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Shibuya Pilot Film Festival | デザインを担当したお話

こんにちは、ジャガーです。

来たる12/14(土)に、Whatever Co.CHOCOLATE Inc.の共同主催で行われる「Shibuya Pilot Film Festival - 渋谷パイロット・フィルムフェスティバル」というイベントが、渋谷シネクイントで開催されます!

ひとまず予告動画をご覧ください〜。

ぼくはこのイベントロゴやその他諸々のデザインを担当いたしました。

いつものトーンとは少し違う、手描きのかわいい感じのロゴができまして、今回はそのプロセスについて書いてみようと思うので、お時間がある方は是非読んでみてください!


パイロットフィルムだけの映画祭、開幕!

みなさんは「パイロットフィルム」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

映画や番組を制作する前に、テストとして作られる映像のこと。企画書や脚本だけでは判らない作品の魅力を、実際に映像化することで伝わりやすくし、制作チームや製作資金を集めるために活用されています。

Shibuya Pilot Film Festival特設サイト

というものなのですが、以前このnoteでも紹介した、弊社CCOの川村が中心となって製作している木彫人形ストップモーションフィルム「HIDARI」がまさにパイロットフィルムです。

長編作品を作りたいけど、自分たちだけでは難しい。
スポンサーを募りたいけど、企画書だけでは作品の魅力が伝え辛い。
といったような時に作るのがパイロットフィルムです。

「この映画をどうしても作りたいぃぃ!!!」
という気持ちが爆発して作られる。
ものづくり熱の濃縮還元エキス。
そう、それがパイロットフィルム。

ただ、パイロットフィルムはあくまでテスト映像なので、これまでなかなか一般の方々の目に届く機会がありませんでした。

そこで!!
もっとたくさんの人にこの熱い映像たちをみていただきたいという思いで開催されるのが「渋谷パイロットフィルムフェスティバル」なのです!

熱い。。

そして上映作品がまたすごい。
誰もが知ってる有名作品や、世界に名前が轟く監督の作品まで、よくもこんな作品が集まったなという豪華なラインナップです。

こんな有名な作品にも始まりがあって、しかもそれは作り手の溢れる情熱から産まれたものだったんだ、、と思いを馳せるだけでもう胸が。。

熱い。。

そんな素敵なイベントが、12/14(土)に渋谷シネクイントにて一日限りで行われるわけですが、僕がロゴやイベント周りのデザインを担当させていただきましたので、そのあたりについてちょっと書いてみようと思います。

キャラクターロゴ「パイロットくん」

まずは完成したロゴから見ていただければと!

じゃーん

どうも、パイロットくんです!
映画祭にちなんでカメラをモチーフにしつつ、よりキャッチーにするためにキャラクター化しています。

文章にしたら2行で終わった。。

そんなわけない、だってあんなに時間かけて作ったんだから。
そんなわけない。

まあ実際、色々な過程を経てこのキャラクターロゴにたどりついたので、ここからはその過程について書いてみようと思います。


パイロット感を出したい

今回のロゴ制作で表現したかったことは「パイロット感」でした。

完成しきっていない。
でも勢いがあって強さがある。
そんなロゴ。

これまでもロゴはそれなりに作ってきましたが、どちらかというと「1pxにこだわって細部まで整える」みたいなロゴが多かったんですよね。
Morisawa Fontsのロゴなどがそんな感じでした。
微に入り細を穿つことで、洗練された企業イメージを表現したりしてるのですが、今回はあまりきれいな線や形にすると「パイロットフィルムの勢いや熱」が表現できないかもなーと思い、手描きでいこう!と決定。

手描きロゴ自体は初めてではなくて、以前作った「HIDARI」のロゴ(初期)も手描きではありました。が、あのときはiPadで描いた「デジタル手描き」だったんですよね。
デジタルにはデジタルのメリットがあるのですが、画一的な筆跡になってしまう という欠点も感じていました。
なので、HIDARIのロゴを描いた時は「筆運びのテクスチャ」をPhotoshopで合成して作ったりしており。
今回は全体的に更なる勢いが欲しかったので、「筆跡」がとっても大切だと思い、リアル筆を手に取ることを決意しました!

よし描くぞ!と息を巻いてのスタート。
ただ、絵筆が見当たらない。。
そういえばしばらく筆と絵の具でなんて描いてないなあ、よくないよなあ〜。と思いながら探すも結局見つからず。
息子から絵筆を借りることにしました。

そういえば息子も今朝「学校の通学帽がない!」と喚いてたっけな。お父さんは「ちゃんと決めた場所に置かないから!」と怒ったけど、あれは遺伝子なのかもね。ごめんね。

自分のずさんな管理体制を棚に上げつつ作業開始です!

