う演出があり、「せーのっ」の掛け声で歌声が響く。曲を知っている人が多かったのだろう。その後、ゆーだいさんがお世話になっている観客を紹介する場面もあり、これはゆーだいさんのライブならではの光景のように思えた。
次は、最近イベントのために作った2曲。1曲目は、母の日イベントのために作曲した「サンキュー Mother!」。最後のコーラス部分が、同じ題材の有名な唱歌を長調に変えてあるというネタバラシもあり、ゆーだいさんらしさが感じられる。「バラさないほうがかっこいいんですけど…」と言いつつ、「でも言わなかったら誰も気づかないかも…」と笑わせる場面も。また、クワイヤのメンバー同士の結婚式のために作った「幸せのハーモニー」は、優しい歌詞が印象的なバラードで、ゆーだいさんならではの温かさを感じる曲だった。
続いて、ゆーだいさんによるオリジナル訳詞バージョンによる「Stand By Me」が披露された。原曲のエッセンスを残しながらの意訳が自然で、しっくりくる仕上がり。最後のコーラスでは観客にディレクションし、一緒に歌わせるという演出もあり、観客を巻き込む仕掛けが随所に散りばめられていた。
アップテンポの「Not Alone」で会場がヒートアップした後、「時間押していいですか」と言いつつ、有名なゴスペル曲「This Little Light of Mine」を観客を巻き込んで熱唱。ゴスペルディレクターとしての一面が存分に発揮された場面だった。
今回のライブのMCは、ゆーだいさんの想いがぎっしり詰め込まれていた。その影響か、劇中歌を改編した「Orgel」や、カバー曲「Never Enough」は、MCの言葉を切り取ったかのように響き、心に深く残った。
アンコールでは、上京した際の列車内での思いを歌った「Slow Train」。そして、「Sunny Days Color Days」では、ゆーだいさんの未来への希望や夢が込められているように感じた。
今回のライブは、上京してからのゆーだいさんの歩みを曲で振り返る、いわば年表的な構成。上京してからのストーリーや想いを表現しており、20周年を記念するにふさわしいライブだった。また、ゆーだいさんの声の響き、特に高音域の柔らかさは以前にも増して際立っており、日頃、地道に鍛錬され
ていることが、想起された。ゴスペルディレクターとしても多忙な中で、なお精進を重ねる姿に、ただただ敬意を抱くばかりである。