トライ1:描き文字だけで構成

まず一発目はストレートに「Shibuya Pilot Film Festival」の全文字を筆で描いたロゴを試してみることにしました。

巨匠なら、一枚の大きな紙にザザザっと描いて、一発どやっ!でいけるかもしれませんが、そういうわけにもいかないので、僕はというと

  1. 文字をできるだけたくさん描く。

  2. スキャナで取り込み、ひと文字ずつのパーツに分解。

  3. Photoshopでパーツを合成しながらバランスを見る。

  4. バランスが悪い文字があれば描き直し。

を繰り返して文字列を作っていきました。

たくさん描いた

ポイントとしては、

  • かすれすぎないように気をつけつつ、筆跡がなるべく残るような水加減。

  • きれいな文字を描くのではなく、下手でも勢いが大事。

  • とにかくたくさん描く。

というところでしょうか。
利き手で描くとどうしてもうまく描こうとしてしまうので、わざと左手で描いたりもしてみました。
思えばアトリエ・美大生時代はうまく描くことばかり考えていましたが、それだけが答えじゃあないんだぜ?と、あの頃のぼくの肩をポンとたたいてあげたい。

余談ですが、こういう手書き系デザインのために、家にはポストカードサイズのケント紙を常備しています。
紙が大きいと、少しやり直ししたいだけの時にもったいない精神が出てしまうのですが、これくらいのサイズだとやり直しの筆も進むんですよね。あと家庭用スキャンで取り込みやすい。
あと安い。

そうしてできた一発目のロゴがこちら!

全部手描きの文字

今見てもわりと好きかも。
キリの良いところで区切りってボックス組みにしながら、左右バランスをとるために文字を描き直してはレイアウトして を繰り返しました。

そしてあらためて、やはり筆跡がこれだけ残せるのはアナログ手描きの強みだなーと再認識しました。
このかすれ具合だったり、ランダムな筆跡はデジタルではなかなか難しい。

カラーバリエ

作ってて楽しくなってきて、カラーバリエーションだったり、フライヤーにしてみたときの印象だったり みたいなことも試してみたりしてました。

ただ、勢いはあるけどわりとストイックなトーンだったので、ちょっと別のアイデアも考えたほうがいいかなーと。


トライ2:映画モチーフをイラスト化

次は、文字ではなくなにかしらのイラストを手描きで描いてみようかなと。
せっかく筆を持ったわけですしね。息子の。

映画祭だし映画のモチーフがいいよなあと思い、カメラ・カチンコ・監督・フィルムなどなど、思いついたものを描いていきます。

またたくさん描いた

色々試しているなかで、やっぱりカメラはモチーフとしてわかりやすいし強いなーと。

線で描いてみたり、塗りで描いてみたり。

そんなことをしてるうちに、クリエイティブディレクターの川村から「目とかつけてみる?なんかそのほうが渋谷っぽいし」との言葉が。

渋谷っぽい。。
シヴヤッポイ。。

大阪の富田林市という片田舎でリモートワークしている僕にはピンときてなかったのですが、半信半疑で目と口をつけてみたら、、

なんかわからんけどシヴヤ感ある気がする!
なんかわからんけど!

ということで、ここに「パイロットくん」が誕生しました!

渋谷ボーイ無事誕生


ポスター・フライヤー

さて、無事にロゴが完成したので、次は本番に向けて「ポスター」や「フライヤー」を作っていきました。

このキャラクターがイベントのアイコンとなればいいなーと思ってはいたので、キャラクターを前に押し出したレイアウトがいいかな〜とは思っていたんですが、これが意外に難しく。。

パイロットくん自身も左右非対称であるのに加え、右に向かって照射している光の4本線が、さらにこの絵のバランスを難しくしています。
中央揃えにすると違和感あるし、目視でずらしてもどうも軸が取りづらい。。

その結果、大量のボツ作を生んでしまうことになるのでした。

かわいいボツたち

決して世に出ないあなたたちも忘れないよ。
さよなら。さよなら。さよなら。

そんな作業を経て出来上がったのがこちら!

B1ポスター
B5フライヤー

ロゴタイプはボールドなフォントでかっちり組んで、ゆるキャラクターとのコントラストをつけています。

あと、勢いを表現するために「オレンジ」を基調色として使いました。(赤寄りだとちょっと強すぎた)
どうやらオレンジというのがCMYKで表現しづらい色みたいなので、ここは特色のDIC-160を指定。



パイロットフェスティバル、観てね!

ということで、1ヶ月後の2024/12/14(土)に開催されるパイロットフィルムフェスティバル。(詳細はこちら

イベントが盛り上がるべく、デザインという範囲でですが僕なりに尽力してきました。もちろん主役はパイロット映像作品や、豪華スピーカーたちの対談だったりするのですが、このパイロットくんのことをちょっとでもかわいいな〜とか思ってもらえたりすると、デザイナーとしてこのうえない喜びなわけです。

みなさま、パイロットフェスティバルとパイロットくんを、よろしくお願いいたします!

ジャガーでした。

死んだ魚のような目をしている初期のパイロットくん



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